奴隷時代2
俺はファビと走って帰ることになった。
「なぜ逃げる!?オレは貴族だぞ!あいつらを追え!」
「… 貴族!?な、なんで?!」
「…。」
貴族と護衛のやつらは俺たちを追っている。俺は貴族たちを撒けるようにと身体強化魔法をかけた。それに続いてファビも身体強化魔法をかけながら走った。
(やべーな。あのときの記憶が蘇ってくる。あのときは闇雲に走り回っていただけなのによく逃げ切れたな。)
次の瞬間、魔物が俺に爪を向けて走ってきた。
「どけ!邪魔だ!」
俺はとっさに炎を手に付与して魔物に殴りかかった。魔物は倒れ、周囲には炎が広がっている。
「す、すげー…。」
ファビは思わず言葉を漏らしてしまった。
そして、走ること1時間…。強化魔法を繰り返しながら使っていき、なんとか追っ手を撒くことができた。
「ただいま…。」
「あら。」
「ど、どうした?!街に行ってたんだよな…?」
「あ、ああ…。なんか知らんけど貴族の連中に追いかけられて…。」
「なぜ、逃げる必要がありましたの?私にはイマイチ理由がわかりませんわ。何かトラブルでもありましたの?」
「いや、今日はエディが魔物を一人で倒したが、貴族とのトラブルはなかったような…。それで、なんで貴族に追いかけられてたの?」
「…。」
俺は沈黙してしまった。なぜならば、エアナが貴族だということはわかりきっているからだ。
「エディ…?エディ!どういうことだ?!なんで我々は追いかけられた?!答えて!!」
「…。」
俺はファビに強く言われても何も言わなかった。厳密には、言う勇気がないから言えないのだ。
「エディ、答えてくれ。」
レルガに肩を掴まれてそう言われた。俺は目線を反らし、レルガの真剣な顔を見ないようにしている。
「…。そうか。」
レルガは諦め、手をどかした。しかしエアナは一人で語り始めた。
「貴方も1人前の冒険者ですわよ?覚えていますか?初めての剣術の模擬戦をしたときのことを。あの頃のエディはまだこの家に来たばかりでしたわよね。素人の貴方はやはり模擬戦で勝てませんでした。しかし、稽古を重ねるうちに剣術がどんどん上達していきました。剣術以外にも、上達したことはたくさんあります。確実に成長している証拠なのですわ。そして今日、貴方一人で魔物を倒したと言っていましたわよね。だから貴方はもう立派な冒険者ですわ。しかし、貴方はまだ若い。これからの人生は貴方が決めることですわ。…この先、一人で秘密を抱え込んでいることなど、オススメしませんわ…。…良ければ貴族に追いかけられていた理由を聞かせていただけませんか?」
エアナは少し悲しそうな顔をしていた。俺はその顔を見て訳を話さずにはいられなかった。
「じ、実は…。俺、奴隷なんだ…。」
「「!?」」




