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橘真紀視点2

「ちなみにどうやって抜け出して来たんだい?気になるね。梨花は当然付いてくる気だったんだろ?」


 背後霊の様に、もしくは子泣き爺の様に取り憑いてる姿が目に浮かんだ。事前に報告していなかった場合は現実となっていたはず。


「クラスメートの恋愛相談に乗るって事にして出てきました。なので今日は一人で行くと」


 梨花が素直に引き下がったのをおかしいと思わないなんて甘ちゃんだね。甘納豆よりも甘いよ。

 はむはむごくん。このカレーはちょっとスパイスが効きすぎだね。それはそれで癖になりそうだけど。


「なるほど、微妙に本当の事を混ぜると嘘に真実味が出てくるってやつだね。じゃあ、買い物だった場合は?」

「当然、姉さんも一緒ですよ」


 知ってる。油断させる為に聞いてみただけだ。

 はむはむ。ズズズー、ズー!ぷはぁ!ジュースはオレンジに限る。


「ガードしてるつもりが束縛されてる訳ね、やれやれ。本人達が幸せならいいんだけどさ。それで弟君はどうして姉離れする気になったんだい?」

「実は、、、このままじゃ駄目だと思いまして」


 今更手遅れな気がする。外部に影響を与えない様に二人でこぢんまりと纏っていて欲しい。

 ちゅるちゅるっぷっ!あ、パスタのソースが弟君の袖に跳ねた、、、見なかった事にしよう。


「あれまあ、今更かい?姉離れなんて中学位で済ませるものだよ。まさか!束縛されるのが嫌になったとか?それだとさすがに自分勝手過ぎてひくかな」

「僕、束縛されてるように見えてるんですか?」

「いや、全て至福の笑顔で受け入れてるね。どこからどう見てもご主人様が大好きな忠犬だよ。たまに高速ではためいている尻尾の幻覚が見えるくらいさ」


 これはマジ。だからこそ弟君が姉離れを企むなんて不思議、不思議。あの件は秘密のはずだ。

 ちゅるちゅる。ズズズー、ズー!ぷはぁ!


「まず、弟君は極度のシスコン」

「はい」

「自覚している上に素直でよろしい。そして梨花は立派なブラコン。対外的にはその小さな範囲で完結していてくれると周囲に与える影響が狭くて助かるんだよね。つまりは今の状態だよ」

「ですが、その現状を変えたいんです。お願いします」


 無茶言わない。出来ることと出来ないことがあるんだよ。そして君たち二人の姉弟離れは不可能。賭けてもいい。

 ジュワー、パクパク!ジュワー、パクパク!うんよく焼けてて美味しいハンバーグだ。ダブルにすればよかったな。


「弟君、知ってるかな?梨花って結構モテるんだよ」

「知ってます」


 だから弟君がガチガチにボディガードしてるんだよね。その鉄壁のガードの事は知ってる。みんなが知ってる。

 パクパク、パク。このポテトちょっと塩気が足りないぞ。


「君が離れるって事はそのガードが緩くなるって事だよ。それでも良いのかい?」


 金庫の鍵が開きました。それを泥棒が見逃すのかな?そんな訳がない。宝は守らなければ奪われるのさ。


「姉さんを信じてます。それに完全に離れるわけではなくて、もう少し姉弟として適切な距離で見守って行きたいです」


 そんな自分にとってだけ都合のいい主張をされてもねぇ?梨花の気持ちは無視してるわけで。

 ズズズー!ジュースもう一杯お代わりしようっと。


「まあ、今でもガードは十分に硬いから大丈夫かな?梨花、あの子、週に一度は告白されてるけど全部断ってるし、それ以前に天然で撃退しちゃってるからね」


 梨花を見てると天然って無敵だって感じるもんね。相手を特に傷つける訳でもなく、本人も無自覚だ。


『この花の美しさも君には叶わない!』


って先週、バスケ部のスケコマシ、じゃなくてエースが口説いてたのも


『ありがとうございます!弟にもよく言われるんです♪』


って見事に迎撃して撃墜してたな。

 傍目に見てるコントは楽しい。梨花の側にいる役得、役得。

 今日も美味しい料理が食べれて役得、役得。

 お腹いっぱいだよ。

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