第八十八 脱出せよ
「・・・はぁ」
あれかは何日経過しただろうか、1ヶ月?、いや、それ以上はもう経っているだろう・・ここに・・メソポタニアにいるとなんだか、自分が消えていくような・・記憶が呼び起こされるような感覚がある・・。
「・・・・ふぅ!」
俺は、鉄格子に拳をぶつける、高い鉄がぶつかる音がしただけでびくともしない、そう俺は今、メソポタニアの牢獄にいる。
「あれから、来るのはギルガメッシュ1人・・本当に見に来るだけだが・・いったい何が目的なんだ?・・それにしても、ご丁寧に床壁全部鉄・・俺では操れない物で囲っているし・・さて」
俺は、用意されたちゃんとしたベッドに寝る、ふかふかとしていて・・眠気が―――はっ!、俺は目を見開き、ベッドから離れる。
「危ない・・いや別に寝ても良いんだろうけど・・ここは敵地だからなぁ」
そんなふうに独り言をしていると、カッカッと誰かが鉄の階段を降りてくる音が響いてくる、ギルガメッシュだろうか?
「・・・何者だ?」
「遅くなりましたね」
鉄格子ごしに姿を見せたのは・・古めの民族衣装のようなものを着た茶色のロン毛の女性だった、そした俺はこの声に聞き覚えがある・・前まで響いていたナレーターの声だ。
「・・ナレーターだな」
「はい、こうやって肉体がある状態での会話は初めてですね」
「お前、メソポタミアのやつだったのか」
「はい」
「敵なのか?」
「敵か味方からと言われると・・味方ですかね」
ナレーターは、鉄格子に手をかざすと、1人通れるほどの穴ができるように、鉄格子がグニャリと変形した。
「これで通れるようになりました・・」
「あぁ、助か――ん?」
俺は改めて、ナレーターの顔を見る・・すると、頭痛が響いてくる・・何かが・・俺の中から思い起こされる。
「エン?」
「――――シャムハト」
「・・・もうそこまで思い出してしまったのですね」
「お前の名前はシャムハトなのか・・今思い出したが、確か・・なんだったか・・メソポタミア神話にとって重要な役割だったはずだが」
「今は早く、メソポタミアから出ましょう」
「それもそうだな・・」
俺は、シャムハトの後ろに続いて、牢獄から脱出した、そのまま、階段をのぼって、そこに広がっていたのは、俺達を取り囲む、エインヘリアルの姿があった。
「・・こいつはどういうことだ」
「早い対応ですね・・スクルド」
エインヘリアル達の中心にいるのは前に俺に力を授けたスクルドの姿があった、びくびくとしていて、本当に見た目だけなら弱そうではある―――前には無かった、見えるほど濃い輝く光がなければだが。
「あの・・その、勝手に出ていかれるのは許可・・してないのですが・・」
「はは、大ピンチだぞ」
「そうですね」
「いえ・・その・・牢獄に戻れな私達は何もしないので・・」
「そうか・・どうする?」
「決まってるわ・・ヘルムヴィーケさん!」
その名を呼んだ瞬間、俺とシャムハトの下の床が切り裂かれ、俺はそのまま落下していく。
「ぬわぁぁ!?」
突然のことではあるが、なんとか下の地面に着地する、そこで待っていたのは先ほど呼ばれたヘルムヴィーケの姿があった。
「ヘルムヴィーケ・・」
「久しぶり♪、3ヶ月ほどだよ♪」
「3ヶ月か・・ところで何故お前がシャムハトの味方を?」
「元から味方だよ♪、生前からの縁だね♪」
「はぁ・・ところで、上のやつらが追ってくると思うのだが」
「そうだね♪、それじゃあ行ってらっしゃい!」
ヘルムヴィーケはその大剣をバットの如くフルスイングで、シャムハトと俺をぶっ飛ばし、壁を破って、外に出た、そこはかなりの高さにあり、俺は咄嗟に背に翼を生やし、シャムハトに抱える、それに続いて、ヘルムヴィーケも翼を生やして、俺に続いてくる。
「さて、何故あんな真似を?」
「ごめんなさい♪、私あんな方法でしか、貴方達を脱出させる方法が無かったの♪」
「こやつめははは・・さて、次はどうする?」
エインヘリアル達とスクルドが穴の空いた壁から出て来て、翼を生やして、こちらに近づいてくる。
「ちょっと・・あの・・まちなさーい」
覇気の無いそんな声で、腰の剣を抜き、スクルドがこちらに近づいてくる。
「本当にどうする!?」
「落ち着いて・・そろそろ来るわ」
スクルドの剣が俺に振り下ろされる瞬間、下からそれを遮るように炎の柱が現れる。
「・・・なに?」
そして、その柱の中から炎の翼を生やした人影が現れ、スクルドを蹴りで弾き飛ばす。
「・・・本当になんですか?」
「どうも・・僕はアレスっていう神様です」
「・・・アレス、お前・・」




