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剣の谷の狙撃手  作者: キャップ
序章 祖国への船出
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祖国への船出

一方当時の日本は、大航海時代の半ばまで幕府が日本人の出入国や貿易を厳しく制限していた。もっと自由に他国との交流を行い、大航海時代を構成した国々との接触があれば、日本の造船技術は今以上であっただろうと思う。




今やイギリスはヨーロッパ一の造船大国だ。優れた船を造る者たちに船を造らせることに疑問を抱く理由はないだろう。




外国艦に対して不信感を抱いている将校は決して少なくはないが、少なくとも建造を任せた事は、その国の技術を認めているという事実に他ならない。運用するのが日本人である以上、日本視点から見れば劣っている点はもちろんあるだろう。しかしイギリス艦は優れている。それを完全に否定することは誰にもできなかった。




そんな中、この艦は前例があるイギリスではなく、フランスによって建造された。その理由についてもやはりイギリスの存在が大きい。




近年、フランス海軍はイギリス海軍に対抗するため軍艦における技術革新を主導しており、また日本は幕末時にフランス人軍事顧問団を招き、軍政改革を行っていたことから日本とフランスには軍事的なつながりがあった。




世界一強力な軍艦を造る国を押さえつけるために技術力を向上させている国の 技術をも取り入れようと、日本は新たな防護巡洋艦の造船をイギリスではなく、あえてフランスへと一任したのである。




また、かつての北アメリカ探検時はイギリスだけではなく、フランス、そしてイタリアも参加しており、元々の技術力も高い水準にあった。イギリスに引き続いた今回の賭けも決して分の悪いものではない。




詳しくは聞いていないが、今後さらに日本は、新たな防護巡洋艦の建造を同じフランス製のものとする可能性があるとのことだった。




今後、この艦を運用することで試験航行では発見できなかった問題や、新たに発生する問題等も間違いなく出てくるだろう。それらの内容によっては今後日本人が駆るフランス艦が建造されない可能性もある。




それはそれで仕方がない。兵器は実戦に放り込まれて初めて重大な欠点を露呈する。何かしら必ず欠点を持つ人間が作った以上、兵器もまたそれと同じだ。やはりこれも未来永劫変わる事はないだろう。


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