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第二十二話 初授業

「回復魔法というのは、因果の歪曲を強制的に引き起こす事、それを目標として作り始めた物なの。何かに刺される、若しくは切られるという因によって、怪我という果がある。その二つを解き、結果を元の状態へと戻す、という事ね」

 数日後、僕は例の城近くの森にいた。城内には入れないという事で、青空教室となった訳だけど。この授業が分かりやすいのなんのって・・・。何故青式さんがポーションを作ろうと思ったのか、そしてそこへ辿り着くまでの経緯から聞く事になったんだけど。うん、何処かの暴走機関車とは大違いだ。

「ここに二種類の薬草があるのだけれど、違いが分かるかしら?あ、モノクルは禁止するから、自前の鑑定だけでやってみてね」

 僕のモノクルの事は、青式さんも知っている。素材を教えたらひっくり返っていたけど。ロイヤルサーペントやキングバジリスクの価値を知っている人なら、誰でも同じ反応をするだろうな。

 言われた通りに、自分で鑑定魔法を起動させる。一見した限り、違いは見当たらないけど・・・。更に出力を上げて細かく見ていくと、変化があった。片方には土属性の魔力が、もう片方は属性不明の魔力がある。不明・・・?

「見えたようね。その不明な魔力は、無属性なのよ。それをちょっと特別な加工を施す事で、別の属性へと変換する。それこそが原初のポーションであり、私が発見した素材よ」

 今世界に生息する薬草の類は、この草を原種として変異していった物らしい。試しにモノクルで鑑定した所、組織の一部に類似箇所が見つかった。そしてこの原種こそが、初期のエリクシル材料だったんだとか。

「どの属性へ変換させるか、それによって効果は変わるの。お勧めは聖属性ね、それだけでそこらの薬草とは比較にならない、極上の回復効果が得られるわ。もっとも、加工はとても難しいのだけれど。簡単なのは火と風で、どちらも身体能力強化に使えるわ」

 見様見真似でやってみると、確かに難しい。一定量の魔力を均等に、そしてムラなく浸透させるというのがここまで難しいなんて・・・。そういえば今まで、魔力制御って考えた事が無かった気がする。

「はーい、そこまでですー。魔力関連は全部、私が教える事なのですよー。というか初回でいきなり、アリスマ草を教えるなんて、正気なのですかー?」

「いいじゃない。典礼術式やら転移魔法をいきなり教えこんだ誰かさんも、世の中にはいるようだし。製薬技術を極めさせるのなら、アリスマ草は避けて通れないものよ?初級回復薬からエリクシルまで、全てのポーションに応用出来る優秀な素材なんだもの」

 何処から現れたのか、師匠が飛び込んできた。僕が青識さんの講義を受ける事を許した代わりに、師匠が我慢出来なくなったら強制的に止めるという条件で、ここにいられるのだ。ドールマスターの講義については、師匠は何も言わないけれど。

「黒よ、良いではないか。青には青のやり方があり、黒もそれは同じであろう?後継者育てるという事に、決まった作法など無いのだ。それぞれの方法に口を挟むものではないと、私は思うがな」

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