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キャラ名無き作品 その8

キャラの名前を考えずに、気晴らしで書いた作品です。


息抜きのように勢いで書いたので、キャラクターの名前はありません。これだけはご了承下さい。

エピソードタイトル

お見合いパーティー? 辞退したい!

 ある日の昼。

 十七歳から二十五歳までの三十人近い伯爵令嬢が帝城に集められた。呼び出しの要件は知らん。

 伯爵令嬢を集めた帝城の大ホールで文官の人が言うには、とある事情で『他国のさる高貴な方々の相手』をする為に、婚約者のいない令嬢を大量に集めなくてはならないんだとか。

 だったら高位貴族の令嬢を集めれば良いと思った。男性文官が言うには、そちらも呼ぶが伯爵令嬢の中で礼儀作法に問題の無い令嬢も主席させようと言う流れになったらしい。つまり今日は抜き打ちテストの日です。

 ここで重要なのは、『一ヶ月後に他国から婚約者捜しで身分の高い男性が来る』事と、『集団お見合いを開催するから出席させる令嬢が大量に欲しい』の、二点だろう。

 ただ、年齢の釣り合う高位貴族令嬢が少なく(いるけど全員獣人族で、番の相手と婚姻済み)、急遽、中位貴族の伯爵令嬢を集める事になった。

 自分も十八歳の伯爵令嬢なので呼ばれている。年子の姉と伯父の二人の娘も呼ばれているけど、文官の話を無視して鬼のような形相で自分を見ている。

 この三人の顔を見るのは、実に三年振りだ。

 三年前のあの時に、三人はよく逮捕されなかったものだ。父と伯父が祖父に内緒で借金をしてまで罰金を支払ったと聞いたが、今になって思うとよく罰金と三年間の帝都立入禁止で済んだな。

 獣人族に対して禁止されている違法薬物を使っておいて、罰金と立入禁止で済んだ。

 向こうの家も何かしら動いたと見て良いだろう。一応、侯爵家だったし。その割に、自分の元婚約者だったあの馬鹿犬(犬の獣人族)は跡継ぎ候補から外された。

 嫡男に戻るには自分と再婚約しなくてはならないとか言って、未だに復縁を迫って来る。

 なお、侯爵家に確認を取ったところ、『自分と復縁しても嫡男に戻す事はしない』と回答を頂いている。ま、馬鹿は何度教えても信じないので、そろそろ実力行使も検討しないと。

 

 この帝国は獅子の獣人族の皇室を中心に、身分の貴賤を問わず獣人族と人族と魔法族の三種類の種族で構成されている。人口の比率は、獣人族が五割、人族が四割、魔法族が一割だ。

 番を求める獣人族がいるので、婚期は二十五歳までだ。ちなみに、番と言うのは一代限りだ。

 ちなみに自分は人族家系なのに、先祖返りで魔法族として誕生してしまった。そのせいで大騒動が発生したけど、曾祖母が魔法族だった事からすぐに終息した。

 終息はしたが、両親と兄と姉からの扱いは最悪だった。自分が誕生してから半年で、両親と兄と年子の姉の三人は帝都から領地の屋敷に追い出された。そして、自分は祖父母と暮らす事になった。領地の屋敷には自分が誕生する二年前に追い出された伯父一家もおり、毎日喧嘩していたらしい。

 三年前になって祖父から帝都の屋敷に来る事が許されたが、自分の婚約者の横取りを狙い馬鹿をやった結果、僅か半年で帝都から追い出された。

 四年前に逝去した祖母(辺境伯家出身の元女騎士)が存命だったら、あの八人は祖母の手で切り捨てられていただろう。割と過激な人だったし。

 今になって思うと、違法薬物に手を出したあの三人は何でいるんだろう?

 

 文官からの説明が終了したら、五人ずつに分かれる。姉と従姉妹の三人とは別のグループだったので、内心で胸を撫で下ろした。

 そして、礼儀作法に煩い儀典官の面々から出されたお題に対応して行く。舞踏会と晩餐会もスケジュールに入っているのか、ダンスとテーブルマナーもテストに入っていた。

 三年振りに着るドレスは重いが、テストを全て受け終えた。テストを受け終えた他の令嬢達も利用する休憩室のソファーに腰を下ろし、出されたお茶を飲み、茶菓子を食べる。

 結果は当日発表だが、絶対に揉めるだろうな。

 一応、一泊分の荷物を持って来いと言われたので、持って来てはいるけど、帝都の伯爵邸に帰りたい。

 五年前に薬師ギルドと冒険者ギルドに登録し、独り立ちの準備として活動している。

 最近、この帝国で獣人族向けの違法薬物被害が増加している。被害者の殆どが十二歳から十五歳の獣人族の成人前の貴族の子供だ。

 成人前の子供に『相手を番と誤認させる発情香』を嗅がせて、婚約を迫ると言う手口だ。

 対処薬の開発は既に行われているが、作るのが難しい。魔法薬の一種なので、作れるものも限られている。

 自分もここ一年間、毎日のようにこの魔法薬を作って薬師ギルドに納品した。

 本日、帝城に向かい泊まり掛けになるかもねと言ったら、『早めに帰って来て』と薬師ギルド長に泣き付かれた。早く解決して欲しいわー。

「ん?」

 お茶を飲みながら内心でため息を吐いていたら、女性文官に呼び出された。

 帰れるのかと思いきや、雛壇上の椅子に皇帝が座る謁見の間に案内されてしまった。室内には自分以外に数名の令嬢がいた。あのテストで二十人以上も落とされたのか。室内には姉と従姉妹の三人の姿は無かった。

 いきなり謁見の間に呼び出されて、自分以外の令嬢は困惑している。自分は帰れないと気づき、皇帝の背後の窓から空を見た。良い天気で腹が立つわー……はぁ。

 観念していたら、皇帝がテストを行った経緯の説明を始めた。

 皇帝の話を纏めると次の通りになる。

 

 竜族が頂点に立つ王国の王子と高位貴族令息の番探しを行っている。

 既に何ヶ国か回っているが、王子と数人の令息の番が未だに見つからない。

 王国は友好国だが、今になってやって来るのは、王国と帝国の距離が離れているからだ。王国と帝国の間には、小さいが三つの国が存在する。

 王国は友好国の一つで、獣人族が番を求める考えに対して理解があり、帝国から王子妃を輩出出来るのならばと下心込みで受け入れるらしい。

 一行が番探しでやって来て帰るまでの期間は一ヶ月で、その間は離宮で過ごすようにと指示が出た。

 詳細は明日説明するらしい。


 マジで辞退したいんだけど、出来ないかな?

 皇帝の説明が終わり、解散となった。だが、自分は廊下に出るなり近くの男性文官を捕まえて『辞退出来ないか』相談した。

 今日参加している姉と従姉妹三人の所業を考えると、自分は辞退した方が良いと思う。

 相談した文官は『無理』と言ったが、皇帝に報告はしてくれる事になった。

 文官と別れて、近衛騎士の一人の案内で本日泊まる貴賓室へ向かった。馬車に積んでいた荷物は、ここに運び済みだった。手際が良い。テストで落とされた令嬢達はもう帰ったのかな?

 貴賓室で独りため息を吐く。あの馬鹿三人は乗りこんで来ない事を祈るばかりだ。

 


 ドレスから簡素なワンピースに着替えて、持ち込んだ器材と材料を使い、本日納品分の魔法薬を作る。

 問題の違法薬物は香水だが、対処の魔法薬は丸薬だ。指定の薬草をすり鉢を使い、すり潰しながら混ぜて行く。薬草は朝薬師ギルドに寄って摘んで来たものを使用しているので、水分を気にする必要は無い。

 最後にヘラを使って練り、持って来た型に均一になるように空気を抜きながら押し込む。

 丸薬にするまでの過程を見ると、魔法薬には見えない。

 けれど、丸薬の材料の薬草が特殊で、魔力を流し込むと指定の効能を持って成長する特殊な魔法薬草なのだ。使いたい状態にする為に魔力を使って成長させるのだが、この時点でかなりの量の魔力を使う。

 摘んだら別の人間にやらせればいいじゃんと思うかもしれないけど、この薬草は成長時浴びた魔力を持つ人間以外の魔力を感じると枯れてしまう弱点があった。この弱点が原因で、製薬の委託は不可能だ。おまけに、複数人で魔力を込めて成長させる事も出来ない。少ない魔力で成長出来ないか、薬師ギルドで色々と実験を繰り返しているけど、その結果は芳しくない。この薬草が開発出来ただけでも良い方だ。

 更に、型から丸薬を抜き取る時にも魔力が必要となる。型自体が魔法具の一種なのだ。抜き取る時に型に魔力を込めると、固定と品質維持の魔法が丸薬に掛けられる仕組みとなっている。

 品質維持の魔法は納品後に、薬師ギルドの職員が掛けるのが一般的だ。でも、丸薬系は型崩れと乾燥を防止する目的で製薬者が掛ける事になっている。

 型から丸薬を抜き取り、納品時に使う壺に入れる。

 ここまでを三度繰り返して、持って来た材料を使い切った。一度に小指の爪程の大きさの丸薬が三十個も出来上がり、計九十個の丸薬が出来上がった。壺に入れてコルク栓で蓋をした。納品は明日で良いな。

 製薬が終わったら道具を魔法で洗浄してから片付ける。一度脱いだドレスに着替え、備え付けの茶器を使ってお茶を淹れて休憩する。城のお茶なだけあって美味しい。

 お茶を飲んで一息吐いていると、ドアがノックされた。

 何事かと思えば、廊下には先程辞退の相談をした文官がいた。用件を尋ねると、皇帝が呼んでいるらしい。

 ドレスに着替えておいて良かった。

 そのまま文官の後ろをついて城内を歩き、皇帝の執務室に入る。室内には険しい顔をした皇帝以外に男性が一人いた。ここまで案内して来た文官が退室したら、頭を下げる礼を取ってから決まった挨拶を述べる。面倒だが、身分上の礼儀作法だ。皇帝の許しを得てから顔を上げる。

 皇帝は呼び出した理由について語り、自分に辞退を希望する理由を改めて尋ねて来た。

 ……これは、三年も前の事だから忘れ去られているのかもしれないな。

 ある意味チャンスかもしれないと己に言い聞かせて、皇帝に事情を説明した。

 三年前、身内に違法薬物に手を出した三人がいる事。この時に婚約解消した元婚約者が、嫡男に戻りたいが為にしつこく復縁を迫って来ている事。勿論、元婚約者の実家に問い合わせて、自分と復縁しても嫡男に戻れない事は確認済み。

 そして、薬師ギルドから請け負っている仕事内容を告げ、改めて辞退したいと申し出る。

「事情は理解したが、参加する令嬢の数が足りないのも事実だ。お主を含めて十五人にも満たぬ以上、辞退は却下せざるを得ない。だが、……そうだな。侯爵家の令息には一ヶ月間入城禁止を言い渡せばいいか。侯爵には詳細を通達せんとだな。身内の三人には、改めて一ヶ月間帝都立入禁止を言い渡すか」

「陛下。その令嬢三名は、選抜結果に不服申し立てをして儀典官や文官に暴力を振るい、騎士達に取り押さえられました。現在、客室に押し込んでいますが、未だに大声で騒いでいます」

「……当家のものが申し訳ありません」

 知りたくなかった事を知り、思わず頭を下げた。あの馬鹿三人は城内で何をやっているんだ。

「気にするな。他にも不服の申し立てをしている令嬢はいた。素直に帰った令嬢は少ない」

「宰相の言う通りだ。お主が気に病む事では無い。現在、それぞれの当主を呼び出している」

 皇帝の言葉に目を丸くしたが、それよりもこの男性は宰相だったのか。

「薬師ギルドの仕事だが、違法薬物に関しては、未だに終息の気配が見えない以上、対処薬を切らす訳にはいかん。期間中でも城内の一部で仕事が出来るように手配しよう。詳しい事は薬師ギルド長と相談して決める」

「ありがとうございます」

 皇帝と宰相に礼を言って頭を下げた。

 こちらの希望が完全に通った形になる。これでは辞退は不可能だが、仕事に専念して接触を減らすか。

 用件が済んだので自分も退室した。



 翌日。

 大ホールで合流した祖父と共に集団お見合い関する説明を受けた。

 集団お見合いに参加する他の令嬢も家の当主と共に宰相の説明を受けている。昨日皇帝が十五人にも満たないと言っていたが、今日数えると参加する令嬢は自分を入れて十三人だった。

 対して、番を探し求めてやって来る王子と令息の人数は八人だが、護衛で来る騎士も番を探している独身男性で固めているので、合計で二十人を超える。そりゃ減らせないな。

 宰相の説明を聞き終え、事前に用意するものが書かれた紙と支度金を貰い、帰宅する。

 帰りの車内で祖父と、薬師ギルドの事と昨日騒いだ馬鹿三人の事について情報を共有する。

 馬鹿三人に帝都立入禁止命令が出たけど、祖父は知っていた。昨日、あの三人を引き取る為だけに祖父は登城した。その時に宰相から聞かされたらしい。

 帰宅後。使用人への説明を祖父に託して――昨日の時点で、この家には自分と伯爵の祖父と使用人しかいない。他は全員領地に追い出された――自分は納品を兼ねて薬師ギルドに顔を出した。

 薬師ギルド長に事の顛末を説明し、あとは関与出来ないので丸投げした。

 すっかり忘れていたが、冒険者ギルドにも報告しに行かなくてはならない事を思い出した。幸いにも薬師ギルド王都本部から出た直後だった。

 その足で冒険者ギルドにも向かった。



 一ヶ月後。

 必要なものを買い揃え、一ヶ月間分の荷物を前日に送り、本日の午後、城に向かう。

 今回、家の侍女は連れて行かない。離宮勤めの侍女がいると言う事もあるが、何を仕出かされるか判らないと言う恐怖から連れて来るなと言われている。

 家の侍女を連れて来るなの一言で、過去の番探しで起きた事を察してしまい、思わず祖父と顔を見合わせてしまった。自分は真顔、祖父は苦虫をかみつぶしたような顔をしていた。

 貴族の侍女の殆どが下位貴族の令嬢だ。中には高位貴族の嫡男か若き当主のお手付きになろうと、馬鹿をするものまでいた。行儀見習いとして来る真面目な令嬢が、果たしてどれだけいるのか、少し気になった。

 実際に三年前。

 既に解雇されたが、我が家の侍女(十七歳の兎の獣人族で男爵令嬢)の一人も、何を考えたのか兄(当時二十五歳)に媚薬を盛って襲おうとした。

 その結果はと酷く残念だった。十歳年上の兄は両親や祖父に隠れて娼館通いをしていた事が原因で病気を貰っていた事が発覚した。それだけでは無く、その病気で男として不能になっていた事までもが発覚した。

 つまり、兄は『子供が作れない体になっていた』のだ!

 これを知った祖父は激怒した。兄の首をこの場で切り捨てかねない程の怒りっぷりだった。他の面々は状況が呑み込めず、ぽっかーんとしていた。自分は『こいつ、自ら跡継ぎ候補の座を捨てたのかよ』と呆れた。

 兄は国経由で『子供が作れない若い男』を欲しがっている女王様(御年五十歳の兎の獣人族)のところへ送り出された。この女王様は未だに若々しく見事な体力を持っており、毎晩のように愛人の男性と何かやっていると噂されている。その愛人は数ヶ月経つと一人減る。

 兄は嫌がり、両親も皇帝に土下座して止めて欲しいと懇願した。

 この女王様は愛人となる男を送って来た国に謝礼として、特産物の大陸でも希少な鉱石類を譲り、今後の取引をする際に関税の引き下げなどもしてくれる。この希少な鉱石は魔法との親和性が高く、他の国では産出されない鉱石でもあった。その為か、多くの国が女王様が望む男を送り、鉱石を得た。

 我が帝国も他国に倣うだけだ。一度女王の離宮に入ったら二度と外には出られないが、女王の愛人として遇され、死ぬまで面倒を見て貰える。死んでも棺は国に送り出されないけどね。

 国としてのメリットを取り、泣き叫んだ兄は檻に入れた状態で送り出された。

 我が伯爵家も実情はどうあれ、『他国の王家に婿を出した』と言う結果を得て、国からも支度金と言う名の褒賞金を貰った。更に、事の発端の侍女(解雇済み)の実家を訴えて得た多額の慰謝料のお陰で、父と伯父が祖父に内緒で作った借金の返済が完了した。

 借金は無くなったが、現実は父と伯父にお金を貸した相手が祖父に変更されただけだ。借金は七等分され、両親と姉、伯父一家の四人が均等に背負う事になった。三年が経過しても銅貨一枚も返済されていないから、その内強制労働所に放り込まれるかもしれない。

 いざとなったら、自分が家を継げば良いだけだしね。女でも当主になれる国で良かった。

 今回の集団お見合いでそれも怪しくなって来たが、祖父は抜かりなく親戚筋から真っ当な跡継ぎの男子を見つけていた。これから跡継ぎとして教育するらしい。

 祖父には、父と伯父に家を継がせる気が無い事が丸判りだった。

 仮に自分が家を継ぐ事になっても、教育は無駄にならない。

 祖父が拾って来たこの男子の実家(騎士爵家)は『長男だけが優遇される家』で、騎士に成る為の才能が乏しかった次男以下には、貴族としての必要最低限の教育しか施さない毒親が当主だった。

 そんな次男だったこの男子は『勉強がしたかった』と祖父に引き取られて喜んでいた。この分なら、当主教育を施しても無駄にはならないな。今後の状況と勉強の成績次第では、自分の婿になる可能性も残っている。

 


 そうそう。半月前に元婚約者の馬鹿犬が押し掛けて来た。

 あの馬鹿犬は獣人族としての身体能力をフルに活かして、門を強行突破して不法侵入をやらかした。そして、家に押し入った馬鹿犬と再会した時、自分は緑茶に似たハーブティーを淹れようと、白湯を作る為に熱湯を冷ましていた。

 馬鹿犬の顔に熱湯を浴びせ、床をのた打ち回らせた後に、背中を踏ん付けて馬鹿犬を制圧した。歩く感覚を取り戻す為に、ハイヒールを履いていて良かった。

 馬鹿犬が寝言を履く度に、ヒールに力を入れて背中を容赦なく踏み躙った。そのままの状態で侯爵が回収に来るまで待った。

 祖父と共に遅れてやって来た侯爵は、床上で踏まれて這いつくばっている自身の息子を見て天を仰いだ。侯爵は自分と祖父に謝罪して、馬鹿に侯爵家追放を言い渡すと宣言し、伯爵邸から去った。その際、馬鹿の首をきゅっと絞めて気絶させて肩に担いで去った。

 獣人族の体は頑丈だと聞いていたが、首を絞めないと気絶しないのか。侯爵が馬鹿を気絶させる手つきは慣れていた。普段からやっている事が窺える。

 嵐が去った伯爵邸は、使用人総出で掃除を始めた。被害状況を確認してから、侯爵家に請求書と一緒に手紙で知らせる事も忘れない。

 後日。慰謝料を手にやって来た侯爵から聞かされたが、馬鹿犬は鉱山に送り出された。

 自分との婚約解消後にしつこく復縁を求めたストーカー行為と、先日の不法侵入の二つの事に対する慰謝料と、先日の器物損壊の弁償金の支払いの為だ。

 単純に鉱山は獣人族の身体能力をもってしても、脱出が難しいと言う理由もある。今は対策されているが、昔の強制労働所では男性獣人族の脱走が頻発したと聞いた。

 既に侯爵が一括で支払っているので、馬鹿は借金を背負った形になる。

 頭に人間の耳よりも、大きな耳が付いているのに。あの馬鹿犬はどうして必要な情報を聞かないのか。馬鹿犬の弟達は礼儀正しく真っ当に育ったのに、何でだろうね?

 

 

 やたらと変な事が多かった一ヶ月間を思い出し、げんなりとしていると馬車が止まり、ドアが開いた。王城の駐車場に着いたのか。

 御者のエスコートで馬車から降り、城内を移動する。荷物は前日に城から来たものに渡してある。初老の女性文官の案内で離宮に向かう。

 今日の予定は、午後にお茶会形式でお見合い参加者同士の顔合わせを行い、夜に歓迎会を兼ねた夜会が開催される。夜会の参加者は伯爵家以上の貴族だ。夜会で祖父と再会する予定だ。

 案内された離宮の一室で女性文官と荷物の確認を行い、お茶会に参加する。

 自分で最後の方だったらしく、十人近い令嬢が既にいた。

 更に数分が経過して、参加令嬢が全員揃うと、番探しでやって来た王国の王子と令息達が姿を現した。その周辺には護衛らしい騎士服姿の青年もいた。

 事前に二十人を超えるとは聞いていたが、実際に見ると三十人近い数がいる。

 対して令嬢の数は十三人だ。逆両手に花状態は確定と言える人数差だ。辞退は許可されねぇな。

 外務大臣が音頭を取るお茶会は参加者の自己紹介から始まった。自己紹介が終わったら、あとはお好きにどうぞと言わんばかりに自由時間となり、外務大臣は去った。

 十二人の令嬢達は一斉に王子と令息達に群がった。比率で言うと伯爵令嬢が多いから、こうなっても仕方が無いか。一人取り残された自分はジュースを求めてテーブルに近づいた。

 何か飲んで考えを纏めつつ、番探しで来た一行を観察しよう。

「品の無い女共だ……」

 暫しの間、観察していると背後から舌打ちと共に、毒づいた言葉が聞こえて来た。

 振り返るとそこには、水が注がれたグラスを手にした、他の騎士とは違い一人だけ紫色の片マントを身に着けた騎士服姿の黒髪の青年がいた。金色の瞳が自分と合うなり、青年は仏頂面になった。

「君は行かないのか?」

「私は諸事情あって、一度辞退を希望した身です。それに、あれを押しのけてまで近づく気にはなれません」

「辞退? 王子妃ともなれば、令嬢ならば例外無く目の色を変えるだろう」

「私は三年前に、獣人族の男性との間にひと悶着起きて婚約を解消する羽目になりました。番とかそう言ったのに良い思い出がありません。今回は数合わせとして参加しているだけです」

「……そうか」

 青年は顔を顰めた。婚約を解消した傷物がいるとでも思ったのか?

「変な男」

 ぼそりと呟いてからジュースを飲み干し、グラスをテーブルの上に置き移動する。何時までもここにいる訳にはいかない。一塊になっているところへ向かった。

 数合わせとは言え、一行と完全に接触しない訳にはいかない。

 簡単な挨拶だけ交わしておこう……と思い実行に移したが、今回やって来た令息一同は問題児であるか故の『売れ残り』だった。

 何しろ、挨拶だけでもと近づいたら、見下しの視線と共に悪口雑言を受けた。

「黒髪の地味女がこの俺に近づかないでくれるか?」「華やかさが無い」「君は本当に十七歳以上なのか? 私は幼女趣味では無いんだよ」「本当だな。身長が低過ぎるよ」「そんな低身長でダンスとか出来るのかい?」「舞踏会でパートナーを務めたら足を踏まれそうだ」「そんな事をしそうな君の相手は嫌だなぁ」「ちょっと皆、本当の事だとしても言い過ぎじゃないか」「「「「「「「そうだな」」」」」」」

 あはははっ、と笑う馬鹿令息一同。ああ、家を継がないから変なプレッシャーとかも受けずに育った馬鹿だったのね。王子と令息で八人と聞いた。つまり王子もここに混ざっている。

 ブチッ、と何かが切れる音を聞いた。

「……へぇ」

 自分の口から漏れた声は思っていた以上に低かった。ついでに殺気も漏れたので、笑っていた馬鹿八人の顔色が変わる。僅かに目を眇めると八人は直立不動となった。

「まぁ、プライドと理想が高過ぎて、顔と身分の割に売れ残ってしまった男性が言いそうな事ですわね。遠路遥々、我が国にやって来てそのような発言しか出来ないなんて、オツムの出来を広める為にわざわざいらしたのかしら?」

「あ、いや、その……」

 八人の内の一人が何かを言い募ろうとしたが、言いたい事が有るのかと尋ねたら『何でもない』と首を横に振った。

「そこまで仰るのなら、私は今後の交流会に参加しなくても良さそうですね。私も好きで参加している訳ではありませんの。陛下と相談して本来の予定を優先さて頂きますわ」

「ああ、そうすると良い」

 背後から声が掛かった。誰かと思えば、先程少しだけ言葉を交わした青年騎士がいた。

「そこの八人は、今回も問題を起こしたら、陛下が決めた未亡人と婚姻する事になっている」

「あら、本当に売れ残りでしたの。まぁ、顔と身分が良くても、オツムに問題があるようですし。番となる相手を見つけられずに、売れ残ってしまうのは当然の帰結なのでしょうね」

 憐み身を込めた視線を送ると、八人は顔を引き攣らせた。

 漏れていた殺気を引っ込めて、八人に一礼してから去る。

「今回の事は皇帝陛下にも報告する」

 去り際に青年騎士はそんな事を言った。了解したと反応を見せる為に小さく頷き、お茶会の会場から去った。残りの騎士達と接触は――しなくてもいっか。

 どうせ歓迎の夜会でもう一度会うんだし。



 給仕の一人を捕まえて、『急用で離宮に戻る。手間暇掛けてお菓子を作ってくれた料理人達に悪いから、お茶会が終わったら、幾つかのお菓子を部屋に運んで欲しい』とだけ頼み、離宮の部屋に戻った。

 遅れて運ばれたお菓子は美味しかったよ。

 


 ※※※※※※



 参加令嬢達との自己紹介を兼ねたお茶会が終わり、王国側の参加者一行は帝国が用意した迎賓館に戻った。

 迎賓館で最も広い応接間に移動するなり、紫色の片マントを身に着けた青年騎士はソファーにドカッと腰を下ろした。青年騎士は不機嫌を隠さずに腕を組み、自身の目の前で直立不動となっている八人を見据えた。

「……んで? この落とし前はどう付けるんだ? 今ここで言え」

 怒気が含まれた低い声は八人の鼓膜を震わせる。滝のような汗を掻いた八人は命の危機を感じ取ったのか、一斉にその場で片膝を突き、額を床に着ける勢いで頭を深く下げた。

「「「「「「「申し訳ありません、王太子殿下!!」」」」」」」「ご、ごめんなさい、異母兄上(あにうえ)!!」

 異口同音に謝罪の声が木霊した。八人は必死になって、額を床に擦り付けるようにしている。

 同席している赤い片マントを身に着けた護衛騎士一同は、残念なものを見るような視線を八人に送っている。八人の中に末王子が混ざっているが、騎士達は王太子と呼ばれた青年を諫めない。

「這いつくばるように謝罪をするのなら、初めからやるんじゃねぇと、何度も言った。頭を下げるしか出来ないのなら、お前らを全員、あそこに出荷するか。確か、兎の女王が『竜族の相手をしてみたい』とか言っていたんだよなぁ。人数も『多めが良い』とか言っていたな」

 王太子の『出荷する』の発言を受けて八人は顔を上げ、出荷先が『兎の女王』だと知り、半数が白目を剥いて倒れた。気絶するものが続出する中、戦々恐々とした末王子が、王太子に質問をする。

「あ、異母兄上。それは僕も、入っているのですか?」

「あ゛ぁ? 当然の事を、今になって確認するのか? 入っているに決まってんだろ」  

 王太子の回答を受けて、末王子は白目を剥いた。だが、王太子の殺気を受けて、すぐに姿勢を正した。

「そもそも、今回の訪問目的は『魔法薬の融通交渉』が本命で、お前らの番探しは『二の次』なんだよ。おまけ以下のお前らは、何で息をするように国家間交渉が不利になるような事をやらかすんだ? あ゛ぁ?」

 ギロリと王太子に睨まれて、辛うじて意識を保っていた令息が泡を吹いて倒れ、末王子は震え上がった。

「母親が公妾だとは言え、お前も王家の末席に名を連ねてんのに、王子としての自覚が無さ過ぎる。お前だけは兎の女王ではなく、猫の女大公のところに出荷すべきかもしれないな」

 王太子が言った猫の女大公とは、数年前に旦那を失くした御年五十歳の女傑だ。この人物には末王子よりも年上の息子がおり、孫までいる。息子夫婦と孫には発揮されていないが、加虐癖を持つ人物で、問題児を引き取り性格を矯正する事(じゃじゃ馬の躾)を至上の愉しみとしている。

 引き取られたら最後、二度と家の外には出られない事でも有名だ。

 そんな女性の許へ出荷すると言われた末王子は、今度こそ泡を吹いて失神した。

 王太子は同席している騎士達に命じて八人を部屋に運ばせた。

 夜会に参加して、問題を起こさなければ、それでいい。

「他はどうだった?」

 王太子はお茶を持って来た側近の騎士に声を掛けて、成果を尋ねた。

「二名、番の女性を見つけました。共に獣人族の伯爵令嬢です」

「夜会の護衛の配置を組み直せ。外交官の方はどうだ?」

「現時点で薬師ギルドが保有している一割弱を融通して下さるそうです」

「薬師ギルド保有分で一割か。国の保有量は少ないのか?」

「四年前に全て出し、現在、薬師ギルドに納品された一ヶ月分の一割を買い取って溜め込んでいるそうです。ただ、最近になって複数の別の国からも要請を受けるようになり、国が保有している残数も半分にまで減っているとの事でした」

「それを考えると、薬師ギルドが保有する一割は大きいか。この国の薬は品質が良いから、可能なら調剤出来る奴を引き抜きたいところだが」

「それは反対されそうですね」

 王太子は苦笑する騎士からお茶が注がれたカップを受け取った。

「例の魔法族の御令嬢への対応はどうしますか?」

「先ずは謝罪。次に馬鹿の処遇について教える。過去に獣人族と番関係で、ひと悶着起きて婚約解消になったらしいから、これともう一つ二つで済めば良いな」

「そうですね」

 王太子は騎士と顔を見合わせた。

「ところで、殿下は番だと思える女性を見つけましたか?」

「見つかる訳無いだろ。竜族の特性を思い出せ」

 力の強い竜族は『番の女性と出会っても気づけない』事が多い。手袋越しでも手を握るなどの触れ合いを得て初めて判明する事が殆どだ。

 王太子ともあろう人物が、女性と気軽に触れ合う事は出来ない。女性に気を持たせてしまうと、婚約を迫られかねないので、迂闊に触れ合う事が出来ないのだ。

 竜族を始めとした獣人族の女性ならばこのような事は起きない。特に竜族の女性は王太子との力量差を肌で感じ取ってしまい怖じ気づいてしまうのだ。

 主にそのような事態が発生するのは、人族や魔法族の女性の場合だ。

 それでも王太子の場合、女性は近づかない。

 機嫌が悪いのかと思わせるような鋭い視線を向けられては、大抵の女性は『怒らせた』と勘違いする。この鋭い視線、と言うよりも目付きの悪さは生まれつきで、断じて、機嫌が悪い訳では無い。これを知るのは、ごく一部の国王夫妻と側近だけだ。

 このような事情があっても王太子に接触を試みる女性はいるが、例外無く、鋭い眼光を受けて逃げている。

「そう言えば、件の御令嬢は殿下と会話をしても怖がりませんでしたね」

「……確かにそうだったな」

「一度試してみてはどうですか?」

「面倒だが、馬鹿共のせいで一度は接触しないと何だよなぁ」

 王太子は乱雑に頭を掻いた。



 ※※※※※※



 時間は流れて、歓迎会を兼ねた夜会の時間になった。

 離宮仕えの侍女の手伝いで夜会用のドレスに着替え、化粧を薄く施して貰う。髪はスズランに似た花飾りが付いた銀色の簪を一本使って巻き上げて貰った。

 この簪は『結婚相手は探していません。近寄るな』と周囲の人を牽制する際に身に着けるものだ。

 自分は、国が主催する集団お見合いに参加している身だ。夜会参加者に『近寄るな』と警告を兼ねて身に着ける事にした。

 離宮から夜会会場へ向かう途中で祖父と合流した。共に移動しながら行う情報効果は顔合わせのお茶会だ。

 やって来た王子と令息達の態度は酷いの一言に尽きる。皇帝がどんな判断を下すか知らないが、今後の国家間交渉に影響が出る可能性もある以上、あれ以上の醜態は晒さないだろう。

 彼らに関する情報を自分に齎した騎士の正体が気になるところだが、今後接触する機会は無いだろう。

 祖父のエスコートで到着した会場には既に多くの国内貴族が集まっていた。集団お見合いに参加する為の試験で篩い落とされた中位以上の貴族令嬢と、下位貴族の令嬢は気合いを入れて着飾っていた。

 他国の王子が来ているってだけで耳目を集めるんだろうが、あの言動を見ると『ハズレ』だな。

 程なくして、雛壇上に姿を見せた皇帝が開会を宣言し、国賓の王子を始めとした八人を紹介を行い、夜会は始まった。

 何時も行われる主催者の皇帝への挨拶は今回に限り不要となっている。なので、夜会が始まったら祖父と一緒に知り合いに適当に挨拶回りのお供をして、早々に別れて壁際に避難した。その前にテーブルに寄り、果実水が注がれたグラスを手に取る事も忘れない。

「御令嬢、お時間良いかな?」

 グラスを傾けた直後、背後から声を掛けられた。グラスをテーブルの上に置いてから振り返ると、紫色の片マントを身に着けた騎士がいた。夜会専用の騎士服なのか、服の飾りが豪華だ。

 用件を尋ねると、謝罪と八人がこの国を去ったあとの処遇について教えられた。

「『あの』女王陛下の許へ、送るのですか?」

「『あの』? もしや御存じで?」

「ええ。愚行の果てに種を失くした、私の実兄が三年前に女王陛下の許へ送り出されました。何度も脱走を試みたので、檻に入れて移送しなくてはならなくなり大騒動でした。事の発覚にも兎の侍女が関わっていましたので、兎の方は何時までも元気なのですね」

「……そうでしたか」

 身内の恥に当たる事を明かすと、騎士は顔を引き攣らせた。こんなところにも生贄を送り出した奴の身内がいるとは思わなかったか。

「そう言えば、本来の予定があると言って言いましたが、それはどのようなものでしょうか?」

 唐突な話題転換だが、この話題で話を終わらせるのは嫌だったので乗る事にした。

「私は薬師ギルドにも所属しています。ここ一年、特定の魔法薬ばかりを作っています」

「それは……、もしや香水用の丸薬?」

「まぁ、そちらの国でも需要がありましたか」

 騎士の目の色が明らかに変わった。もしかしてになるが、あの八人の番探しは『おまけ』で、こっちが本命なのか?

 自分の推測が正しかったのか、騎士から質問攻めにされた。

 特に、使用している薬草について根掘り葉掘り聞かれた。あの薬草はこの国の薬師ギルドが開発した変異種なので、他国では流通していない。成長させる時点で大量の魔力を使うから、流通させても扱いが難しい。

「あの薬の材料も、この国のものでしたか」

「薬師ギルドの研究の成果です。問い合わせても融通は難しいでしょう」

 思っていた以上に喋り、喉が渇いたのでグラスの中身を飲み干す。

「調剤出来る人物の数は少ないのですか?」

「ええ。私を含めて十人程度ですが、一度の調合で魔力を使い果たすものが多く、三日に一度しか調合出来ない方が多いです」

「……そんな状況でしたか」

 騎士は何やら考え込み始めたが、『情報提供に感謝する』と握手を求めて来た。

 番は出会うと判るものだ。握手をする必要は無い。

 獣人族に関わる基本的な知識を引っ張り出し、握手に応じて騎士と別れた。

 その後は料理とデザートに手を伸ばし、舌鼓を打ちながら会場内を見回した。


 

 そして、この翌日から毎日のようにこの騎士に付き纏わられるようになった。

 でも二十日が経過した頃に発生したトラブルの最中にこの騎士の正体が王太子だと知り、更に番と認識されてしまい困り果てた。

 まさか竜族の中でも力が強いものは、手袋越しでも『接触しないと番が解らない』なんて知らなかった。

 最も困ったのは、皇帝に泣き付かれた事だ。

 残りの数日間で、祖父と薬師ギルド長を交えて話し合ったが、大騒動になった。

 結局、一行と共に帝国を発つ事になり、到着した竜族が治める王国では政変紛いな事が起きて、上へ下への大騒動と化した。

 襲い掛かる暗殺者を全て撃破し、騒動を引き起こした奴を王太子と一緒に捕縛して、騒動を収めた。それは良いが、今度は王妃や側妃から狙われるようになり、毎日嫌がらせを受けて困り果てて、隠居させるまでが長かった。



 こんな未来が来る事を知らないまま、自分は歓迎の夜会でデザートを堪能していた。

 


ここまでお読み頂きありがとうございます。

キャラ名すら考えずに書いた作品となりました。

獣人族が登場し、番が関わる作品ですが、ライトに書くのならこんな感じかなとイメージしながら書きました。

作中にいれませんでしたが、番を探しに来た八人は王太子が宣告した通りの処遇になりました。

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ククリが最終的に受け入れる男は実力も彼女に対する誠実さも持っているので、案外、恋愛脳女神の加護はいい仕事しているなぁと思うこの頃です。肚が黒いのはトップの証ということで。 政略お守り婚は相性なんて考え…
国際的な価値は、この魔法薬の生産量>>>一国の王太子、ではないかと読みました。以下、その仮定を前提として。 おそらく主人公は生産の主戦力だろうなとか、あちらの国で生産続けられたとしても生産量落ちそうと…
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