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剣の谷の狙撃手  作者: キャップ
第二章 秋津洲
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秋津洲

1等陸佐、国友栄治くにともえいじは1時間以上も見つめ続けていたパソコン画面から目を離し、瞼をこすった。




キーボードの横には「ブルーライト90%カット!!」を謳い文句に家電量販店のパソコンコーナーに並んでいたメガネが無造作に放り投げてある。




なんでもパソコンやスマートフォンの画面からはブルーライトという有害な光が出ており、目に良くないらしいということだが、何がどうして悪いのかということまでは理解していない。




「何をいまさら」と気にしない風を装っていた国友だったが、自衛隊はその仕事柄、どうしても右へ習えの風潮が強い。1日中パソコンに食らいついている若手幹部がそろって同じメガネをかけているのを見ると、彼らよりも20年近く歳をくっている自分がどうしてそう言えるのだろうかと結局折れてしまった。




だが国友自身子供のころから目は良く、メガネやコンタクトといったものに頼ったことはない。その違和感故、ブルーライトメガネのレンズが埃で曇るまでにそう時間はかからなかった。




どんな小さなことでも、ストレスとなるようなことは最小限にしておきたかったからだ。




師団司令部へ向け駐屯地を発ったのが2日前。師団長への状況報告や指導受け。そして休憩を挟みながらの計15時間にも渡る会議を終え、この見慣れた連隊長室に戻ってきたのはほんの3時間ほど前だ。




時計は午前1時をまわっている。疲労が相当に蓄積しているのは間違いないが、どうしても眠る気にはなれなかった。




廊下では陸士、陸曹、幹部問わずどんな時間帯であっても常にコツコツと半長靴で床を鳴らしていた。駐屯地の司令官であり、普通科連隊長である自分が休める時に休まねば部下たちも休むことができないことは重々に承知してはいたが、休める時に限って逆に目が冴えてしまう。




今でさえすぐにやらなければならないような仕事をやっているわけではない。再三幕僚達にも休むように言われ、いつの間にか部屋の隅に設置されている目隠し代わりの衝立と壁の間には、折り畳み式のベッドと毛布が置いてあった。


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