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第二十四話 大体こいつのせい。異論は認めない

「あなたの最初の弟子って、確かフェノスの人じゃなかった?あの辺一帯は何故か、精霊の気配が濃いけれど」

「その一族の影響によるものだろう。自身を知覚出来るから寄ってくる、そしてそんな同族の近くにいようと更に寄ってくる、と奴は言っていたがな」

 僕と師匠を置いてけぼりにして、二人は話し続けていた。フェノスって確か、大陸の西にある小国だったっけ?特産と言える産物は無いけど、大陸唯一の温泉が湧き出てくる地域だとかで、それを売りにした観光事業を主として成立している国、だったと思う。後はそれに対するおこぼれ狙いで、幾つかの国から酒造業者がやってきて、蔵を構えているとかなんとか。流石商人、汚い・・・。

「とはいえ、悪い事ばかりではない。精霊の加護を得られれば、知識の吸収は早まる上に、自身の目指す物と合致していれば、技術の習得にも有利となろう。ん、何の話だったか?」

 脱線してきた事に気付いたのか、ドールマスターが不意に話を区切った。なんでこっち見るし。

「精霊魔法が使えれば、あの城に来られる、という事から脱線した気がします。何時だったか師匠も言っていましたけど、精霊魔法と探索に何の関係があるんですか?」

 そこが引っかかる。精霊交信って確か、文字通りに精霊と会話するだけの魔法だ。彼ら(彼女ら)は、基本的に僕達人間とは関わりを持たないし、持とうとしない。気まぐれで何かしらちょっかいをかけてくるだけで、その辺にいるだけの存在・・・のはずなんだけど。

「本来の精霊魔法使いは、精霊との契約をした人なのですよー。契約に基づいて精霊の力を借り受け、行使するのです。賢者というのがどういった者か、先程も説明しましたね?」

 賢者とは、精霊が認めた存在。という事は、精霊の加護を持っている?つまり、精霊が近くにいるか、見守られているという事で・・・。あれ、もしかして・・・?

「分かったみたいね。というか、今までそんな説明で彼に物事を教えていたの?それでよくもまあ、エリクシルを作れたものだわ・・・」

 いつもこうだから、気にしていなかったけど。やっぱり傍から見たら変だよなー、と思う。

「精霊魔法の使い手なら、自由に精霊と話せるのよ。術者の周囲にいる精霊が他の精霊と話して、その内容を術者へ伝える。そういう形で情報収集をするから、彼らは道に迷わないの。阻害する方法もあるけれど、私達はわざとやっていないわね」

「なるほどです。って、何でこんな話になったんですっけ?」

 脱線に次ぐ脱線で、元がどういった話なのか誰も覚えてない。毎回毎回、どうしてこうなるのか・・・。こういう場合、大体師匠のせいなんだけど。魔法で記憶を探ってみたら、案の定だ。やっぱり師匠のせいだった。

「ちょーっと待った。今あなた、魔法で記憶を探った、と言ったかしら?それ、とても高度で危険な魔法なんだけれど・・・気付いてる?」

「そうでもないのですよー。自分に催眠暗示を行うのは、とても簡単なのです。狂化の魔法なんかが、一番良い例でしょうか。直近の記憶程度なら、廃人コースまではいかないのですー」

 ・・・はい?魔法で記憶を探るって、そんな危ない事だったのか?!結構初期に教わった記憶があるんですけどね・・・。

「馬鹿じゃないの?ねえ、馬鹿じゃないの!?狂化が単純なのは時間制限があるからであって、それを取払ったら廃人確定の魔法なのよ?それを考えたら、自分の脳に潜入するなんて、危険極まりない物だって分からない?」

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