4浮気案件
「私服は相変わらず派手なんですね……」
「前も言ったと思いますが、今私の中でピンクが流行っているんです。だから、服も靴もカバンもメイクも何もかもピンクにしないと気が済まないんです!」
「はあ」
目に痛いショッキングピンクのワンピースの河合さんと一緒に店内に入っていく。予約していたのですぐに席に案内される。昨日見たHPの内装と同じでソファがあり、店内は広々としてゆったりとくつろげそうだ。席のソファに座ってすぐに河合さんはメニュー表を広げた。
「なに注文しますか?私はいつも、本日のおすすめのランチセットを頼みますけど……。今日は明太子パスタがメインですね。それとサラダとパン、スープがついています」
「明太子はちょっと苦手なので、こちらのキノコのカルボナーラにします」
「わかりました。飲み物はどうします?私はアイスコーヒーを頼もうかと」
「じゃあ、私はアイスティーで」
「すいませーん」
偶然かどうかはわからないが、河合さんは明太子というピンク色の食べ物を注文していた。ここまでくると、いっそ尊敬してしまうほどの徹底ぶりだ。
店員に注文を終えると、河合さんは改めて私と向きなおる。そして、真剣な瞳で私を見つめてくる。あまりにもじっと見つめられるので、思わず身構えてしまう。せっかく休日に一緒にランチにきたというのに、和やかな雰囲気は一気になくなってしまった。
「先輩、GWはどういう風に過ごしました?」
「エエト?」
「私は高校と大学の友達と一緒にランチしたり、友達の家に遊びに行ったりしました。あとは、好きな声優のライブにも行きました。先輩は?」
何か深刻な悩みでも打ち明けられるのかと思いきや、休みの過ごし方を聞かれてしまった。私が答えないのをみかねて、河合さん自ら先に休みの過ごし方を話し始める。これは、新手のいじめだろうか。
確かに私は休日引きこもりのコミュ障で腐女子であるが、わざわざそんな私の前で友達と遊んだことを自慢しないで欲しい。
「もしかして、せっかくの長期休暇を何もせず、家でごろごろしていただけなんてこと、ありませんよね?」
「いや、休みの過ごし方は人それぞれでしょう?河合さんにバカにされるいわれはないと思うけど」
「いやいや、私は先輩のことを心配しているんですよ」
「心配?」
「はい、私、見ちゃったんです。おおたかっちが、見知ら女性と二人きりで歩いているところを……」
「はあ」
もったいぶって話し出した内容にあきれてため息が出てしまう。そんな、典型的な浮気案件、あるいは誤解案件に引っかかる私ではない。大鷹さんのことだ。歩いていてナンパされたか、元カノと会ってしまったかのどちらかだろう。河合さんが心配するようなことではない。
「先輩、私だって、おおたかっちが先輩のことをめちゃくちゃ好きなのは知っていますが、今回ばかりはわかりませんよ。実は……」
「ご注文の品をお持ちしました」
河合さんが神妙な顔で話を続けようとしたら、店員が料理を運んできた。浮気案件かどうかはいったん置いておくとして、大鷹さんの行動が気になったので、私は料理を食べながら河合さんの話を聞くことにした。




