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花澤梨花視点1

----花澤梨花の場合----


 梨花はお気に入りの慎司人形を抱えて自室のベットの上にいた。慎司人形は梨花の手作り人形で、抱き枕に慎司使い古しの衣服を装着させたものだ。今の様に慎司が近くに居ない時など弟成分が不足した時に抱きしめている。


 慎ちゃん、急に姉離れしたいと言い出してどうかしたのかしら?もしかして、気になる子でも出来たのかしら?

 慎司人形を抱きしめる梨花の腕に力が入った。


 スピーカーモードにしたスマートフォンから女性の声が聞こえて来る。

 彼女は橘真紀、我が校の誇る陸上部のエース。スラっとした引き締まったスタイルに象徴的なポニーテール、さらに真紀はボクっ子である。常々、希少ともいえるボーイッシュに対する需要には合わせるべきだ、と持論を主張している。

 そんな事をしなくても真紀は可愛い。もっと自覚して欲しいと思う。

 同じクラスメイトで(弟の)話が合うのでいつも一緒にいたら、いつの間にか親友のポジションに収まっていた。いつでも好きな時に弟の事を語れるので楽しくて仕方ない。


「あれさ、全て無自覚でやってる所が凄いよね。全ては弟君の事前の仕込みが素晴らしいと褒めるしかないよ。あれが初心だとコロッと落とされていたかもね」

「そんな事は!?」


 相手の男性の声は花澤慎司。最愛の弟である。


「あったかもね?」

「ええ、そうかもしれませんね、、、」


 二人は今、近所の喫茶店で梨花に内緒の密談をしている。全面的に味方の真紀から事前に連絡が入っており、既にこちら側の打ち合わせは済んでいる。


 うふふふ、慎ちゃんったら心配性なんだから。慎ちゃん以外の男の子なんて見もしないのにね。


「そうなるように狙ってたんでしょ?」

「はい、、、姉さんには最高の男性と一緒になって貰いたいので。碌でもない男に引っ掛からないようにしっかりと教育とガードをして来ました」


 うふふふ、最高の男性。きゃっ!

 慎司の顔が浮かんで来て恥ずかしくなって悶えてしまう。


「ふむふむ、具体的には?」

「自己評価の低い人間にならない様に、どんな些細な事であろうと褒める、褒める、ひたすらに褒める」

「なるほど、次!」

「スキンシップ不足にならない様にひたすらにスキンシップを繰り返す。恥ずかしいなんて単語は存在しない。僕たちは姉弟だ、そこにやましい気持ちなんて一切無い」


 やましい気持ちは一切無いの?

 ただの姉発言にズキンと心臓が痛む。下心を持たない男らしさと梨花を女として見ていない発言に軽く衝撃を受ける。


「ほう、弟君なりに考えてたんだね。少し行き過ぎな気がするんだけど梨花本人が喜んでるからいいか」


 いつも姉さん大好き!って言ってくれてるのに、、、嘘つき!


「そうなるとますます姉離れする意図が分からないな?何があった?女か?いや、あれだけべったりの弟君が他の女に惚れるとか考えられないし、うーん」


 他に好きな女の子でも出来たのなら絶対に許さないんだからね、、、絶対に。


「さて、素直に白状してもらおうかな」


 真紀の声がスピーカーを通し部屋中に反響する。

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