投稿予定 頭の中がお花畑系な女が『ざまぁ』されたあとの学院に入学する事になった
十五歳になるから孤児院を出よう。そう考えていたのに、前触れなくやって来た、一枚の紙切れで人生の予定が狂った。
『国際法により、下記のものに共立魔法学院への入学を命じる。
アングレカム・ファレノプシス』
ポットマム王国で幾つも点在する孤児院の一つ、ファレノプシス孤児院の職員に『国際法とは何か』と尋ねると次のような返答が来た。
「大陸の更なる繁栄を目的とした国際法に『魔力を持って生まれたものは、身分の貴賎問わずに魔法学院に三年間通い、魔法の才能を伸ばせ』って、書いて有るのよ。魔力保持者でも、平民の子供の場合はお金に余裕がない事を理由に通わせない事が多いのよ。だから『平民は王命を受けた』って体裁を取って通う事になっているの。こうすれば必ず通わせるからね」
虐めを受けてもきちんと対応して貰えるのよとおまけ情報を貰い、職員から更に説明を受ける。
必要経費は全て国が出してくれるらしい。当然、制服や教科書類も支給され、奨学金も貰える。
平民が通う場合、王城で色々と準備をしてからになる。
他にも説明を受けたが、重要なのはこの辺だろう。
手紙を持って来た、王城からの使者に目を向ける。でっぷりと太った『禿げ豚』と言った感じのオッサンがふんぞり返っている。
「入学式まで一ヶ月を切っている。このまま王城に来て貰おう」
同席しているファレノプシス孤児院の院長が青筋を立てている。まぁ、怒るよな。偉そうに文句ばかり言ってたし。『王命でもなければ、こんな辛気臭い場所に何ぞ行かん。潰したい』などと言っていたし。あと、連行かよと言いたくなるような言い分。目上にヘコヘコするタイプのオッサンだな。
本当に、他に人材がいなかったのかよと突っ込みたくなる言い分だ。
学院卒業後、このオッサンを使って『戻りたくない』と駄々をこねるのも良さそうだな。
大事なものは道具入れに入れているので、荷物らしい荷物はほぼない。唯一の所持品は産みの女が持っていたと思しきスカーフだけ。
それにここは孤児院だ。幼い子供もいる。残しておいた方が良いものも有る。
魔物を狩り、牙爪皮骨類や魔石を換金所で売り捌いて得た(全額孤児院の運営資金として渡した)――と言う事にしている、いつもの黒コートだけを羽織り、加齢臭漂うオッサンと移動する。馬車が別だったのはありがたかったが、『過去に何かあったな?』と想像出来る扱いだ。
自分がいた孤児院は王都から馬車で四時間前後かかる場所にあるが、途中休憩なしで馬車は進む。
馬車内部が広々と使えるので、道具入れからクッションを取り出しゴロゴロしながら到着まで時間を潰した。
日が沈み切る前に王城に辿り着いた。
到着するなり客室の案内係と思しき、厳めしい顔をした女官に歩きながら今後の予定を早口で喋られ、別れ際に確認を取ると『一回で理解しろ!』と文句を言われた。あの早口で理解出来る奴がいたら会ってみたいよ。
とは言え予定と言っても、採寸してサイズの合う既製品の制服と教科書を始めとした勉強道具や文房具等の学生の必需品の受取、奨学金と学院での過ごし方の説明を受ける。この辺りしかない。
平民の分際でと、悪態を吐きながら女官は去って行った。なお、客室の鍵は床に叩き付けるように投げ捨てられた。自分で拾って開けろってか。
態度の悪い貴族が立て続けに当たった。歓迎されていないし、行方を眩ましても良いかな? そう思いながら天井を仰いでため息を吐く。
「おや、ため息を吐いてどうしたんだい?」
不意に背後から声がかかった。振返ると身成の良さそうな同い年に見える少年が立っていた。その背後には護衛と思しき騎士が二名ほどいる。更にその奥、全力疾走している男がいた。
少年を王族かと適当に当たりを付け、何でもないと返す。
床に捨てられた鍵を拾って客室のドアの上の穴に差し込む。しかし、回らなかった。鍵が違うのか何度アタックしても鍵は回らない。
あの女官。『お前に寝るベッドはない』とでも言いたいのか? これが王命を受けた奴への扱いかよ。本当に、帰っても良いかな?
差し込んでいた鍵を抜き取って見やり、どうするか考えていると足音が響き近付いて来た。
振り返ると先程の少年が立っている。少年は自分が王城に来た理由を尋ねて来たので、孤児院で貰った一枚の紙を渡した。
紙を受け取った少年は内容を見て驚き、護衛っぽい騎士二人は顔を顰めている。
そりゃそうだ。
平民とは言え、現状は王命で城に呼び出された人間に対する扱いじゃないもんね。
「へぇ、君も来月の入学予定者なのか?」
君も? 少年の台詞に内心首を傾げる。意味を考え、思わず口の端が引き攣る。
このいかにも王族っぽい少年と同じ学年なのかよ! 今回は平民育ちだから王族とは無縁でいられると思ったのに!
希望が入学前に打ち砕かれた。これは逃亡を考えた方が良いな。
などと思ったが、少年が口にした事件の内容で真剣に考える事になる。
「でも、運がないね。学院で庶子の男爵令嬢が複数の高位貴族の令息に『魅了の魔法』を掛けて、婚約破棄騒動を起こした直後なんだ」
何だその『乙女ゲームのヒロインに転生しちゃったお花畑頭の女が逆ハー作った』な状況は。つーか、婚約破棄騒動まで引き起こしたのかよ。
「半年前の事件だけど、無関係な庶子や平民の生徒が居辛くなってね。一部の生徒が『学院入学者は貴族のみにすべきだ』って、学院で訴願運動しているんだよ。別の一部生徒は庶子や平民の生徒に犯罪と大差ない嫌がらせと虐めを始めて、結構な数の生徒が注意で済まず停学になった。王族に被害者が出ていないだけマシな状況さ」
「……随分と大騒動になったのですね」
事件の端を聞いただけで入学意思が消えて行く。わー、入学したくないな。
内心げんなりしていると、ドタドタと、いかにも慌てていると思しき足音が聞こえて来た。全員で音源を見やると、血相を変えた複数人の男がやって来た。
やって来て早々『鍵が使用出来ないのは本当か?』と、息切れしながら訊ねられたので、実際に鍵穴に差し込んで回らない事を実演する。すると、男が実際に試し、鍵が回らない事実を知って冷や汗を掻き始めた。
「この国では王命を受けたもので在っても、平民が相手だと『悪態を吐きながら、鍵を床に投げ捨てて渡す』のが常識なんだね」
「い、いえっ、そのような事は有りませぬ!」
少年が黒い笑顔で暴露した内容に男は顔を真っ青にした。
……そう言えば、少年の目の前で鍵を床から拾ったな。この分だと、女官の行動も見ていたな。
あのおばさん終わったな。自業自得と言えばその通りなので擁護はしない。
その後、一緒にやって来たもう一人の男が持っていたマスターキーと思しき鍵で、客室のドアは開いた。内部が真っ当な客室で少し安心した。
念の為だろう。青い顔をした男に女官から聞いた今後の予定を聞かれた。
早口だったと前置きしてから言うと、他の男も血相を変えた。どうやら違っていたらしい。
ついでに手紙が来たのは何時か聞かれた。答えは『今日』しかない。言うと血相を変えた男一同は揃って仰天した。
「『入学式まで一ヶ月を切っている。このまま王城に来て貰おう』って、手紙を孤児院に持って来た小父さんにそのまま馬車に乗せられました」
おまけで『王命でもなければ、こんな辛気臭い場所に何ぞ行かん。潰したい』と愚痴っていた事も教える。
「先々月に平民の来季入学者が確定したのに、今日使いが来た!?」
「あの男爵は使いもまともにこなせないのか!?」
青かった男達の顔が真っ赤になっている。怒髪天を衝く勢いで今度は怒り始めた。
まぁ、他国の人間の目の前でやらかしたからね。国の品位が疑われるか。
落ち着かせて今後の予定について改めて尋ねると、『今日は長距離移動したからこのあとは休息。各種説明は明日からで迎えを出す』と返答が返って来た。夕食はこのあと運んでくれるらしい。
少年や男一同と別れて部屋に入る。
身の安全確保と言う名の許に、部屋に結界を張る。これで、ノックなしで入ろうとする人間は自動で弾かれる。
「はぁ~、何か疲れた」
ローテーブル前のソファーに腰を下ろし、ため息を吐く。
サイドチェストの上に茶器のセットが置いてあるが、お茶を入れて飲み気にはなれない。茶葉に毒とか仕込んでありそうだ。同じ理由からローテーブルの上のお菓子にも手を着けない。
解毒魔法が使えるから毒とか気にしなくても良いだけどね。鑑定魔法で毒の有無は調べられるし。
でもやらない。めんどい。
ソファーの上で伸びていると、ノックが有った。慌てて返事をし、服装の乱れをチェックしてからドアを開ける。
侍女と思しき女性が立っていた。服装がまんまメイド服なので、侍女で間違いはないだろう。
用件を尋ねると『夕食を持って来た』と返事が返って来た。
ドアを大きく開けて下がると、侍女はワゴンを押して入り、淀みない動作でテーブルの上に夕食を並べて行く。食べ終わったら、ワゴンに食器を載せて外に出せばあとで回収してくれるそうだ。
貴族じゃないしそれぐらいは良いか。
礼を言って立ち去る侍女を見送った。
さて、お菓子と違い、夕食は食べないと何か言われるだろう。鑑定魔法で毒の有無を確認してから食べ始める。
……王城の料理もこの様か。
この世界の料理は素材を生かす調理法しかない。故に良い素材で作る料理が最上とされる。
だが――ぶっちゃけ美味しくない。
孤児院でたまに作っていたスープに劣る高級料理。素材を生かすと言うより、正に『素材を味わう』料理だな。
作って貰った料理なので完食したが、出来る事なら自分で作った方が美味しい。
食器類をワゴンに乗せて部屋の外に出す。外に出せばあとで回収すると、侍女本人が言ったのだ。発言に責任を持って貰おう。
ソファーに腰を下ろして食休みを取りながら部屋を改めて見まわす。
出入口からは見えなかったが、奥に二つの扉が有った。近付いて開けて見ると、片方はトイレで、もう片方はシャワールームだった。
「おおっ!? シャワーが浴びれる!」
ありがたい事に、石鹼、シャンプー、リンス、バスタオルなどを始めとしたアメニティが揃っている。
喜んでいるところでノックオンが響く。返事をしてから開けると、夕食を持って来た侍女がいた。言われた通りにワゴンを外に出したが何か問題でも在ったかと、尋ねるとシャワールームの説明が始まった。
使用しても良いらしいが、掃除は自分での事。
それだけ言って侍女はワゴンを押して去った。
掃除をするだけで使用可なら別にいいか。ありがたく使わせて貰おう。
なんてね。
歓迎されていないのが丸分かりなところで、使ったらどんな言い掛かりを付けられるか分からない。
それに、技術を注ぎ込んだシャワールームを持っているのに、シャワーだけを浴びる気にはならん。
幸な事にシャワールームは広い。六畳程度有るのなら、金属の箱状になっているこれが設置可能。使用する水から排水まで魔法で処理する優れものなので、森の中や、排水出来ない場所や建物内でも使用可能。
今回は排水だけ外に出してしまおうかと思ったが、使用した痕跡が残る。『シャワーで喜ぶとは貧乏人ね』と罵られる可能性を考えて止めた。
汚れを落としたあとは寝るだけ。
ベッドで寝たいが、何が起きるか分からないので灯りを落としてソファーで寝た。
翌朝。何事もなく眠れた。ソファーで寝たが、熟睡した。高級品だとベッド代わりになるね。
運ばれてきた朝食を取ったあと、昨日女官に対して怒っていた男達の一人がやって来た。自己紹介を受けて知ったが、伯爵だった。
その伯爵から各種詳細な説明を受ける。入学式まで一ヶ月を切っているので中々にタイトなスケジュールだ。
制服の採寸、マナーを含む事前講習、学生寮での過ごし方、受ける授業の内容……その他、受けるべき事は大量だった。どう考えても、ニ~三ヶ月を掛けて行うもの。今日から行うとすると、かなりの強行軍になる。
伯爵から謝罪を貰ったが、時間が惜しいので今日のスケジュールをこなそう。
結論から言うと、過去の経験が活き、入学式前日に全てのスケジュールの消化に成功した。
ちなみに、この世界には転移魔法が存在する。なので、入学式前日まで国にいても問題はなかった。
正午前。真新しい制服を着て、旅行鞄片手に伯爵と共に転移魔法陣を経由して学院の敷地内に入る。
貴族向けの学院だからか、校舎は重厚かつ、威厳が感じられるデザインだった。
事務室で受付を済ませ、学生寮に向かう。ここでも事務室で入寮手続きを済ませて、伯爵と別れる。色々と気を使わせてしまったのでお礼を言う事も忘れない。
学生寮は全て個室で、自分が使う部屋はキッチン付き。食堂は利用しません。美味しくないだろうから。あと、貴族の令息令嬢がウザいのが目に見えているから。
事務室で鍵を受け取り、部屋に移動。どこぞの貴族と遭遇すると面倒なのは目に見えているので、幻術で姿を消して移動。到着した部屋で荷物を広げる。両隣と向かいの部屋は誰も利用していない。挨拶しなくても問題はない。
そもそも、ここの辺りの部屋は誰も利用していない。静かで助かるわー。
国別男女で分かれている学生寮の一階は食堂や談話室、必需品を取り扱う売店などの共用スペースと事務室などが在る。寮としての部屋は二階からで、キッチン付きの部屋もこの階に在る。自分の個室もここの階だ。
三階以上にはキッチンがない代わりに各個室の浴場スペースがやや広い。浴場がやや狭い――と言っても湯船と洗い場付き――代わりにキッチンを手に入れた。
貴族令嬢は大体三階以上を利用する。二階は自分が独占している状態なので、何か遭って部屋を変えたい場合、速攻で変える事が出来る。
ま、防犯対策として部屋に結界などを張るから不法侵入は出来ないだろうけど。
「取り合えず、お昼を取ろう」
手元に食材がない。学院から徒歩三十分程離れた場所に街が在る。買い出しついでにそこでお昼を取るか。
荷物を所定の場所に置き、戸締りしてから寮を出る。何時もの黒外套を羽織る事も忘れない。制服姿で歩くのは流石に目立つからね。事務室で寮監に人声を掛けてから出る。この時、夕方までに戻るのなら声掛けは不要と言われた。次回からそうすると返して外に出る。
校門までの道を歩いていると、妙な声が聞こえて来た。
「お、おば、う、え……」
振り返ると、知らない顔の黒髪の男子生徒がいた。微妙にキラキラしたものを感じる。どこぞの王族じゃあるまいな?
首を傾げて『何用か』と尋ねると、我に返った男子生徒は慌てて『何でもない』と早口で言う。どう見ても何か有るだろと言いたい。
てか、『おばうえ』って何よ?
男子生徒はそのまま去って行く。その姿を見届けてから改めて買い出しに出た。
最寄りの街は規模は大きいが孤児院近くの街と大差のない街だった。物足りなさを感じるが昼食を取り、必需品の買って行く。購入品を道具入れに仕舞い、用が済んだら早急に学院に戻る。寮の個室に戻り、大量の作り置き食材と調味料を作ってしまおう。
この世界にはケチャップ、マヨネーズ、中濃ソースの類や、珍しい事にバターまでもがない。菜種油みたいなものは在るけど。それと、非常に珍しい事にチーズもない。
作るものを思い浮かべると大量に有った。紙に書き出してから作る。
そして、夕食までに大量に色々と作った。夕食は時間がないのと作り過ぎで疲れたので、手抜きのナポリタンを作って食べる。パスタが売っている世界で助かった。疲れたのなら食堂を利用すれば良いと思うだろうが、絶対に貴族共から嫌がらせを受ける。少なくとも口撃は飛んで来る。ゆっくり食べる暇はない。
でも、この世界の料理は美味しくないから食べたいとも思わないんだよね。素材を味わう薄味料理は好きじゃない。
明日の準備をして就寝する。明日は入学式で、式が終わったらクラス毎に顔合わせをして解散となる。
翌朝。朝食と身繕いに、荷物の再確認と戸締りを済ませて寮を出る。
教員達の指示通りに、入学式会場の講堂で学院長や来賓として来た各国の外交官が祝辞を述べて行く。講堂の入り口近くの席で生徒の容姿を観察しながら聞く。この世界の住民の髪と瞳の色は、貴族平民問わず、総じて明るい色をしている。色の濃い茶髪や黒髪は珍しい部類に入る。
式が始まる前からチラチラと自分に視線が来る。視線は主に髪に向かっている。式の途中だから視線は来ないが、終わったら視線は再び飛んで来るだろう。
入学式が終わった。気配を消して移動し教室に向かう。教室では担任からの挨拶だけで済みそのまま解散となった。
同じクラスに約一ヶ月前、ポットマム王国の王城で遭遇した少年がいて顔が引き攣りかけた。話し掛けられそうになったので全力で逃げた。推測通り、あの少年は王族だった。技術大国として有名なアカンサス王国の王子だった。
そして現在、昼。
カフェテリアは貴族生徒でごった返している。貴族だらけな場所で食事がゆっくりと取れる筈がない。
念の為持って来た昼食のサンドイッチが入ったバスケット片手に人気のない場所に移動。周囲に生徒が一人もおらず、一目で利用されていないと分かるベンチを発見。汚れているようにも見えないが、念の為、魔法で綺麗にしてから座り、バスケットを開ける。
昨日の内に焼いた食パンに適当に色々と挟んで作った出来合い品だ。それでも、貴族向けの料理よりかは遥かに美味しい。
水筒に入れてきたスープを飲んで一息吐くと、複数の話し声が聞こえて来た。やって来たのは複数の男子生徒。こちらに気付くと心底嫌そうな顔をしたので荷物を纏めて移動する。今度から適当な木の枝の上で食べるか。
移動先で周囲に人がいない事を確認し、木の上に移動。膝の上にバスケットを置いて中断した昼食を再開する。
昼食の時間ですらこれでは先が思いやられる。
昼食後、早々に部屋に戻った。
で。早々に部屋に戻って正解だった。警備員の小父さんと寮監長の女性を呼び、ドアの前で何やら細工をしていた令嬢達を追い払って貰う。
防犯装置が役に立った。まさか着て二日目に役に立つとは思わなかったよ。
ドアの前で細工をしていた令嬢達は、現在学院長室でお説教中だ。何もしていない平民に対して貴族がやらかした場合、学院常駐の外交官も呼び出され、本国に報告される。そして、本国で報告を受けた国王から令嬢達の両親が叱られるのである。
平民は王命で入学しているので、追い出そうとするのなら王命の邪魔をしているとも取れるのだ。令嬢達の両親はこっぴどく叱られるだろう。
ちなみに寮監長の女性は常駐する外交官の夫人なので、逆らうと家の評判が悪くなる。例え公爵家の令嬢令息であっても、逆らえない。
「はぁ~……」
前途多難としか言いようのない状況にため息が漏れる。
こっちも通いたくて来ている訳ではない。王命で仕方なく来ているだけなのだ。退学出来るのなら今直ぐ出て行きたい。どうにもならない状況が憂鬱過ぎる。
明日からの日々を思うと、再びため息が漏れた。
ここまでお読み頂きありがとうございます。
思い付きで書いたものです。問題が起きた学校に通うってなんか身構えますよね。
菊理の場合はフラグが立ってもどうにかなってしまう? 展開で、普通の恋愛沙汰にはならない。
正規投稿作品では、菊理の両親が誰なのかまで明らかにしてから終わりにする予定です。