第二十三話 二人の教授。それと
本日二話目。
ちょっとアクセス履歴見たら、とんでもない勢いで伸びていたので・・・。何があった?
「その通りよ。あなたに製薬技術を叩き込んだ時は確か、マージ草からだったかしら?基礎も何も知らない所からだったもの、当然よね。この子は仮にも、エリクシルを創りあげるだけの技術が、確かにあるのよ?私も長生きしすぎたし、この魔法がいつまで保てるか分からないんだもの。持てる技術を、知識を次代へと伝えていく。足りていない基礎技術を教えていく事こそが、私達の為すべき事じゃないかしら?」
「でもですねー、段階というものがあるのですよ。フェン君の技術は確かに足りていません。まだまだ希少素材は扱えませんし、そこへ至るのは先の話ですー。製薬技術は皆伝としましたが、先ずはそこからでも───」
「それじゃ駄目なのよ。希少素材の扱いなんて、そこらの魔導師級なら誰でも教えられるわ。でも私とドールマスター、この二人だけが持つ技術や知識は、誰にも教えられない。あなたの金色結界とか断空結界も同じ、他に扱える存在がいないんだもの。面白半分で無意識だったにせよ、だからこそ彼にその断片だけでも、と教えたんじゃないの?」
「この二百年、新たな賢者は生まれていない。世俗の者達の知識や技術が、当時と比較して劣ってきている、と取るべきであろう。我々が賢者として列席された時、師と呼ぶ相手はいなかったのだからな。私の弟子も数多く世に残っているはずだが、彼奴らは何をしているのやら・・・」
「私達は別に、自分の技術を隠そうとしている訳じゃないわ。私達に繋がる情報は、世間に広めてあるもの。あなたも黒の事は、巷の噂で聞いて知ったのでしょう?」
確かに僕は、師匠の事を噂として聞いた。それが本当かどうかは別問題として、とにかく行ってみようと思って探したんだっけ。
「あの城へ辿り着くだけの技術を持っていれば、我々はこの技術を、この知識を分け与える事に何の躊躇いもない。だが、この数百年で我々を訪ねたのは、そこの黒と君の二人だけなのだよ」
「薬師じゃなくても、精霊魔法かアークドールを作れるだけの技術があれば、辿り着ける場所なんだけれど。あ、フェン君は精霊魔法って知っているかしら?」
聞いた事はある。というか、基礎の精霊交信だけなら使える。大気中の精霊契約して、その力を借り受ける魔法、だったっけ?
「ええ、その通りよ。精霊交信はその準備として修得する魔法で、それが使えて初めて契約を結べるの。他にも方法は幾つかあるけれど、一般的に広まっているのはそれくらいかしら?」
「稀ではあるが、生まれながらに精霊を知覚出来る者もいてな。そういった者には精霊自ら興味を持ち、近寄っていくのだ。彼らから交信の仕方を教わり、そして直接力の使用法を教示されてな。私の最初の弟子がそうであったか」




