第九十二話 貴方の始まり前編
「・・ギルガメシュ」
エンはギルガメシュを視認すると、翼で飛んで、その巨大な剣を振り下ろす、それをギルガメシュは指2本で止める。
「何ヵ月ぶりか?、我とお前が会うのは・・まぁ良い」
そのまま、指だけで纏っていた土を砕くと、その手に立派な金の装飾の剣を顕現させ、エンに向けて、振り下ろす、それをなんとか避けるが、避けた先の地面が切り裂かれる。
「これは、ヤバいな」
「どうした?、お前の力はその程度ではないはずだが?、まだ完全ではないのか?」
「薄々だが、3ヶ月の間に気づいていたさ、記憶を無くしていたことくらい」
「ほう?、では完全に戻ってもらわないとな」
剣を捨て、今度は弓矢をその手に顕現させて、上空に向けて、矢を射る、すると矢は何本もの光となって降り注ぐ。
「ちっ!・・」
エンは何重もの土の壁を作り、光の雨を防ごうとするが、そのすべてが貫通してくる、何とか、下にいる、シャムハトを守ろうと動いた。
「・・・無事か?」
雨が終わると、そこには、身体が穴だらけのエンと、所々かすった痕があるが無事のシャムハトの姿があった。
「ほう?、シャムハトを守ったか」
「無茶苦茶やるな・・ギルガメシュ」
「まぁな、さて・・相手になるか?ブリュンヒルデ、元ヴァルキリーの統率者さん」
「そうね、どうせなら相手になるわ」
ブリュンヒルデは槍を顕現させて、ギルガメシュ目掛けて突っ込んでいく、ギルガメシュは双剣を顕現させて、ぶつかりにいく、2人の力は拮抗し、その余波で建物が崩れていく。
「凄いな・・それなのに俺は――っ!」
突如として頭に痛みが走ったかと思うとエンの意識はそれを最後に途切れる。
「エン?・・・エン!・・これはまさか・・もうこの時が・・」
――エンは気がつくと、白しかない世界が広がっていた、その真ん中辺りに・・自分と同じ顔の男が立っている。
「待っていたぞ、もう1人の俺・・エン」
「お前は・・・誰だ?」
「俺はエンキドゥ、いや、記憶を失う前の秀介のほうが分かりやすいか?」
「エンキドゥ・・今の俺ならわかる、神に作られた泥人形、ギルガメシュの好敵手にして、ただ1人のギルガメシュの友」
「正解・・、さて、正解したところで・・俺の始まりを見せよう」
エンキドゥは俺に近づくと、俺の頭に触れると、まわりに景色が一変する・・そこはどこかの森の真ん中に倒れる俺がそこにいた、俺はそれを上空で眺めている。
「これは・・」
「お前の本当の始まりの瞬間さ」
倒れていた俺は、目を開けると、驚き、立ち上がるとまわりを確認すると、頭を抱えた。
「なんだ!?、俺は確かに死んだだろ!?・・異世界とかいうやつか?」
俺は深呼吸を何度かした後、伸びをして、改めてまわりを確認する、森しか無いのが見てとれる。
「さて・・どうするか」
俺は、森の中を歩きだす・・しばらくすると、倒れた女性の姿が見えてくる、そのまわりには狼らしき物が群がっている。
「うおっ!?、やべぇ」
俺は、狼達を止めるために走っていって、狼を殴り付ける、思った以上にぶっ飛んでいって木にぶつかり、気を失う。
「ほぇ・・凄い威力だ」
リーダーだったのか、他の狼はちりじりになった。
「ふぅ・・あっ、そうだ倒れている人を!」
俺は倒れている女性を抱き起こす、その顔に俺は見覚えがあった・・、明里だ。
「・・・うっ・・うーん、ここは」
「明里!」
「貴方は・・・もしかして、秀介?」
「やっぱり明里か・・どうして倒れていたんだ?」
「わからない・・目を覚ましたらここに倒れていたの・・」
「俺は・・確か、建物が倒壊して、俺はそれに巻き込まれて・・目を覚ましたらこんな場所にいたんだ、そういえばリージェもこっちに来てるのだろうか」
「わからない・・けど、とりあえず森から出ましょう」
「そうだな・・ん?」
俺は、1つだけ整えられた道を見つける。
「・・こっち進んでみるか」
「そうね、やみくもではいけないわ」
俺は明里をつれて、道を進んでいった。




