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奴隷時代1

{最後は2人組のユニット!お会いできて光栄です。}

今回も司会が進行している。しかし、司会はさっきよりも礼儀正しく挨拶をして一礼している。

「ファビ、なんで急に態度を変えたのかわかりますか?」

「見てみろ!あの優雅な動き!」

俺はファビの回答を聞いてもよくわからなかったため、よくステージ上の二人をよく観察した。すると、見たことのある顔が頭を過った。

「え…。」

あの仕草、あの憎たらしいガタイ、傷一つない顔…。俺は気付いてしまった。あいつらだ…。俺にひたすら付与魔法を使わせて収入は全部貴族へ。ほとんど俺がやったのに、俺が貰える物はカビが生えたパンや腐りかけの果物、残飯などだ。少しでも逆らったらムチで痛めつける…。あいつらだ。俺は過去を思いだしてしまい、震えが止まらなくなった。

「どうした?顔色が悪いが…。」

「と、トイレに…い、行ってくる…。」

「え、貴族のユニットなんてめずらのに…。」

俺はフードを深く被り直してトイレに走り込んだ。

(なんで貴族がここに…。見つかったらまた奴隷にされるのかな…。いや、命があるだけマシか…。なにしろ死刑判断されているうえに脱走してるいからな…。)


俺がそんなことを考えているうちに歌唱が終わってしまったらしい。客が増え、ザワザワし始めた。

「おい!早く出ろ!何分経っていると思ってんだ!!」

と、俺のトイレの長さに文句を言ってくるやつが現れた。トイレのドアを叩いて急かしているようだったため、仕方なくトイレのドアを開けた。しかしそこには先ほどステージにいた貴族とは違う、別の貴族の顔があった…。しかも俺の体をムチで痛め付けたことがある貴族だ。

「ったく、遅かったな…って、お前どこかで会ったことあるよな。」

「…。」

俺はびっくりして声も出なかった。俺のことをさんざん痛め付けていた貴族の一人だ。貴族からしたら奴隷なんて人間扱いをしていない。

「おい、何か言え!」

「…。」

俺は怖くて何も言い返さなかった。そして、恐怖に耐えきれなくなった俺はついに全力で逃げてしまった。

「おい!待て!」

客のことなんて気にせず、何人かとぶつかったがお構い無しに突っ走ってしまった。会場に入ると司会の声が聞こえてきたが、俺はほとんど聞いていなかった。

{審査の結果、今回デビューできたのは… エワさんです!}

{本当はキアですけどね!}

周りは盛り上がっているが、俺はファビを探すのに精一杯だった。

{さて、ここでまさかのゲストの登場です。}

先ほど座っていた席に戻ってみたが、ファビはいなかった。どうやらはぐれてしまったらしい。俺は仕方なくここに座ることにした。下手に動き回るより安全だと感じたからだ。俺はここで初めてステージの様子を見た。しかしそこには…。

{我が国王、グレイ様どうぞ。}

俺に付与魔石製作を命じた張本人で、妙に普通の貴族との雰囲気が違ったやつがいた。俺のことを何度も見下していたが、まさか国王だったとは…。

{エワ、おめでとう。}

{おおせのままに…。}

エワは礼儀正しく一礼し、トロフィーを受け取った。そして周りから歓声が上がり、このライブ?は終わった。


しばらくしてエディがもどってきた。

「エディ!ここにいたのか!ごめんな。なかなか帰ってこなかったからトイレに行ってた。行き違いだったな。」

「そ、そうなんだ…。帰るか…。」

「お、おう…。」

「早く!」

俺はファビを急かして帰ろうとした。もうこんな貴族だらけのライブ会場に居たくない。

「ど、どうしたんだ?」

「いいから!!!」

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