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第109話「京骸、美波 VS A、キース『圧倒的強さ』」

「京骸、俺はなALPHAのためにルイ様のために生きてる。ルイ様が殺せと言ったやつ誰でも殺す。当然、お前もだ」

「とことんイカれちまったなお前は。まあ、そうでもなければALPHAになんか入らないもんな」

「イカれてるのはお前たちだ。従うリーダーを間違えてる」

「そうか。でもな…」

 青く輝く京骸の刀は紫(青のワンランク上)に代わりその二刀流の刃先をAに向ける。そして、動作が始動したとき、

 Aの胸には京骸の刃が刺さっていた。

 Aは思わず血を吐き、背中から出ている鉄の羽は力なくしぼんでゆく。

「A、お前は大垣さんを、モラドを誤解している」

 心臓を貫いた京骸の刀を抜いてAは腹部を抑えて咳き込みながらなんとかして言葉を発した。

「誤解?」

「大垣さんはお前を殺すためにヴァンパイアを送ったわけじゃない。お前はルイに騙されてただけなんだよ」

「そんなはず…」

「大垣さんは地下のヴァンパイアを操作する権力は確かにある。でもな、殺しで解決しようとするような人じゃない。結局ルイにハメられただけだったんだよ」

 Aは胸に刺された痛みを堪えながら、

「いいや違う。大垣は確かに何か隠している。あの地下の書斎がそうだった」

 しかし、京骸は何も迷うことなくそれでいて自分の刀についたAの血を拭き取るまでの余裕を見せて当たり前のように話を続けた。

「一生言ってろ、A。お前が誰に世話になったのかよく考えろ。救われた命なんだろ」

 Aは胸から出る大量の出血から耐え切れるはずもなく、次第に膝から崩れ落ち地面に体を伏してゆく。


 AはモラドNo.1の京骸亮一郎を前にして呆気なく崩れ落ちていった。

「A、お前がALPHAを信じたのもモラドを裏切ったのもお前の自由だ。でもな、この結果は信じる相手を間違えたお前の落ち度だ」

 地面に伏して戦闘の意志を見せないAは京骸に目線だけ送ってなんとかして答える。

「…今に後悔する。お前たちが選んだ選択をな」

 それだけ残して、Aは命を落とした。


 残されたキースは命尽きていったAに胸の前で十字架を切ってAの死を弔った。

 キースは長いまつ毛を細めてAをしばらく見た後、Aを殺した京骸に視線を送った。

「私も長く生きているが、目に前で仲間がやられるのはなれねくてねぇ。京骸…君だったかな。容赦はしないけど後悔はしないようにねぇ」

 キースは着ていた白い隊服を脱ぎ捨てて、傷の修復でツギハギだらけにった肌を露出した。

「君を殺すまで私は帰れないねぇ。A君のためにも」

 キースは全身に力を入れて体の中心に力を蓄えるように体を縮こめた。すると、体のあちこちで泡のように皮膚が簡単に波打ってそれが身体中に広がってゆく。


 額からは角が2本生えて鬼化したことがわかった。しかし、他のヴァンパイアとは鬼化の仕方が違った。身体中を駆け回る波は次第に激しさを増してキースの皮膚はゴムのように伸び縮みする。体が次第に大きくなり元の体の2倍ほどの多きさに膨れ上がっていた。


「きぇ…きぇけけけ」


 肥大化するキースは意味をなしているのかわからない言葉を発し始めた。それは、生物として冷静な判断をしているものの言葉とは到底思えなかった。

 身体中を駆け巡る大きな泡は時に破裂してキースの皮膚を突き破って血や肉を弾け飛ばしているが、当人のキースはそんなことは全く気にしていない。それどころか、自分の体の感覚を確かめるように皮膚を触って感触を確かめていた。


 身体中の泡は治らないが、それでも自分の体に手応えを感じているキースはようやく自分の本来の姿を出せたとでも言いたげに気分よさそうに天を見上げた。

「生かしてもらった命。組織のために捧げる命だよねぇ」

 

 キースは少し落ち着いてから長く一つ息を吐いて自分が持っている、針のように先の尖った刀に視線を向けた。

「始めようかぁ」

 そう言うキースの姿は元の整えられたオースバックや髭などは跡形も残っておらず原型を止めていない。

 身体中に生まれた泡が弾けて、皮膚がほとんど剥き出し状態になっている。当然、頭は泡が弾けて脳が剥き出し状態になって、自慢の髭は見る影も無くなって歯が剥き出しになり、西洋人特有の高い鼻も無くなって鼻が元あった部分は平になって顔の中心部分に穴が二つあるだけになっている。

 まさに、生きる骸骨のように体の中身が全て剥き出しになっている。


 そして、身体中の至る所から小さな火が出初めて次第にそれは全身に這うように広がり始めた。

 体全体が燃え始めて体を包む赤い炎と手に持っている紫色(ヴェード上から2番目のランク)の刀がくっきりと見える。


「ギョエエエァァァァ」


 もはや人間でもヴァンパイアでもない声を出しながら京骸ヘ向かってくる。途中、美波とジャンセンがキースを止めに入ったが刀一振りで2人の体は簡単に持ち上がりキース(?)の動きを止めることは出来なかった。


 気品のある高貴な佇まいのキースはその見る影もなく食欲を満たす野生動物のように本能のままに目の前の敵に対して突進をし続ける。

「なるほどな。救ってもらった命って、ただ殺戮兵器にされただけってわけか。これも実験ってことかよ」

 キースは自我を失い目の前の倒すべき相手に向かって奇声を上げながら向かってゆく。


「強さってのはな…」

 キースはまだ奇声を上げながら京骸の元へ向かってゆく。一直線に最短距離で向かっている。

 そして、お互いが剣を伸ばせば届く距離まで近づいた時。決着は既についていた。



「苦労して手に入れなきゃ意味ねぇんだよ」

 上半身と下半身を二つにされたキースの体は地面に落ちた時に煙のように消えてなくなった。コンクリートの地面には焼けた灰の跡だけが残りそれがキースの死体として残った。


 静まり返る空間に京骸が納刀する音だけがはっきりと聞こえる。

 しばらくあってからジャンセンが思わず言葉を漏らす。

「さすがです。京骸さん」

「やっぱNo.1ね」

「そんなことはどうでもいい。さっさと奪われた混血を取り戻しに行くぞ」







 その頃、岩巻に連れて行かれた楓はALPHAの本拠地である国、地下世界アガルタの最東端バスティニアの国境前まで来ていた。

 出血多量で気を失っている楓は岩巻の肩にもたれかかり岩巻はそれを軽々と持ち上げて国境前の番兵と何やら会話している。

 無表情の岩巻が何かを言うと番兵たちは白い歯を見せてニヤリと笑い、ケーロス(アガルタの草食動物で体長は2~3mほど)が引く馬車を岩巻に提供した。

 岩巻は気絶している楓を馬車の荷台に放り投げて扉を厳重にロックすると運転席に戻り、手に持ったムチでケーロスたちを勢いよく叩きケーロスは鳴き声を高らかに上げた。


 そして、国への入口の門が開くとケーロスたちは勢いよく飛び出して行き、ALPHAの本拠地がある国バスティニアに入っていった。

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