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結婚したくない腐女子が結婚しました(連載版)  作者: 折原さゆみ
番外編 自分の着たいものを着ればいい
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1冬の格好はチェックシャツ+カーディガン

「ううう、今年も冬がやってきましたね。冬は嫌いです」


「毎年言っていますよね?確かに今年も寒いですね」


 12月も終わりに近づいてきた。もうすぐ、クリスマスがあってそれを越えたらすぐに大晦日でお正月になる。今年もあっという間に終わってしまった。


「これで雪まで降ったら、大変なことになっていました。雪がない県に住んでいて本当に良かったです」


「そうですね。僕は雪がある県に住んだことがないので、本当の苦労は知りませんが、それでも想像するだけで大変なのはわかります」


 クリスマスを来週に控えた週末、私たちは家でのんびりと過ごしていた。そもそも、私は基本的に用事がなければ家に引きこもりがちなので、いつも通りの週末ともいえる。私に合わせて大鷹さんも家にいる感じだ。


「そういえば、紗々さんって冬はいつもチェックシャツにカーディガンって格好ですよね?何かこだわりとかあるんですか?」


 リビングにエアコンを入れて、ダイニングテーブルに座って雑談していたら、大鷹さんに服装の事を突っ込まれた。


「こだわり……」


 私もそれは気にしていたことだ。どうしても、冬の外出着となるとチェックシャツにカーディガンのセットになってしまう。私としては、それが一番効率的な服装なのだが、他人から見たらいつも同じ格好の変な人だと思われているのだろうか。


「いえ、話したくないなら別に構いません。紗々さんが好きでその格好をしているなら」


「好きという訳ではないのですが……」


 どう説明したらよいだろうか。大鷹さんは私の言葉の続きを黙って待っていた。仕方ないので、私なりの理由を説明することにする。


「冬の格好の定番と言えば、ニットやセーターとかですよね。私、そういうのって苦手で、それを除いた暖かい服装を模索した結果、カーディガンに行きついたわけです」


「なるほど」


「ニットとかセーターって、下着の上に直接着ることが多いじゃないですか?どうしても首元とか直接肌に触れることになって、それが嫌なんですよ。チクチクするし、肌に触れているので、洗わずに何度も着たくないし」


 大鷹さんは私の言葉に理解を示すように相槌を打ってくれる。どうやら、このあたりの感覚は普通の人と同じらしい。しかし、反論もあるようだ。


「でも、そうだとしても、最近はチクチクしない素材のものもあるし、洗えるものも多いと思いますが」


「一回着るたびに洗っていたら、すぐにダメになってしまうじゃないですか。それに、ニットとかセーターは普通に洗濯するんじゃなくて、おしゃれ着洗いにする必要があるので、それも面倒ですよね?」


「確かに言われてみればそうですけど……」


「その点、カーディガンならシャツやTシャツの上に羽織ることになるので、肌に直接触れることもない。さらには洗わずに数回着ても気にならない。私が着ている大きな理由です」


 大鷹さんは納得しているようで、納得していない、複雑な表情をしていた。つまり、納得できる部分もあるが、そうでない部分もあるということだ。


「理由はわかりましたが、シャツがチェックシャツばかりというのはどうしてですか?カーディガンの中に合わせるなら、Tシャツでもいいし、タートルネックや無地のシャツでも構わないのでは?」


 気になる部分はそこらしい。つまり、大鷹さんは。


「チェックシャツを着ている私がオタクに見えるということですか?」


 大鷹さんは最初からそれが言いたかったのだ。カーディガンは単なるおまけで、実際に気になったのはチェックシャツのほうだった。


「オタクに見えるなんて、僕は言ってな」


「それは偏見だと思います。チェックシャツだって、うまく着こなせばオシャレに見えますし、そんなことを言ったら、結構な人を敵に回すことになりますよ」


「だからそんなことは言っていませんって。ただ純粋に他の組み合わせをしないのはなぜなのか気になっただけです」


「ふむ……」


 しかし、大鷹さんが私の服装に興味を持っていたとは驚きだ。大鷹さんほどのイケメンだと、周りには自然と美人や自分の容姿に自信がある人が寄ってくるだろう。そんな人たちを選ぶことなく、結婚相手に私を選んだ時点で容姿を見て決めたのではないことはわかっている。だからこそ、今まで服装について言及されたことがなかった。


「いや、スカートについては言われたことがあった気がする」


「スカートは今の話に関係ありますか?」


 つい、心の声が口から出てしまった。そして、大鷹さんが目ざとく聞いていて突っ込まれる。スカートについては解決しているので、今回はスルーさせてもらう。


「大鷹さんは私が同じ格好をするのは嫌ですか?」


 正確にいえば、チェックシャツを着る私は嫌ですか?と聞きたかった。とはいえ、それを聞いて肯定されたら困ってしまう。私の冬に着る服がなくなってしまう。


 ちなみにどうしてチェックシャツばかりなのかというと、単純にそれしか選択肢がないからだ。タートルネックはニットなどと同様、首もとがチクチクするし、Tシャツは逆に首元が空いていて冬に着るには寒い。無地のシャツについては、カーディガンが無地なので地味になってしまう。逆にカーディガンの柄物はオシャレ上級度が上がり、私が着るとダサく見えてしまう。


 チェックシャツはそれらの欠点がない。オタクのものという謎の偏見を除けば、とても優秀な服である。カーディガンの無地に合わせるとオシャレに見えるし、首元も襟があるので暖かい。素材も柄もたくさんあるので、一概に同じ格好とは言い難い。


「そんな悲しい顔をしないでください。ワカリマシタ。紗々さんがそれでいいのなら、僕もそれで構いません」


 大鷹さんから振ってきた話題なのに、なぜか大鷹さん自ら話題を終らせてしまった。いったい、何が言いたかったのか。とりあえず、今の私に言えることはひとつ。


「チェックシャツはオタクのアイテムではありません!」


 そこだけは主張させてもらう。私はオタクと呼ばれてもおかしくはない人間だが、それとこれとは話が違う。


「ソウデスネ。そんなことはわかっていますよ」



「そういえば、今日は冬至ですね。昨日、スーパーに行ったら、店内放送で冬至の説明がされていて、野菜コーナーにカボチャと柚子が売っていたので、買ってきました。今日の夕食はカボチャシチューにして、お風呂には柚子を入れましょうね!」


「今日が冬至だとすっかり忘れていました。季節を感じる食事や文化はいいものですね。夜が楽しみです」


 大鷹さんは自ら振った話題を蒸し返すことなく、私の唐突な話題転換についてきた。私たちは外の寒さを横目に見ながら、エアコンの効いた暖かい室内でどうでも良い会話を繰り広げていた。


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