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結婚したくない腐女子が結婚しました(連載版)  作者: 折原さゆみ
番外編 年始年末~大鷹家の個性豊かな人々~
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4クラス会の誘い~連絡先くらい持っています~

 1月1日の元旦は大鷹さんの実家に行き、2日は私の実家に挨拶をした。私の家には、私たち姉妹とその家族が集まった。そして、普通に昼食を食べて帰ってきた。


 グリムにもきちんと新年の挨拶をしてきた。昨年はグリムにいろいろBL小説のネタに協力してもらった。今年もぜひ協力してくれと頼んできた。






 私たちは、3日は家でゴロゴロして過ごしていた。私は4日から出勤だったが、大鷹さんは6日まで休みだ。


「私に合わせて一緒に家に居なくても……。」


「いえ、僕が家で紗々さんと過ごしたいだけですから。」





『オレはお前が誰かほかのやつを抱くのが嫌だった。でも、お前を守るためには別れるしかなかった。』


『あなたという人は……。』


 大鷹さんの言葉を聞きながらも、私はテレビにくぎ付けだ。大鷹さんもだいぶ脳みそが腐りかけてきたのだろうか。私が堂々と深夜のBLアニメの録画を見ていても、文句も言わないし、平気で普通の会話をすることができている。挙句の果てには隣で一緒に見ている。


 画面の中では、イケメン男性二人が部屋の中で抱き合ってキスをしていた。素晴らしい。やはり、BLは素晴らしい。ただし、二次元に限った話だが。




「確かにBLも悪くはないのですが……。」


 ソファで座ってみていたのだが、大鷹さんが接近してくるのに気付くのが遅れてしまった。


「チュッ。」


「なっつつつつ。」


 大鷹さんの顔が近づいてきたと思ったら、離れていった。頬に大鷹さんの唇の感触が残っている。慌ててテレビの停止ボタンを押して、隣を見ると、してやったりと言う顔の大鷹さんがいた。


「BLもいいですけど、僕にも構ってくれないと、拗ねてしまいます。」


「いや、拗ねるも何も……。」


 そう言いつつも、うれしそうな顔で再度顔を近づけてくるので、仕方なく私は目をつむって大鷹さんの行動を受け入れようとしたとき。





「ブーブー。」


 タイミング悪く、私のスマホがメッセージを受信した。


「チッ。」


 大鷹さんが舌打ちしたようだが、とりあえず私はスマホを確認する。私にメッセージを送るのなんて家族か大鷹さんか、店のDMだけだが、そうではない予感がした。


「紗々さんもスマホの電源を切ったらいいんですよ。」


 隣でぶつぶついう大鷹さんを無視する。中学からの同級生からの久しぶりの連絡だった。




 


 私は自分がコミュ障ボッチの土日完全引きこもり腐女子だと自覚している。連絡をしてくるのは家族くらいしかいない。今は大鷹さんが加わったが、それくらいだ。それなのに、どうして中学の同級生から連絡が来るかというと。



「高校の時にたまたま、彼女と再会して、その時に連絡先を交換したのを忘れていました。」


 実は、私が所持している連絡先は家族だけではなかった。しかし、連絡を取っていないので、私のスマホの中で腐りかけている連絡先である。高校の時に、思いがけない同級生との再会で、相手から連絡先をねだられて、仕方なく交換したのだ。高校、大学でのグループの会話に参加できるようにとSNSのグループにも参加したりしていた。


 連絡先を整理しようとは思ったのだが、なんとなく、ブロックしたり、削除したりするのはためらいがあって、そのまま放置していた。コミュ障ボッチでも連絡先くらいはあるのだ。使わなければ意味はないと思うが。




 


『倉敷さんって、竹内君に会ったっていうけど、本当?』


『竹内君が倉敷さんの連絡先を教えてっていうから、教えちゃった。そのうち、連絡が来ると思うよ。たぶん、クラス会の案内だと思うけど。』



「クラス会……。」


「竹内とは初詣のあの男ですか。行くんですか、クラス会。」


「行きません。」


 だって、どう考えても楽しめるとは思えない。そして、クラス会など、コミュ障ボッチの土日完全引きこもり腐女子が参加していいイベントではない。


 

 二次元でよくあるシチュエーションではあるが、これは三次元の現実だ。


 大学に入ってイメチェンをしたわけでもない。ただメガネをコンタクトにしたくらいで変わるとは思えない。スカートは高校で卒業したし、化粧も大してうまくない。髪もショートのばっつん前髪で、どうしてクラス会になど出られようか。


 まあ、一つ自慢できるのは、イケメンの旦那を手に入れたことだろうか。とはいえ、自慢することでもないので、参加する意味がない。


 そして。クラス会に参加しない最大の理由は、話し相手がいないことだ。どうせ、クラス会に参加するような奴らは、リア充が爆発していた、今でも爆発している人間だ。そんな奴らと話が合うわけがない。




「でも、クラス会のネタは使えるかも……。」


「紗々さんって、何をするにもネタ重視なんですね。」



「10年ぶりのクラス会。そこで生まれる愛もある。ああ、願わくば参加して、その様子をつぶさに観察したいが、私に行く権利などありはしない。私はただのコミュ障ボッチの土日完全引きこもりの腐女子。そんな高尚な場にふさわしいわけがない。」



 悲劇のヒロイン風に語ってみたが、実際には行く気は毛頭ない。語った後は、妙にむなしい気分になって、テンションが下がった。 


 急にテンションが下がって黙っていると、大鷹さんは心配になったようだ。





「急におとなしくなりましたけど、クラス会には結局、行くんですか。」


「ああ、行きませんよ。そんなリア充の巣窟なんかに行ったら、私は蒸発して消えてしまいますから。」


「行くと消えるんですか。それは困ります。僕としては、紗々さんがあの竹内という男に会ってほしくないので、断って正解です。」



「なので、断りの連絡を入れておきます。」





「ブーブー」


 再度、バイブが振動してメッセージを受信した。



『あけましておめでとう(笑)』


『クラスの知り合いから連絡先を聞いてしまいました。中3の仲間とクラス会を、近々したいと思うけど、倉敷さんもどうですか。』



 噂の竹内君からだった。そんなの返事は決まっている。



『お断りします。』


 一言返して、そして、連絡をしてきた女子にも断りの返事をして、スマホを投げ捨てた。



 なんだか面倒事が起きそうな予感がして、それを胸の奥に押し込めて、私は大鷹さんと一緒にテレビの続きを見るのだった。


 ただし、見ているのはBLアニメ、しかも濡れ場のシーンががっつりの回だったのだが、すでに私は大鷹さんに隠す必要はないので、堂々と見ていた。大鷹さんもなぜか私の隣で逃げずに食い入るように見ていた。


 大鷹さんも腐男子の仲間入りでもしたのだろうか。それだったらうれしいなと、隣で真剣に見る自分の旦那を眺めるのだった。


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