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第三十七話 出発準備

短めです。次が若干長くなりますが、これの反動と思っていただければ。

「そういえば、その素材って何に使うんですか?」

「私じゃなくて、ドールマスターが探しててね。なんでも新しく作る、黒撃退専用の人形に必要らしいわよ?前に迎撃した時は、結界を張られて内側で魔力弾が爆発、という残念なやられ方だったみたい。ちょっと本気で作ってるから、結構特殊な素材も必要なのよ。自分で使う素材なら、ある程度の採取場所は覚えてるのだけど、あまり使わない物までは、ね」

 僕の亜空間収納には、大量の素材が放り込んである。手当り次第に集めたせいで、何処で取ったのか覚えていない程度には。その中でよく使うようになった物だけは覚えているせいで、周りからは物覚えが良いと思われているみたいだ。

「実際、物覚えは良いと思うわよ?一度教えたら大体覚えるし、薬師にしては魔導工学にまで手を伸ばしてるし。なのにエリクシル作っちゃうわ、ドールマスターが唸るような物を作るわ・・・。ちょっとその才能寄越しなさいよ」

 本気で頬を抓られた。もげてないかな、顔・・・。

「炎龍王の鱗があれば風龍王も喧嘩は仕掛けてこないし、もう一度行ってみたら?もしかしたら、今のフェン君に必要な物が手に入るかもしれないわよ?」

 ゴミ塗れなんですが、それは?炎龍王のだという証拠は魔力の残滓にあるそうで、別に見た目は関係ないらしい。雑だね、龍王種・・・。


 ともあれ、助言通りに行ってみる事にした。ヴェンタスに暫く留守にすると言ったところ、付いてくると言い出す始末。今の風龍王は親同士が知り合いで、幼い頃は喧嘩仲間だったんだとか。って、こいつ何歳よ?

《数百年前に百を越えた辺りで、数えるのはやめた。面倒この上なく、我らのような長命種の場合、年齢は基準にならんからな》

 ・・・何処ぞのちびっ子より年上らしい。あれだ、最近は見た目詐欺が流行ってるのかな?それとも、僕の周囲がおかしいだけ?考えるのはやめておこう・・・。

「ま、いいや。転移するから、この魔法陣に触れてて。で、向こうに着いたら案内よろしく。流石に龍王種は怖いから・・・」

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