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第八話 封印。消滅じゃないから安心してくれ

「覚えていてくださり、感謝の極み。はて?弟子とは、そこの貧相な人間族の事ですかな?そんなゴミのような物ではなく、是非とも私めを使い魔に。レナス共々、必ずやお力になってみせましょう」

 カチン、ときた。僕の事を知りもしないくせに、勝手な判断をするな、と言ってやりたい。───が、僕以上に怒っている人が。

「レナス?ああ、あの魔力制御も碌に出来ない、ゴミとも呼べない物資の事ですかー。あの程度で受肉出来るなんて、今の悪魔界も温くなったものですねー。私の事はどう言ってもかまいませんけど、フェン君を貶すなんて。覚悟、出来てるんでしょうね?」

 怖い、ただただそう思った。今までどんなに酷い事を思っても、怒らずに笑っていたあの師匠が本気で怒ってくれていて。嬉しいはずなのに、迸る魔力は真っ黒に染まっていて、恐怖を煽ってくる。あ、これヤバイ奴だ。溢れ出した魔力が描く魔法陣を見る限り、星崩しか流星雨クラスの超広域破壊魔法だし。しかも悪魔の周囲に結界を張り、他に被害がいかないようにする徹底ぶり。その周到さを他の事に使ってくれ・・・。

「あらあら、この程度の魔法に怯えるなんて。それでも誇り高き悪魔族のー、なんて言っていた方ですか?原子魔法でも何でもない、ただの黒禁呪の一つにすぎないのに。私に仕えたかったんですよね?ならこの程度、サラッと耐えてもらわないと困りますよー」

 俺の目がおかしいのか、師匠の姿が20歳前後の美女に見える。やっぱり普段は若作り・・・じゃない、幻視か何かで化けていたんだろう。まさか10歳前後で、エリクシルや不老不死の魔法なんて物を作れる訳がないし。本当はもっと年上ですよね?お願いですから、頷いてください。出来れば30過ぎ位で。

「でも、ただ消滅させるのも面白くありませんねー。ここはちょっと、使い道のなかった魔法の実験体になってもらいます。痛くはないから安心してくださいねー?ただちょーっと全身凍らせて、数万年で解ける封印空間に放り込むだけだから。大丈夫大丈夫、私がすぐ死んでも氷は千年位保つし、空間が解けたら元のいた世界に戻る設定だし。まあ、初めて使う魔法だけど、理論上は問題無いし、すぐに消える事は無いはずよ?」

 怖い笑顔があるという事を、この時に思い知った。師匠の微笑みは文字通りに悪魔の笑みで、悪魔が恐怖で震え上がる程に。口調も変わっていて、声色が低い。これが師匠のマジギレ状態だと、思い知らされた出来事だった。

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