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結婚したくない腐女子が結婚しました(連載版)  作者: 折原さゆみ
番外編 自分の着たいものを着ればいい
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4思いのほか普通でした

 今年のクリスマスは平日だ。平日ということは普通に仕事があるということだ。クリスマス当日の12月25日。私は夕食時に大鷹さんにあることを聞いてみた。ちなみにこの日は世間の風潮に倣ってチキンを食べることにした。チキンバターカレーだ。大鷹さんはおいしいと言ってくれた。


「大鷹さんは私に着て欲しい服装とかありますか?」


「ブハッ。い、いきなり何を言いだすんですか!」


 夕食中ということもあり、大鷹さんはカレーを口に含んでいる最中だった。私の質問に驚いて吹き出しそうになっている。そんなことはどうでもいいが、この反応は、何か私に着て欲しい服装があると見た。


「いえ、今日はクリスマスということもありますので、紗々サンタが、大人の大鷹さんにささやかなクリスマスプレゼントを差し上げようかと思いまして」


「はあああああああ」


 大鷹さんが大きな溜息を吐く。頭に手を当てて考え込んでいる。最近、考え込む大鷹さんをよく見る気がする。その原因の大半は私だが、私としては大鷹さんを悩ます発言をした記憶はあまりない。じいと大鷹さんを見つめて回答を促す。


「ええと、な、なんでもいい、んですか?」


 私に見つめられていることに気付いた大鷹さんが恥ずかしそうに話し出す。なぜ、急に顔を赤らめ始めたのか。大した質問ではない。ただ、妻に何か着て欲しい服装がないかと聞いただけだ。


「もしかして、嫌らしい服装とか想像しています?」


 大鷹さんに限って、そんな破廉恥なことを考えているとは思いにくい。ただ、この恥ずかしそうに顔を赤らめた姿から察するにそういうことだ。まったく、こんなイケメンがむっつりスケベだったとは。だがしかし、かなりおいしい展開だ。


「でも、私が着ているところを想像してもらってもなあ」


 これが儚い系美少年だったり、インテリ男子学生だったり、はたまた会社のさわやか系ワンコ同僚(男)だったりしたら、かなり良い絵面になる。私が妄想したってかなり萌えるのだ。それを大鷹さんが妄想したというシチュエーションはおいしすぎる。別に妄想の中の人物が女でも構わない。


「構わなく、はないかな。男は良いけど、女はなあ」


「なんで、こことで男とか女とか出てくるのかわかりません」


 つい、心の声が口から出てしまったが、実際の妄想部分が出ていないのでセーフとする。咳払いでごまかしつつ、気を取り直して質問する。


「それで、私に何を着させようとしているんですか?」


「それは……」


 スカート、長髪、ニット、萌え袖、タイツ、とか……。


「いや、思いのほか普通ですね」


 もっとこう、過激な服装が出てくるかと思っていた。二次元での定番だと、クリスマスにちなんでミニスカサンタ、あとはスリット万歳のチャイナ服。バニーガールにメイド服。他にも学生時代の制服(セーラー、ブレザー)、体操服ブルマ、スクール水着。挙げだしたら無限にある。


「紗々さんが普段着たことのない私服が見たいなって、思いまして」


 恥ずかしそうに語るが、何てことはない。世間の女性が着ている服を私が着ればよいだけの話だ。あまりに欲がなさすぎる大鷹さんに、自分の爆発した妄想が嫌になる。私の脳みそは腐っているが、大鷹さんは腐りきっていないらしい。


 大鷹さんの要望に応えるために考える。


・スカートは持っているが、冬用は買っていないのでロングを買えばいい

・長髪は伸ばすのが面倒なのでなしだが、ウィッグを買えばいいかもしれない

・ニットもたまにはありかもしれない

・萌え袖はカーディガンの大きいものがあるのでOK

・タイツも生足ではないので、少し短めのハーフパンツとかに合わせてもいい


「だめ、ですか?」


 私が黙っているのを見て、不安そうに聞いてくる大鷹さんに不覚にも可愛らしいと思ってしまう。


「構いませんよ。では、順次着ていくことにします」


 そう宣言して、今年のクリスマスは無事に終わった。クリスマスプレゼントを用意していなかったのは私だけのようで、大鷹さんは私に運転用の手袋をくれた。


「指が出ているタイプのものしか持っていなかったので、冬用にどうかと思いまして」


 なんて気が利く夫だろうか。(n回目の発言)


 さすがにもらったものはきっちり返さなくてはいけない。後日、私は大鷹さんにモフモフの厚手のルームソックスをプレゼントした。私は家で履いているが、大鷹さんは持っていなかったからだ。


「紗々さんとおそろいでうれしいです」


 にっこりと微笑まれて、買ってよかったと心から思った。


 後日、大鷹さんに言われた服装を着てみたが、あまりいい反応は得られなかった。どうやら、あまり似合っていなかったのか、好みではなかったらしい。


「紗々さんはいつも通りの格好が一番似合います」


 結局、冬の私服はいつも通りのチェックシャツ&カーディガンに落ち着くことになった。人間、やはり自分が好きな(楽な)服装をするのが一番で、案外、それが他から見てもそれが似合っているのかもしれない。


 どちらにせよ、誰が何と言われようが気にしないことが大切だ。


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