市外へ
アイリスは顔を赤くしながら笑った。「いやぁほんとうまいですよこれ毎日食べたいくらいだ」
俺がそういうとアイリスの顔がさらに赤くなった。
「そっそんなこと急に言われても困るじゃないですか…………」
消え入りそうな声で言ったあと恥ずかしそうに下を向いた。「いやほんとに思ったことをいっただけですから気にしないでください」
なんだこの反応かわいすぎるぞおい。
その後二人とも無言のまま食事をした。
「あの……ご主人さまこの後一緒に街に行きませんか?食材も買わないといけませんし」
沈黙を破ったのは彼女だった。
「そういえば冷蔵庫の中空っぽでしたもんね。行きましょうか」
俺たちは屋敷を出て街の方に向かった。
「ここが商店街です」
そこはたくさんの人で賑わっていた。見たことのない野菜や果物などいろんなものが売っている。「とりあえず食材を買い込みましょうか」
「はい」
二人で買い物をしていると一人の男に声をかけられた。
「よう兄ちゃん久しぶりじゃねえか元気にしてたか?」
男は親しげに話しかけてきた。
誰だろうと思ったがよく見ると見覚えのある顔だった。
「あああなたは確か移民局の人ですよね?」
以前こちらに来たときにいろいろと教えてくれた人だったはずだ。名前はたしか……
「おうそうだぜ。ところでお前さん今一人かい?」
「ええまあそろそろ帰ろうと思っていたところなのですが」
「ならちょうど良かった。ちょっと頼みがあるんだけどよぉ」
男が言いかけたその時後ろから声をかけられた。
「あらあらこんなところにいましたのね探しましたわよ」
振り返るとそこには綺麗なドレスを着た女性がいた。年の頃は二十代後半くらいだろうか。




