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青き女王の涙

青いペガサスは言った


「そろそろ降りましょうか」


僕たちは地上へ降りた。そこは蒸し暑いジャングルの奥地だった。


「どっちへ向かって歩けばいい?」


「ここはもう、ジャングル奥地なのでどちらへ向かってもいいと思います」


僕は青いペガサスを降りて二人でてきとーに歩き始めた。

大きな樹木や木のツタが邪魔になる。

下草もすごい歩きにくい。蒸し暑い。

でもいい天気だった。


「エンカウントしないとだめなのかな?」


「どうなんでしょうね」


青いペガサスもたよりない返事。

しばらく1時間ほど歩いたが、玉ねぎらしきものは見つからなかった。

お腹がすいてきたので、女王の持たせてくれたお弁当を食べることにした。


青いペガサスは


「私はおかまいなく」


とあたりの草を食べ始めた。

女王の手作りサンドイッチが沢山、可愛い苺のハンカチに包んであった。

薄切りパンにチーズとレタス、トマトに湯引きチキンと目玉焼き。

うまそう~。あと蜂蜜いりのレモンティーの水筒。


「きみも1つお食べよ」


僕は青いペガサスの前に

紙ナプキンに包まれた1切れを置いた。


「あなたが食べてくれればいいのに。じゃあ遠慮せずにいただきます」


お天気もいいし、蒸し暑いのと誰一人人の気配がないことを除けば

素敵なピクニックだな。

僕はサンドイッチをもう1個取ろうと思って手を伸ばしたら、苺のハンカチがない。


ーーあれ?青いペガサスに残り食われたのかな? 

・・・・そんなはずは


後ろを見ると巨大な玉ねぎが、女王がせっかく可愛い手で僕のために

作ってくれたサンドイッチをむしゃむしゃほおばっていた。


「でたああああーー!!地獄の玉ねぎじゃね?!」


そいつは


「ギネーー!!」

と叫ぶと、もっと欲しそうに僕の手に持っている最後のサンドイッチの一切れを見た。

青いペガサスが言った


「地獄の玉ねぎですね。」

僕はやりたくなかったけど、右手に持っていた最後の紙ナプキンに包んだサンドイッチの一切れを


「欲しいなら、大事に食えよ」


といってそいつにやった。


「ぎねーー」


そいつはとてもうれしそうに、紙ナプキンごと、

サンドイッチを食べてしまった。

そして、食べ終わると、とても親し気に僕に向かって


「ギネギネギネ」


と話しかけてきた。


「なんだか、地獄の玉ねぎになつかれたようですね。青き勇者さまは」


「・・・・・そうみたいだね」


「このまま、つれて帰りますか」


「うん、そうしよう」


と、そこへたくさんの狼が現れた。


「うぉーーー!!がうがう!!」


いきなり、僕たちに襲い掛かってきたが、僕が剣を抜くより先に、

地獄の玉ねぎが、狼たちに汁をピュピュピュと目に吐きかけた。


「きゃいん!!きゃいん!」狼たちは逃げ出した。


「おおすごい、おまえってすごいな!!」


「ギネーーーー!!」


地獄の玉ねぎは得意そうに叫んだ。

むこうで、


「キャイン!キャイン!キャイン!」


狼たちの悲痛な叫び声がした。

犬が大好きな僕は、可哀そうになり、とても気になり、

狼の叫び声のしたほうへ剣を抜いてへ走った。

そこには、動く巨大な食虫植物のお化けみたいなのが、

ツタのような足をニョロニョロ動かして狼たちをパクパクと食べていた。


「うわああああーー!!」


青いペガサスが言った


「植物獣ですね。かなり手ごわいので、逃げましょう」


僕は青いペガサスの言葉を無視して、食べられそうになってる狼を守ろうと、

植物獣にとびかかった。

しかし、ガキン!と植物獣は物凄く硬く、青い魔法の剣は跳ね返された。

身体が勝手に動き、背中に背負った盾を取り出し、

僕の身体は勝手に剣右手と盾を左手に持ち、ガンガンと剣と盾を打ち合わせ始めた。


ーーなんのつもりだ?----


打ち合わせるごとに、火花が散る。

狼は最後の子犬1匹を除いて全部食べられてしまった。

かに見えた、そのとき、大きなオスのリーダーらしき狼が子犬の前に立ち塞がった。

子犬の父親らしい。

ガゥ~ガゥ~と牙をむくと、植物獣に牙をむき出し身体で子犬を守ろうとした。

植物獣が大きな口で子犬を食べようとした、そこへ立ち塞がった。


「キャィ~ン」


悲し気な悲鳴。あたりに血しぶきが飛び散った。

父親狼は、子犬を守ろうとして植物獣に食い殺された。

僕は声を上げて泣き出した。


「わあああああああ!!」


僕の身体は剣と盾をカチカチカチと意味不明な行動を続けていたが、

いきなり、ボウッ!と音がして植物獣が僕の出した火花で燃え上がった。

火は瞬く間に植物獣の身体全体を包み、巨大な動き回る植物獣は炎に包まれた。


「ギュアアアーー!!」


金属のような音を出して植物獣は吠えた。

そしてまたたくまに燃え上がりきれいに灰になってしまった。

あとには狼の父親が命をかけて守ろうとした子犬が残された。


「きゅい~ん」

子犬は甘ったれた声をだして僕のほうへ走ってくると、僕の足にじゃれついた。


「キュンキュン」


ほっとくわけにいかないので、僕は子犬も連れていくことにした。


「ねえ、青いペガサスさん、地獄の玉ねぎとこの子犬のせて空飛べる?」


「地獄の玉ねぎは見かけより軽いと思うのでたぶん大丈夫かと思います」


僕と、地獄の玉ねぎと狼の子犬を乗せて、青いペガサスは緑の都市へと帰路についた。




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アイリス大賞5
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