第三十五話 似た者師弟。人聞きの悪い・・・
一番の問題は、僕の魔力制御技術だ。今まで製薬や結界、空間収納以外で魔法を使う機会が無かったせいか、大量消費時の制御が覚束無い感じがする。早く解決策を見つけないと、どうにもならない。精霊魔導核を作るには、どうしても大量の魔力放出が必要になるんだから。
「少ない放出で作れるかなと思ったけど、それも無理っぽいし・・・。制御技術の底上げは必要だよね、うん」
制御技術は反復練習あるのみ、と先生は言っていた。小さい魔力から始めて、徐々に増やしていくんだとか。制御しきれる限界から始めれば、短縮出来ないかな?
で、やってみた結果。暴発しました、しかも何処ぞのちびっ子のように。爆発音を聞いて駆け付けた先生が言うには、大量の魔力を一度に制御しようとすると、失敗した時に大きな被害が出やすいんだとか。・・・街一つ吹き飛ばした阿呆が前にいたらしいけど、それって師匠の事ですよね?あ、やっぱり。
「第二の黒になるのだけは、絶対やめてね?あの子、賢者になる前は一度、本気で討伐されかけたから。しかも竜種に」
町を吹き飛ばした余波が、少し離れた山脈地帯まで届いたらしい。その距離、徒歩三日。・・・どれだけの被害が出たのか、聞くのが怖い。
で、その山が竜種、それも竜王になりかけの種が棲んでいた為、誰がやったのか探し出せ、またあいつか!いい加減倒せ!という話になったらしい。そして眷属の竜種が総動員され、師匠に向かって行ったんだけど、全員返り討ち。三桁近い竜と十数体の竜王が素材に変わり果てたんだとか。・・・何故かお伽噺で聞いた事ある、この話。うん、十分すぎる位に気を付けよう。
「制御の訓練なら、あのユニコーンと一緒にやるといいわ。魔力制御の技術なら、あの種族が一番上手で綺麗だから。念話も得意みたいだし、教わってきたらどう?」
先生も制御を教えるのは若干苦手らしく、実は今まで直感でやってきたんだとか。そんなので禁呪クラスの大魔法を扱えるなんて、やっぱり人間業じゃない。あ、二人とも年齢は見た目通りじゃなかった。こんなに美人なのに・・・。
「煽てても何も出ないわよ?性懲りも無く黒が来たみたいだし、ちょっと念入りに追い払う位はするけれど」
先生は柔らかく微笑んで、音も無く出て行った。だから、その笑顔は反則だと何度も・・・。
《だから、そうではないと言うておろう。貴様のそれでは、変換後の制御式を組み込んでおらん。まだ最初だ、長くなっても構わんから、丁寧に術式を組んでみせよ》
・・・魔獣のくせに、教え方が結構厳しい。いや、分かりやすいんだけどさ。
先生がヴェンタスと名付けたユニコーンは、森の中で自由に暮らしている。お腹が減ると僕に念話を送ってきて、何が食べたいと毎回要求してくるんだけど。その代わりに、生え変わる時期の角や毛を無償で貰っているんだけど。・・・もう一匹連れてきてくれないかな?ユニコーンの角って、それだけで優秀な解毒剤だから見てるだけでも、色々作りたくなってくる。
《角ならば後でくれてやる、良いからまずは集中せよ。今日中に出来なくば・・・分かっておろうな?》
「はいはい、どうせ突き刺すっていうんでしょ・・・。んー、こうかな?」




