第四十七話 激闘 VSゲンドゥル 中編
久しぶりの3話構成です( ´∀`)/
「・・セレーネ、アルテミスの人格の1つ」
「へぇ・・・あのアルテミスの・・はは」
「さて・・・早々にこの戦い、セレーネ様が終わらせてやろう」
セレーネは右手を上にあげると、手のひらに月のような光が集まっていき、
「喰らい尽くせ――――〈月竜の葬牙〉」
その言霊と共に、手のひらの光は7の首の竜となって、ゲンドゥルに様々な方向から襲いかかる。
「なるほど、これは凄いが・・この程度で私は止まらないぞ」
ゲンドゥルに両手を前に出して、
「〈天使の防護〉」
半球体の白い炎の壁が現れて、竜がそれに触れると、炎に飲まれて、その姿を消え失せた。
「この程度か?、セレーネ」
セレーネのほうを向くと、そこには無い、7首の竜に気を取られて、あの一瞬目を離した内にその姿を見失ったのである。
「これで終わりだ、ゲンドゥルよ」
ゲンドゥルはセレーネの力を見誤っていた。
今の彼女は、アルテミスとは違い、魔力だけではなく、知恵もアルテミス以上の実力であることを、セレーネは彼女の首筋目掛けて弓の刃を振り下ろした。
その直後、
「・・・すまないな」
ゲンドゥルの謝罪と共に、鮮血が、コロシアムの地面に落ちていった。
その鮮血は、―――弓の刃を振り下ろしたセレーネのものだった。
「嘘だろ?・・何が起きたんだ・・」
コンラが驚き、セレーネは切り裂かれた二の腕から血が流れるもその傷を押さえようともしない、意に介さないのか、否、傷などよりも驚愕のことに固まっているのだ。
(なんだ?・・何が起きたんだ・・」
背後の奇襲が読まれて、切り返された、なら納得はできる、だがそうではない、セレーネの刃は確かに決まっていた。
セレーネの月神弓ルナ・ディアーナは確かにゲンドゥルの首筋を捉えていた。
だが・・それ以上刃は進まなかった。
「どうした?、突っ立っていないで、攻撃をしてこい!」
ゲンドゥルは動きが止まっているセレーネの脇腹に蹴りが打ち込まれて、10メートルほど吹き飛ばされる。
「がはっ!・・ぐぅ・・」
膝をついて、内臓を抉る痛みに苦しむ、セレーネ
口から鮮血がこぼれる。
ケルトのクーフーリンの必殺の槍ゲイ・ボルグを防いだ、その肌を突き破り、内臓が傷ついたのである。
その一撃は、まるで破城槌を打ち込まれたような衝撃。
だが―――
ここで、セレーネはここに来て、納得した
一度の攻防ではあったが岩盤を殴り付けたような手応えと脇腹のダメージ、その情報から・・ゲンドゥルの異形とも言うべき謎に気づいた。
「はは、ヤバいな・・貴様、その身体はなんだ」
震えた声で、そう言った。
これに対しゲンドゥルは――
「流石だ、セレーネよ、もう気づいたようだな」
ゲンドゥルは小さな笑みを零すと、セレーネの疑問に答えた。
「この身体がなんだと聞いたな?、これは我らヴァルキリーの決意の現れだ」
「この身体はだな、オーディン様の元で厳しい修行で我らヴァルキリーが得た身体だ、深海の高い水圧の中で剣を振った、宇宙が見えるほどの高さで、戦闘をさせられた、山のような岩を背負い、走らされたこともあった」
「・・・そして、強靭な身体を手に入れた私は恩寵を授かった、さて・・セレーネよ、ここからが本当の勝負だ」
ゲンドゥルは身につけた、鎧に手をかけて、
「恩寵封印―――全解放」
それを剥ぎ取った。
直後、ゲンドゥルの羽と髪は黒に染まり、覆っていた、魔力を再び自身の魔力で上書きし、セレーネとコンラ2人をコロシアムの端まで魔力で吹き飛ばした。
「・・・これが、貴様の本来の魔力量か」
「・・これが我らの恩寵の力と、他の者より進化した身体ヨ」
「さて・・防いで見せよ」
セレーネは弓を構えるが、
「遅いな――〈天使の軽罰〉」
ゲンドゥルの人差し指から放たれた、太い光線を受けて、セレーネはそのまま、天高くまで砲弾ような勢いで吹き飛ばされた。
ケルト 訓練場
「・・・う・・ん・・」
「おう、目を覚ましたか、エンよ」
エンは目を開けると、そこには血を流し、倒れていたフェルグスの姿だった、受けた傷は塞がっているが、跡は残っている。
「あんなこと言っておいて生きてしまったか」
「すまんな、あやつ・・ミントと言ったか、やつに助けられてしまった」
「それはまた・・ん?」
エンは不意に上を向くと、砲弾のような速さで、人がエンの目の前に落ちてきた。
「なんだぁ!?」
「・・・ぐっ・・ははは、やってくれたなゲンドゥル」
降ってきたのは・・セレーネだった。
「お前は、確か今はセレーネか、いったいどこからここまで・・」
「コロシアムからよ・・まったく・・」
「コロシアムから!?、おぬし、ここからコロシアムまで何百メートル離れていると思っとるんだ!」
フェルグスは驚愕した。
「いったいどんな化け物を相手しとるんだ・・」
「なに、ちっとばかり骨が折れる相手さ・・」
セレーネのその顔は、笑っており、まるで玩具を買ってもらった子供のような笑顔だった。
「さて・・戻るとしますか」
セレーネは、天高くまで跳躍して、先程よりも速いスピードで砲弾のように、飛んでいった。




