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剣の谷の狙撃手  作者: キャップ
第二章 秋津洲
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秋津洲

「役に立つことはあるのか?」という疑問を持ちながらも、10年以上も狙撃手を務め、訓練を繰り返してきた。




陸士長になりたての頃、中隊長の「今度の狙撃銃射撃に参加したいものは小隊長に言え。階級役職関係なく撃たせてやるぞ」という言葉に興味本位で乗ったことが狙撃道への始まりだった。




100メートルからの零点規正から始まり、その射場の限界である500メートルまでの射撃だった。




観測手の的確な指示により、初の狙撃銃射撃でありながら思いのほか結果は良好。鉄製の的に弾丸が命中し、塗装が弾け、激しく破砕する小気味よい金属音が射場に響き続けていた。




当然だろう。ほぼ無風であった上に、使用していたのは旧式の64式7.62mm小銃をベースとした64式狙撃銃ではなく、数年前から自衛隊が調達を始めたばかりのM24対人狙撃銃だったのだから。




好条件の上に、距離もさほどではなく銃自体も当たるように作られている優等生。にもかかわらず俺は勘違いをしていたわけだ。




小隊長からの「来年度新しく編成される狙撃班に入らないか?」という誘いに俺はろくに考えることもなくOKを出してしまった。狙撃手の任務が一体どんなものなのかも知らずに。



結果、俺は後悔していた。




興味本位で狙撃訓練に参加したこと、好条件での射撃の結果を腕の良さだと己惚れたこと、ろくに考えも調べもせずに狙撃手になったこと。




仕事だからこれまでやってきたに過ぎない。高校卒業後すぐ入隊したが故に自衛隊しか知らない俺であっても、何の不満もなしに働ける職など皆無なのは理解していた。金は必要。だから続けてきた。




矛盾するかもしれないが、面倒だと感じながらもそれなりにまじめに取り組んできた自負はある。狙撃班は少数であり、2人1組が常であるが故、1人が足を引っ張る事で作戦運用に大きな支障が出るからだ。



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