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剣の谷の狙撃手  作者: キャップ
第一章 狙撃手
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狙撃手

昼間でも使用はできるが、特に今のような気温の低い夜間においてその性能を発揮する。




例え500メートル離れていようとも、藪の中から少しでも顔を出せば、すぐさまそれを黒い背景の中に白い影として敵の存在を浮かび上がらせる。夜戦においては射撃、監視任務どちらにおいても必須の装備だ。




眼鏡の映し出す黒い画像を覗き込んだまま今度は銃を左に振った。固く冷たい鉄板に立てた肘がゴリゴリという感覚と痛みで自然と眉間にしわが寄る。




暗視照準眼鏡はその大きさに違わず、重量が2キロ近くあり、さらに銃のフレーム部には引き金と連動してレーザーを発射する火器用交戦装置が取り付けられているため、銃自体の重量と合わせて8キロ近い重さになっていた。




このレーザーが身体用交戦装置を装備した隊員に当たると、そのレーザーが当たった部位によって重症や死亡といった損耗が与えられるようになっている。本訓練では、敵味方全ての隊員がこの機器を使用している。




当然俺も身体用交戦装置を渡されてはいたが、動きの阻害になるうえ、まず反撃を受けることはないので、着込むことなく丸めてすぐ脇へと放置してある。




銃を左限界地点、ちょうど堤防のように積まれている土嚢の切れ目で止めた。そこは滑走路の終点付近であり、意味は分からないが、その終点の滑走路上には大きく「3」と書かれていた事から、「スリーエンド」と呼ばれている地域だった。




この堤防の裏からなら一切身を乗り出さずに滑走路地域を迂回できるが、ここを通ってきたならば必ずこの切れ目出なければならないと、昼間偵察に来た際基地警備小隊長から告げられていた場所だった。




不意にスリーエンドとは逆の滑走路の着陸地域の方向から、小銃の空砲音が鳴り響いた。




数にして2ないし3人。単発ではなく連発で撃っている。明らかな先制攻撃による陽動だ。




すぐさま青部隊の射撃音が返ってきた。それと合わせるように無線機のマイクから交戦に入った旨と、警戒厳の放送が入る。











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