喜びへ歩む
縁側にて。
鞘は外の景色を眺めていた。
正しくは、何を見るでもなくただぼんやりとしていた。
沓脱石の上で足をぱたりぱたりと遊ばせながら、深く息を吐く。
白鵲の巣に来てからまだ二日目。体感としては半日を少し超えた所。まだそれしか経過していないというのに、既に疲労感はピークを迎えようとしていた。情報にも展開にもついていくことができずにいる。
説明されても呑みこめない。
分からない。そればかりが蓄積されていく。
そのくせ、心の一番深い所で好奇心や知的欲求なるものが顔を出そうと、硬い地中から芽を伸ばす植物のごとく身を捩らせているのも感じていた。
だから疲弊するのだろう。分かろうとして、絶えず思考を回転させているから。
でも。
「……やっぱり分からないものは分からないよなぁ」
ぼそりと呟き、おもむろに身を横たえる。
「あの子、何がしたかったんだろう」
喉元に手を当て、既に消失した苦痛の感触と、それをもたらした人物とを思い起こす。
ホシウミ。
突如鞘に襲い掛かった少女を、あの場に居合わせた者はそう呼んでいた。
久遠の腕の中で眠る彼女は小柄で華奢で、いかにもか弱そうな見目をしていたように思う。けれど、その身に秘めた不思議な能力――霊力だったか?――によって、鞘は死の恐怖を体感した。
正直、妖に遭遇した時よりもずっと強く死を意識した。追いかけられたり脅されたりしたわけではない。呼吸を制限されただけ、らしい。でもそれだけのことで人は死にかける。死を意識する。それをホシウミは知っていたのだろう。鞘も知識としては当然知っていたけれど、彼女のはそういう「知っている」ではないような気がする。きっと、技術として知っているのだ。あの苦痛のことも、そして、記憶に手を潜らせることも――
「気分わりぃんか?」
頭上から降る声にはっとする。
視線を上げれば、両手に丼を持った壱喜が鞘を見下ろしていた。
謝罪の言葉を口にしながら慌てて跳ね起きる。
すると壱喜の眉間に一本のしわが刻まれたものだから、鞘は内心「ヒィッ!」と息を呑んだ。
「何かしたのか?」
低い声に問われる。
「え」
「何か謝罪が必要なことでもしたのかって訊いてる」
「いや、他所のお家でこんなごろっと横になったり、あと、皆さんに予定外のことで時間を割いていただいてしまったり、あとはあの……来てしまったこと、とか?」
どこに、とは明言できなかった。それでも途切れ途切れに、思いつくままに返す。
チッ。
壱喜の舌打ちが空を切る。
一刀両断。果物や野菜なら、滑らかな断面をご覧あれと言わんばかりの冷めた鋭さ。
なんか怒っていらっしゃる。
どっかりと隣に座り込む壱喜の横、鞘の顔はみるみる青ざめていった。
それを知ってか知らずか、彼は円の中央に箸の置かれた丼をずいと突き出す。
「深罅からだ。親子丼」
「あ、ありがとうございます。美味しそうな匂いがすると思ったら、親子丼」
「冷めちまったって気にしてたけど、冷めても深罅の料理は美味いんだ」
丼を持ったまま片手を拝ませ「いただきます」を言う壱喜。
やっぱり礼儀正しい。
大口で、けれど綺麗な所作で食事を開始した彼に倣い、鞘もまた「いただきます」と丼に手を拝ませる。一人暮らしをしていた時は、こんなこと気にしたこともなかった。
冷めても艶を失わない肉や卵を箸で掻き分けると、ほのかに温もりを残す白米が光を弾いている。卵と一緒に一口頬張れば、「美味しい」と自然と言葉が零れた。
鞘は食事への関心が薄い方だと自覚している。しかしミヒビの料理はすいすいと箸が進んでいった。ガツンとした味付けの、所謂「男の料理」というよりも身体への配慮を感じられるやさしい家庭料理という印象だ。
鶏肉やわらかい。
ごろっとした肉を噛み締めながら頬を緩めていると、不意に、ミヒビに「好きな物は?」と尋ねられたことを思い出した。
……いや、チキンではあるけど、まさかね。うん、偶然だよね?
どうなんだと探るように丼を視線でなぞってしまう。
「昼飯だけど」
ごくんと喉を鳴らし、口内を空にした壱喜が箸を止める。
「いつもはちゃんとテーブルで食ってるから」
「え? ああ、はい」
彼の言わんとすることがいまいち掴めないが、取り敢えず相槌は打っておく。
彼は続けた。
「今は集まれる奴らで集まって今後の対策練ってるから、今日はここでって話になっただけだ」
「対策、ですか?」
「ん」
「何の?」
「星海の」
危うく箸を落としそうになった。落とさなかった代わりに咽てしまう。
「大丈夫かよ」
「ごほっ、はい、すみません」
「対策」とは何やら大事になっていやしないか。薄っすら涙の滲む目で、鞘は壱喜に説明を求める。
「灯文と颯汰が現場を見てただろ? だから大人や他の連中に事情を説明して、同じことが起こらないようにどう対応するか話し合ってるってわけだ。朧もしばらくはこっち戻れねぇし」
「俺がホシウミさんに近付かなければいい話では?」
「動物も人間も、来ない獲物は追いかけるだろ」
動物はそうだろうが、人間はどうだろう。そしてその言い方ではホシウミに失礼ではないのか?
思わず首を傾げたくなったが、今度こそは何が言いたいのか正しくキャッチできたような気がした。
「つまり、俺は狙われていると?」
「多分な。星海が目的あってちょっかい出したとすれば、次もあるだろ」
「そう、なんですか。でも対策っていうのは大袈裟なのでは……」
へらりと笑おうとすると、
「死ぬぞ」
遮るように短く告げられる。
鞘の身体を凍らせるにはそれだけで十分だった。脅しなどではなく、事実を告げられていることが瞬時に察せられる、静かだが鬼気迫る声音だった。
「あんた本当は分かってんじゃねぇのか? その身で以て体験したんだからな。
……星海はあんた相手に手加減はするだろう。でも、その気になれば確実に息の根を止めにかかる。あいつは目的を達成するためなら一切の躊躇なくそうすることができるんだ。尚且つ、あいつは天才的に強い。本気出されたら止められるのは、……今は朧くらいなもんだ。今は。今はな。
今回は久遠先生が止めたみたいだが、そう何度も上手くいくような確実な方法ってわけじゃない。だから対策が必要なんだよ。あんたが殺されないためにも、星海にあんたを殺させないためにも」
「分・か・った・か」。念を押す様に一字一字を区切って言うと、壱喜は食事を再開させる。口いっぱいに白米を頬張る姿は運動部の食事風景を連想させるが、彼の思考は恐らく、同世代の子どもたちよりもずっと大人びていることだろう。
壱喜に限った話ではない。きっと、白鵲の巣で生活する全ての子どもたちがそうなのだ。美しくも異質な世界で、戦闘を前提とする殺伐とした生活を営み、その中で表に戻ることを目指している。
よく、分からない。
鞘にはやはりそんな感想しか抱けなかった。
丼を持つ手にぐっと力が籠る。
世界、文化、生きていく上での意識。「表」と呼ばれる場所で暮らしてきた鞘と彼らとでは何もかもが根元から違い過ぎる。
けれど、納得できることだってちゃんと存在する。
そのことを壱喜は教えてくれた。
「確認したいんですけどっ」
意を決して鞘は壱喜へと声を張り上げる。
張り上げるくらいの心持ちでいなければ自分の気持ちなど何一つ伝えられない。相手の気迫に呑まれる前に言い切らなくては。そんな気持ちが縮こまりそうな声を喉奥から引っ張り上げた。
壱喜が一瞬目を瞠る。が、彼は口内のものを素早く咀嚼し飲み込むと、手を止めて聞く姿勢を取ってくれた。
それが嬉しくて、だから鞘は踏み込む覚悟を決めた。
「分からないから訊くんですが、あなたたちは、その、……妖以外にも、普段から人を傷つけたり、殺そうとしたりするんですかっ?」
「……」
「失礼なことを訊いていると思います。でも、曖昧にしたくないんです。これからここで暮らす、……一員なので。どんなに表と勝手が違っていようと、表に存在しない妖とか神様とか、そういうものについて、あなたたちのような戦う人についてちゃんと知りたい。何も知らずに一緒にご飯食べたり、歯磨きしたり、話したり、笑ったりしたくないんです。なんか知らないままっていうのは、あなたたちに失礼な気がするし、自分もすっきりしないですし……。だから、教えてください」
勢いよく頭を下げる。親子丼の出汁の香りを鼻先に感じた。
沈黙は長かった。もしかすると数字に置き換えれば短かったのかもしれない。けれど祈る様な気持ちで返答を待つ鞘に鼓動を数える余裕などあるはずもなかった。
「人は殺さない」
漸く訪れた言葉に、窺うようにそろそろと顔を上げる。
壱喜の横顔は穏やかだった。眉は凛々しく上向いているのに、瞳はどこか遠くを見据えて微動だにしない。
「誰だって家族や、そいつがいなくなったら悲しむ奴がいる。だから殺したくないし、誰にも殺させたくない。やむを得ない時もあるかもしれないけど、……殺さなくてもいいくらい、強くなる」
「そう、ですか」
彼が言い終えるのとほぼ同時、鞘は詰めていた息を安堵とともに吐き出していた。表と白鵲の巣。基本的には、二つの世界の間に倫理観の相違はないらしいと受け取ったためだ。
壱喜の表情は曇っていく。
「俺はそう考えてる。でも、他の奴らがどう考えてるかまでは分からん。表には法があるけど、俺らの領分は法じゃ裁けないからな。何せ普通は視えないもんを相手にしてるもんで」
「……教えてくれてありがとうございます。皆さんすごいことばかりするから、根底の観念まで違っているのかと思って。でも、多分そんなに違いません。よかったです。
ホシウミさんが俺をどうしようとしているのかは分かりませんが、こうして確認も取れたし、何かされても間違っても死ぬわけにはいかないですね。そのために、俺は何を気をつけたらいいんでしょうか?」
真剣に問えば、何故か物言いたげな視線を向けられる。
その意味を掴みあぐね、ぱしぱしと瞬きを繰り返していると。
「あんた、切り替え早くね?」
「え?」
「命狙われてるかもしれねぇって時に、何だよ『間違っても死ぬわけにはいかないですね』って。何かされんのはいいのかよ。危機感ねぇな」
「いや、できれば何事もなければいいとは思いますが、そういうわけにはいかなさそうですし。何かあるかもって身構えていた方が気持ち的には幾分かましかと」
「そうじゃなくて。怖くないのかよ、いろいろと」
いろいろと。
随分とぼかした言い方をされている。それは白鵲の巣のことなのか、妖のことなのか、ホシウミのことなのか――発言した壱喜も含めた全てのことなのか。
そういえば。今朝方、朧狐に「落ち着いている」と評されたことを思い出す。壱喜が言いたいことも、もしかしたらそれに近いことなのかもしれない。
自分としては右も左も分からずあたふたしているだけなのだが。
……けどよく考えてみたら。
こうやって誰かと困り事について話し合う機会自体、今まであまりなかったような気がする。誰かと関わる前に必ず見目を気にしていたし、次に相手の反応ばかりが気になって仕方なかった。見目を気にせず誰かと関わる自分の姿なんて、想像したこともなかったのだ。
でもここではそれができている。
ここには、俺を見た目だけで判断する人がいない。
話して、言葉を介して中身を知ろうとしてくれる。
「怖いことはあっても、俺が怖いと思っていたことがここにはないんです」
「は?」
気付けば、鞘の口角は緩やかに持ち上がっていた。
壱喜が怪訝そうに眉を寄せる。
「俺自身に自覚はありませんが、許されずにこの世界に来たんですよね? それで皆さんにご迷惑をかけているのに、いろんなものを貰っているように思うんです。あ、勝手に思ってるだけです。すみません、来て二日で変なこと言ってますよね。だけど、……なので、せめてこれ以上この世界の人が嫌がる様なことはしたくないなとは思って。ほら、ホシウミさんに俺を殺させたくないって、言ってました、よね。あ、はは」
本当に何言ってんだか。
自分の気持ちを上手いこと伝えるなど経験不足も甚だしい。最後の方は気恥ずかしさが勝って、渇き切った笑みでもって閉じてしまった。
訪れる静寂が怖くて、すっかり止まってしまった箸を再始動させる。時間が経過しても親子丼の美味さは変わらなかった。
しばし黙食に勤しんでいると。
「俺らだって居候みたいなもんなんだけど」
唐突に、壱喜がそんなことを言った。
「えっ」
喉を鳴らし目を丸くする。目の前の少年を穴が開くほどに凝視する。何を言われたのか一瞬分からなかった。
「俺らと、あんた。立場は一緒。この世界にいた長さが多少違うだけだっての。なのに、『嫌がる様なことはしたくない』? アホか。嫌がる様なことされて黙ってんじゃねぇよ。自分に失礼だろうが」
彼の語る言葉には少しずつ少しずつ力と熱が籠められていく。次第に瞳にも闘志の炎が宿っていった。
壱喜は丼の中身を口に掻き込んで空にすると、箸と一緒に板張りの床にそっと置く。がばっと勢いよく鞘に向き直り、白髪の隙間から覗く額にびしっと人差し指を突き立てる。
「あいたっ!?」。言うほど痛みのない、咎めるほどでもない攻撃に声を上げてしまったのは激痛が走ることを予測したからだ。
それを丸っと無視して、二発三発と壱喜は繰り返す。
「やり返すつもりでいろ。星海がやったこと、俺の口からも詫びるつもりで来たけど、駄目だな。あんたに必要なのは謝罪じゃねぇ。対抗手段だ。相手を返り討ちにしてくれるっていう反骨精神だ。一矢報いた後に『ざまぁ見やがれ』『くたばりやがれ』と何が何でも言ってくれるっていう悪意たらたらの正当なる報復精神だ!」
「待って! すごいこと言ってる! ぐちゃぐちゃなこと言ってる! あと、手! そろそろ止めてくれません!? 分かったから! ちゃんと話聞いてますから!」
「耳で聞いただけで聴いたつもりになってんじゃねぇ! 言葉を聞いたら考えろ! あんたもあんたを守る方法を考えて自分のために悩みやがれ! 皆のことを考えるなんざあんたみたいな自分の足元も覚束ない奴には三億年は早いんじゃ、ボケ!」
「ボケ!」に合わせて最後の一撃がお見舞いされる。一際強いそれは鞘の額の中心に鈍い痛みと、本人には確認できないが赤い痕をくっきりと残した。
急な出来事に戸惑い、額を擦ったまま呆気にとられている間にも壱喜は宣言する。自身の胸の前で拳と掌をぱしんっと一つ打ち付けて。口元に凶悪な笑みを浮かべて。
「サポートはしてやる。やり返してやろうじゃねぇか!」
「ええぇ……」
積極的に関わりに行く必要ないでしょ。そして勝ってに決めないで。
言いたかった言葉の代わり、鞘の唇から漏れ出たのは細く弱々しい音だけだった。
ぱちっ。
星海が瞼を上げた時、彼女の視界は薄闇に覆われていた。
驚くことはない。この部屋では光を閉ざすのが常。意図的にそうしているので、逆に照明に照らされていたとしたら凄まじい違和感を覚えていたことだろう。
背に感じる布団のやわらかさを名残惜しむことなく身を起こし前髪を掻き分けると、自身の額に居座る赤い宝石を人差し指で撫でる。
宝石の内に仄かな光が宿った。
再びゆっくりと瞼を降ろし、朧狐に事前に伝えられた侵入者についての情報を記憶の隅から手招く。
燦条鞘。
表に住む一般人。
大学四年生。
視えない側の人間だったが、白鵲の巣への侵入により色濃い神気に接触。以降、視えるようになったという。
なお、侵入理由・原因は不明のまま。
「何が『不明』だ」
布団に横たわる星海の前に正座し、穏やかな笑顔で状況を説明する朧狐。その姿を眼裏に鮮明に蘇らせると、笑いを殺すことができなかった。
――鞘にはここに住んでもらう。星海、仲良くしろとは言わない。ただ、彼が近くにいることを許してほしいんだ。
「無理」
記憶した声を嘲笑うように短く返し、今度は自らの目で認めた侵入者の姿を思い浮かべる。
長身で白髪。青い瞳。肌の左半分を走る痣。いかにも人と関わり慣れていなさそうな気弱で頼りない表情。他人の顔色を窺うあまり、確固たる自分を貫き通すなど到底不可能そう、というのが、星海が彼に抱いた第一印象だった。
そして今は、どうやらその印象に間違いはなかったようだという結論に至っている。
脳内に並べた「燦条鞘」に関する様々な情報を起点に、実際に彼に触れて直接視た彼自身の記憶を辿っていく。
頭の中に現れた色彩豊かな帯。無限に続くそれを手繰り寄せ、模様を追いかける。
そうすると、あの時視たものがまるで今目にしているかのように、明瞭に再現されていく。
涙ぐんで鞘を祝福する女の姿。
淡々と業務を熟す学校関係者と思われる男の姿。
制服を着た根暗そうな少年の姿。
教室で堂々と鞘の見目を馬鹿にする少年少女の姿。
これらは星海が鞘の記憶に触れた際、彼が瞬時に結び付けた記憶の群だ。何かしらの有意味刺激を提示した中で固く結びついたものではなく、紙にインクを落としたら偶然模様ができた程度の偶発的な繋がりしか持たない、いわば無意味な文字の羅列に等しいもの。重要か、そうでないかの関連性など欠片もありはしない。
本来であればもっと解消度を上げて、より深く、じっくりと彼の記憶を視たいと考えていたのだが、面倒な番犬が二匹いる中での強行突破はさすがに難航を極めた。やる気になればできないこともなかったが、その場合二匹とも戦闘不能にまで追い込まなければならなかったことだろう。それ自体は赤子の手を捻るよりも容易なことだったが、それをしてしまうと後が面倒なのだ。二匹を撃退すれば必ず朧狐が出て来る。雑魚はどうとでもあしらうことができるが、彼は駄目だ。対峙すれば負ける。勝算などない。
故に短時間で行わざるを得なかった記憶の直視。
成果など期待できないと思っていたが、思いがけず大きな情報を得ることができた。
「虚」
呟き、星海は帯を手元に引き寄せる。
と、手元の帯の模様から黒煙が立ち上った。空に留まり蠢くそれは幾重にも重なり闇を深めると、やがて巨大な穴となって星海を見下ろす。
頬が釣り上がる。
華奢な身体をくの字に曲げて、鈴を思わせる高い声が震えた。
何が「原因不明」だ。
開眼と同時、自らの意識を現実に帰す。
実体も笑っていた彼女の身体は後ろに傾ぎ、そのまま布団に受け止められた。
何が「一緒に暮らす」だ。
調べもせずによく言う。
脳裏にちらつく金糸の髪。
やさしく細められた翡翠の瞳。
それらの持ち主を思って、次に、あの侵入者を。
唐突に笑う気が失せた。
室内に静寂が訪れる。
「お前ができないならやってやる。僕があいつを調べてあげる」
いいだろう? 朧。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
新年最初の投稿になります。予定よりも随分と遅くなってしまいました。
今後も遅れは生じると思われますが、少しずつ更新していきたいと思います。
次回の更新は1月23日(日)を予定しています。途中に挿絵の更新が入るかもしれません。
今年も「Re◆Incarnation」をよろしくお願いいたします。




