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第四十一話 別れの気配、唐突に。

「先生、こんなのが出来たんですけど・・・」

 あれから三日、僕はずっと小屋に篭ってある物を作っていた。風龍王の鱗を素材にした、魔力制御補助具なんだけど。完成こそしたものの、何故か具合が悪い。予想通りの効果が無いというか、そもそも効果を実感出来ないというか。理論上は間違ってないと思うから、組み方の問題かもなんだけど。

「ごめんね、今ちょっと手が離せないのよ。後で見ておくから、そこに置いといてくれる?」

 先生は大量の草に埋もれていた。実際に埋まってる訳じゃなくて、山になった草で姿が見えなくなってるだけなんだけど。チラッと鑑定したら、全部かなり貴重な物ばかりだった。知らない物も混じってるけど、何を作ってるんだろう?忙しそうだし、聞くのは後にして、取り敢えず部屋から出て行った。


「さっきはごめんね、実験中だったから、ついつい後回しにしちゃったのよ。で、何の用だったかしら」

「いえいえ、気にしないでください。これなんですけど、なんか上手く使えなくて。何処か変な所が無いか見てもらえたら、と」

 手渡したのは銀製の土台の上に、加工した風龍王の鱗を嵌め込んだだけの首飾り。加工は市販の補助器具を見本として作り、魔力伝導率の高い銀を選んだ。鉱石そのものが魔力を持っているけど、同様の加工を施せば品質を問わずで同様の波長を持つ、という特徴がある。流通量も多いから、値段も比較的安いし。当然鉄や銅の方が安いんだけど、どっちも魔力伝導率が低いという欠点がある。その辺りの選択は間違えてないはずだ。

「簡単に言っちゃうと、フェン君にはこの道具が合ってないのよ。効果が高すぎて、打ち消しちゃってるのね。これさえあれば、私なら神聖魔法の上級だって扱えるわよ?」

 神聖魔法の難易度は、制御の難しさに依る物が大きい。禁呪指定の魔法とは別の方向性で高度な制御技術が必要な為、扱える人も少ないという訳で。

「先生が神聖魔法って・・・。天使ですか?」

「天使族に知り合いはいないわねー。というかフェン君、私の事を煽てすぎじゃない?」

 そんな事はないと、首を横に振る。何処かのちびっ子と比べるのが失礼な位、良い人だと思っている。子は親に似るなんて大嘘、誰が吐いたのやら。

「まあ、それは置いといて。手っ取り早く効果を下げるなら、鱗の加工を変えればいいのよ。これに合う、魔力に干渉する素材だと・・・この辺りかしら?」

 取り出されたのは、コキア岩の破片。薄く剥がれやすいという性質があり、且つ極わずかに魔力を乱すという性質も持っている。それを間に噛ませる、って事かな?

「その通りよ。鑑定もだけれど、推察力も上がってきたみたいね?」

 頭を撫でられそうになったので、素早くガード。僕だってもうすぐ二十歳だ、子供じゃない。

「私からすれば、子供みたいなものよ。曾祖母なんてレベルじゃないけどね?」


 自分の子孫だと分かったからか、フェン君にはちょっと期待している私がいる。成長は見届けたいけれど、最近では体の調子が悪い事があるから。賢者とされて人間の身体ではなくなったけれど、千年という時は私の肉体侵すのに、十分すぎる程に長かったらしい。

「もうちょっと保てると思ったんだけど、限界みたい。あ、今日明日、という訳じゃないわよ?重ねがけして保っているから、もう十年は行けると思うし。あの子と最後まで、というのは難しいかしらね」

「不死ではあっても、不滅ではないという事か。ここ数ヶ月ではあるが、私の体も若干重くなっている。世界の意思とは、こういう物かもしれんな」

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