第四十二話 変化
少し遅くなりました
作り直しで三日かかったけど、何とか完成まで持ち込めた。いや、ちょっとした事なんだけど、効果が凄まじい。適性が無いと言われた攻撃魔法さえ、今なら扱える程だ。・・・実力じゃないのが惜しい所だけど。
「これなら・・・作れる!」
準備は出来た、魔力も十分に残っている。多少増えたとはいえ、僕の魔力総量は結構少なめだ。いつだったか以降も何度か使い切って回復、というのも試したけれど、それ以上に増える事はなかった。先生曰く体がそれに慣れてしまい、効果が望めなくなったんだろう、との事。制御技術が仮にも上がった為、使用効率が上がって燃費が良くなったのかな?
精霊魔導核。精霊核と魔導核を掛け合わせた物で、製作難易度はかなり高い。何の取っ掛りも無ければ、そもそも作れるの?位の代物だ。
幸いというか、幾つか参考に出来る物があった。師匠が作ってきた物、そしてドールマスターの作品達だ。師匠が作った物については、その殆どを覚えている。どんな使い方だったか、そして一部はその製作過程までを見てきた。
ドールマスターの物は、何体か僕も製作に携わっている。外側の素材や核を嵌め込む部分だけだけど、ここ数十体は僕が作ってきた。そのお陰で、精霊魔導核の完成品も見る事が出来ている。魔力の波長がとても綺麗で、何処まで近付けられるかは分からないけれど。
「やっぱりダメか・・・」
完成形は分かっているのに、そこに辿り着く為の道筋が分からない。前は出来なかった方法も試せるようになったけれど、融合させる事が出来ないでいた。根本的に間違っている訳じゃなくて、何処か噛み合っていない。そんな感覚はあるんだけど。
「根を詰めすぎてるわね。気負うのもいいけれど、たまには肩の力を抜いてみなさい?」
暫く忙しいと言っていた先生が、差し入れ付きで来ていた。渡された紅茶は冷めていて、結構長い時間を待たせていたんだと知る。何か申し訳ない・・・。
「飲み終えたら、少し気分転換してきなさい。離れてみると案外、良い方法が浮かぶわよ?」
僕の悪い癖で、一度集中するとなかなか外出したがらない、というのがある。そういえば、ここ一週間は外の空気を吸ってなかったっけ・・・。
【届いたかな、届いたかな?】
【届いたね、届いたよ】
【ボク達の声、聞こえてるね】
森の中を歩いていると、不意に声が聞こえた。子供のようで、老人のようでもある、不思議な笑い声。辺りを見渡しても誰もいないし、人の気配は無い。空耳かな、と思って歩き出すと、また声が聞こえてきた。
【ようこそ、ボクらの領域へ】




