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変わりゆく日常3

 昼食時、いつものように校舎の中庭に姉さんと真紀先輩の三人で集まる。


「はい、次はこっちだぞ、慎司。ほら口を開けて」


「真紀の事はいいから。慎ちゃん、はーい」


 姉さんと真紀先輩の二人から差し出される料理を交互に順番に頬張る。


「どうだ?美味しいかい?」


「私の手作りだから美味しいわよね」


「いや、ボクが食べさせてるのがアクセントになって美味しくなってるんだよ」


 二人して何に対抗しているのかわからない。姉さんのお弁当は美味しい。


「姉さんはまだしも、真紀先輩」


「真紀!また間違えてるぞ、慎司」


「むぅ!知らないんだから」


 真紀先輩の発言に姉さんが拗ねて横を向く。


「真紀、一体何を企んでいるのですか?」


「何のことかな?」


「第一、僕と本当に付き合う気あるんですか?」


 真紀先輩の影響で姉離れどころか距離が近くなってる気がする。いや、間違いなく距離感が詰まってる。


「もちろんだよ。慎司がシスコンなのは自覚あると思うけど、梨花以外の女性に対する態度はいただけないよ。ボクと付き合ってきちんと女性として扱うようになれば、梨花以外の女性への対応も変わるだろ?」


 姉離れも成功する。そう言いたいらしい。


「それで、真紀のメリットはあるんですか?」


 いくら僕から頼んだ事とはいえリスクとのバランスが取れてるとは思えない。


「慎司は素の素材が良いからね。梨花は嫌がるだろうけど少し磨いて格好良くなれば近くにいても良い気分になれるし、後は多少ボクに尽くしてくれれてばそれでチャラでいいよ」


 ニヤニヤ笑う真紀先輩の笑顔が不気味で言葉を素直に受け入れる気になれない。

 何か裏がありそうで怖いんですけど。


「慎ちゃんは今のままでも十分に格好良いです」


 べー!と姉さんが真紀先輩に向かって舌を出す。拗ねてる姉さんも可愛い。


「慎司、その顔自覚ないだろ?鼻の下伸びてるぞ」


「真紀!」


 姉さんの怒った声に我に返った。これは親愛の情で、姉さんが可愛いから仕方ない、仕方ない。


「それに反してこちらには塩対応だろ?」


 やれやれ、と真紀先輩が肩をすくめる。


「梨花にしたってそうだぞ。彼氏が姉にべったりしてても怒らない彼女って滅多に居ないんだぞ。そこら中探したってボクくらいじゃないかな?」


 真紀先輩が胸を張る。当然視線は、、、

 ガツン!


「こら、そういうとこだぞ!」


 何もしていないのに真紀先輩の拳骨が頭に落ちる。


「理不尽な」


「真紀ったら!」


「梨花、甘やかし過ぎだぞ。女性を敵に回したら世の中生きていけないんだぞ。慎司はもっと梨花以外の女性への対応を学ぶべきだぞ」


「それじゃあ、具体的にどんな事をすれば良いんですか?」


「何、愛を囁けなんて言わないよ。急には変われないだろう?だから、梨花にしてるのそのままボクにしてみればいいよ。それくらいなら出来るだろ?」


「それくらいなら」


「ほれ、言ってごらんよ」


 即されるまま僕は真紀先輩に向かって食べさせて貰ったお礼を言う。


「真紀に食べさせて貰うお弁当は美味しいよ」


「はう!なかなかに威力があるな。これは癖になるかもしれない」


「むぅ!知らないんだから」


 僕の発言に言い出しっぺのはずの真紀先輩が照れて悶え、その横で姉さんが拗ねている。


「いいぞ、その調子。次だ、口開けて。あーん」


「あっ、ズルいわよ。次は私の番なんだから。はい、慎ちゃん、あーん」


 もはや僕にはゆっくりと料理を味わう余裕はどこにも無かった。真紀先輩と姉さんの二人によって次々と口に運ばれる料理に対して『美味しいよ』『最高だよ』とお礼を口にするばかりであった。


 ***


 十分程して三人の食事は終わった。


「一日交代として、今日はボクの番だね」


 ポンポン。

 弁当箱の容器を片付け終わった真紀先輩が自分の太ももを叩いてアピールする。


「慎司、おいで」


「あ、ズルいわよ!」


「昨日は梨花がしたんだから今日はボクの番だよ。いいからおいで」


 拗ねてる姉さんを放って置くわけにはいかないけれど、姉離れを言い出したのは僕だ。そのまま真紀先輩の前に進み出て太ももの上に頭を乗せる。


「お邪魔します」


「うんうん、慎司は良い子だね」


 真紀先輩が僕の頭を撫ぜる。ふぅっと僕の鼻腔にミルクの香りが入ってくる。真紀先輩の匂い?不思議な感じがする。


「今日だけなんだから!」


「はいはい、明日は梨花の番だから心配しないの」


 拗ねてる姉さんを真紀先輩が宥める。

 スポーツマンの真紀先輩の太ももは姉さんよりも若干硬く感じたけれども、痛みを感じる程ではなく、嫌な気分にはならなかった。そして僕はそのまま真紀先輩の温かさ包まれて眠りに落ちた。

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