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結婚したくない腐女子が結婚しました(連載版)  作者: 折原さゆみ
番外編 恒例行事になりそうです
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8おみくじ通り(当間視点)

「それで、おみくじ通りに愛しの年下の恋人に見事に振られてしまったと。おみくじって怖いな」


「まさか、俺も振られるなんて思わなかった……」


 俺は仕事帰り、初詣に一緒に行った友達と会社近くのファミレスで夕食を取っていた。友達に梨々花ちゃんとの別れ話について相談するためだ。別れ話と言っても、すでに別れてしまっているが、俺はどうしても彼女との別れを認めたくなかった。友達に相談して、何とかヨリを戻したかった。


 しかし、あれはとんでもない別れ方だった。今までも彼女がいて、その都度別れてきたが、こんなに劇的な別れ方はしたことがなかった。俺と梨々花ちゃんの話しなのに、外野が二人もいたのだ。あれは思い出したくない。


「おみくじ通りなら、復縁なんて無理だろうな。ちなみに彼女の写真ってあるか?お前がそんなにご執心な相手の顔がみたいな。年下だからイイと言うのはわかるが、よほど可愛らしい子なんだろ?」


「ああ、この子だ」


 お互いに料理を注文して、食べながら会話する。俺は友人に梨々花ちゃんの写真を見せたが、友人の反応は意外なものだった。


「これ、典型的なあざと女子だろ。よくこんな女と付き合えたな?年下で可愛かったら、誰でもいいってことか?そりゃあ、振られるに決まってる。むしろ、よく一年も付き合えたなって感じだ」


 友人は写真を見たとたんに、俺への態度が急変した。バカにするようなものに変わり、鼻で笑われた。いったい、梨々花ちゃんの何が気に入らないのか。写真を見ただけで彼女の性格までわかるわけがない。


「お前に梨々花ちゃんの何が」


「おや、噂をすれば、だ。見ろよ。お前の元カノのあざと女がファミレスに来てるぞ」



 俺の言葉は友人の言葉によってかき消される。友人が突然、俺の席の後ろに視線を向けた。何かと思って俺も後ろを振り返って確認すると、噂の張本人が女性二人とともに食事をしているのが見えた。


「なあ、挨拶に行こうぜ。当間、お前って面白いな」


 料理をあらかた食べ終えていた友人は席を立つ。そして、その足で梨々花ちゃんたちがいる席まで歩き始めた。慌てて俺もグラスの水を飲み干してあとを追う。


「梨々花ちゃん、それに河合さんに……。紗々ちゃ」


「こんばんは、当間さん。会社外で会うなんて珍しいですね。私たちは食事を終えたので、これで失礼します。行こう、梨々花ちゃん、先輩」


 彼女たちの前にやってきて声をかけると、梨々花ちゃんより先に河合さんに対応される。彼女達は席を立って、俺達から離れようとする。


「会社外だとしても、私の事をちゃん付で呼ぶのはやめてください。私たちはただの会社の同僚ですから」


 河合さんの次に言葉を発したのは紗々ちゃんだった。彼女にも冷たい対応をされてしまう。


「冷たいねえ。彼女達が例の会社の同僚?ずいぶんと嫌われているみたいだけど」


 友達は俺達の会話を聞いて、口を押えて笑っている。傍から見たら、面白い光景かもしれないが、当事者としては何も笑えない。


「あの、梨々花ちゃん。俺、別れても君とは仲良くして」


「ムリです。この前も言ったように、私には当間さん以外に好きな人ができました。当間さんも私以外に気になる人がいるのでしょう?まあ、その人はあなたのことは眼中にないようですが」


 とどめとばかりに俺の言葉は梨々花ちゃんによってバッサリと一蹴される。そして、なぜか梨々花ちゃんは紗々ちゃんの方を見た。しかし、すぐに河合さんの方に向き直る。三人はそのままファミレス出口に足を進めていき、俺達から離れていった。


 彼女達を追いかけようとしたが、このまま追いかけても良いことはないだろう。むしろ、店内で目立ってしまう。俺はその場に立ったまま、彼女達がファミレスを出ていくのをただ見守るしかなかった。



「あの、もしかしてそのチョコは女性にあげるんですか?」


「男から女にチョコをあげるやつって、俺ら以外にもいるんだな」


「僕たちも、バレンタインに女性にあげようと思っているんです」


 そんなことがあり、精神的に疲れてしまったが明日から週末だ。俺は週末に梨々花ちゃんの為にチョコを買うと決めていた。振られている俺に出来るのは、梨々花ちゃんの俺に対する好感度を上げることだ。


 それには甘いものが好きな彼女に贈り物をするのが手っ取り早い。バレンタインも近いので、それに合わせて送るのがよいだろう。そう思って土曜日に家の近くのスーパーに買い物に出掛けたら、謎の男三人組に声をかけられた。


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