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2章ー3

昼休み。一年二組の教室。授業から解放されて騒ぐ生徒達。購買に行く学生。談笑する女子。エロ本を見始める岡崎達。等、やることは様々だった。


「真子〜、そろそろ行く〜?」


 声の主は千佳子。ゆったりと真子の席に歩み寄る。手には弁当箱と水筒。


「う〜ん、もうちょい待ってっ」


 真子は自席に座り白の鞄をガサガサ。


「おっ、あった、あった。ごめんち〜こっ。行こっか」


 鞄から弁当箱と水筒を取り出した真子。自席を立ち千佳子と廊下の方へ歩いていく。すると、


「水澄待ってくれっ!!」


 そこで呼び止められた。真子と千佳子は振り返る。そこには岡崎、それと後ろに、奈川ながわと松野まつのがいた。いわゆる下衆げす三人組だ。


「な〜に岡崎君?」


「おっ、お前達は、今からどこへ行くつもりなんだっ?」


「どこって……手芸部にご飯食べに行くんだけど?」


 嫌な予感しかしない。真子はツンとした態度で答える。


「そうか、いやそのなんだ……。たまには教室で食べないか? 俺達と一緒に」


 後ろで奈川と松野が、うんうん、と頷く。


「はぁ? なんでアンタ達と?」


「いやっ、たまにはいいだろっ。なっ? 水澄はいいよなっ?」


「う〜ん、どうしよ〜〜」


「ち〜こ、行こっ。多分ロクな事ないから」


 千佳子の手を引き、無理矢理にでも廊下の方へ。早く行ってしまおう。


「あぁっ。真子早いよ〜。じゃあ岡崎君達、また後で〜」


 にっこり笑顔で、岡崎達に手を振る千佳子。


「ちぃっ、逃がすか! 奈川っ、松野っ、やるぞっ!!」


『おうっ』


 三人は息を合わせて、フォーメーションを形成。そして、


「水澄っ、真木っ、こっちを見ろぉ!!」


「たくっ、なんなのよぉ」




「「「ねぇ〜、ぼきゅたちといっちょに、ご飯食べるピョン!!」」」




 岡崎の大声に、仕方なく振り向くと、そこには奇妙な光景があった。岡崎、奈川、松野(全員175cm越え)が、中腰の上目使いで、目を極限に開き、ウサギ(?)の真似をしていた。カワイイよりも恐怖を覚える姿だ。


「はあ〜〜、ね? 言ったでしょ? ロクな事ないって」


「う、う〜ん。そうだね〜〜」


 呆れる真子、苦笑いの千佳子。岡崎達は驚愕の表情を浮かべ、


「なっ、なぜだっ。作戦は完璧だったのにっ」


 真子はジト目で、


「作戦って何よ?」


「ふふふ、こうやってカワイイ仕草をとる。すると水澄が抱きついてくる。そして巨乳に自然にダイヴできるという、朝考えた俺のーー」


「あんた、前々からイラッときてたけど、私の親友を変な目で見んなよ」


 岡崎が妄言を終える前に、真子は近付き襟元を掴みキレる。岡崎は完全に戦意喪失で、


「いやっ、ホント違うんですよっ。でもほら、やっぱり気になるじゃないですか。あれだけ立派だとっ」


「それがいやらしいって言ってんの」


「真子〜、もうそれぐらいにしてあげなよ〜〜」


 千佳子が後ろから、救いの言葉を投げかける。岡崎は、歓喜の涙を流しながら、


「うぅ、水澄……ありがとう」


「ち〜こ。こういうのは一回シメないと駄目なんだよ」


 だが無駄だった。さらに襟元を締められる。


「ひいぃいぃ!!」


 絶対絶命。岡崎はそう考えたが、


『リーダー、弱すぎすわっ! 情けなくねぇのかよ!』


『そうだぜ! 今日こそ根性みせてくれよ!』


「お前等……」


 後ろから仲間(奈川、松野)の声援。岡崎は勇気を取り戻し、


「へっ、そうだなっ。やってやるよ! 今日こそ俺はこの貧乳野郎をーー」


「はい、アウトーー」


 ドスン!!


 地雷を踏んだ岡崎は、股間を蹴られて一撃。地面に倒れ伏した。


「「リーダーぁあぁ!!」」


 奈川、松野がリーダーの死を嘆いた。


 真子は地面に転がる、岡崎を見下ろす。岡崎 漣弥。真子の中学からの知り合い。下品で、すごくうざったい存在。だが時には、真子を励ますムードメーカー的存在でもある。つまり、うざくも憎めない奴だった。


 真子は千佳子の方を向き、


「ふぅ、無駄な時間過ごしちゃったね。早く行こっか」


「う〜ん、可哀想な気もするけど、そうだね〜」


 そうして二人は教室を後にした。



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