夢を諦め切れなかった男
「ハッハッハ」
白い部屋の中ある男の笑い声がこだまする
「ヒャッヒャヒャ」
それはある人から見れば狂気と、またある者から見れば壊れていると称するだろう
「ヒッッゴホッゴホッ」
そしてむせた
その張本人こと四谷 慎二は大きく深呼吸をして自分を落ち着ける
だが 興奮(?)してしまうのも仕方がのないことだろう
「やっと やっと出来たぞ ついに」
と思わず独り言を口に出したところで
「はぁ はたから見ればかなり気持ち悪いですよ」
と声をかけられた
そこでふと我に返ると隣にはいつの間にか美女と言っても差し支えないほどきれいな女性が立っていた
彼女の名は四谷 乙女 名からわかる通り慎二と夫婦の仲にある
髪はきめ細かく手入れをした黒髪を肩まで伸ばしていてまさに八方美人という言葉がにあう女性だ
「ああ 分かってる というかいつからそこにいた?」
「わかってるなら もう少し声を抑えてください あと私はつい先ほど来たばかりです」
「というか よくここまでたどり着けたな」
「そこも理解しているならもう少し整理…いえなんでもないです」
乙女が言う通り部屋はとにかく大きくそのいたるところに機材が並んでいる
しかもその機材がほとんどの人から見て用途が見当もつかないので怪しさもある
中には動かすことができるのか分からない物もあれば動かしたら壊れてしまうような物もある
つまるところ 整理するのはもはや不可能 手遅れである
そしてそこから推測される通り慎二は研究者である
「で 今度はなにやらかしたんですか」
「ついに これまでしてきた研究すべてが実を結ぶ時が来たぞ」
「これまでの研究すべてって手を使わず物を動かす方法とか意味が分からない研究ですか?
それらが使われる研究…一体どんなことを研究していたんですか?もったいぶらずに教えてください」
と 言いながらコヒーの入ったコップを渡す
それを飲み、先程とは打って変わって落ち着いた表情で
「ようやく 俺の夢だった異世界転生のメカニズム及びその機械が出来た」
「え?」
「だから 夢が叶った」
「え?」
「ここまでの道のりはかなり長かったなぁ」
「はぁぁ?」
そう彼の研究は実は異世界転生というかなり馬鹿げた内容だったのだ