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食べちゃイヤ!  作者: 紫陽 圭
15/17

3月に再び (オン&ミレイ)

 **********


「はい、そこまで!」


 パンパンッと手を鳴らしてミレイの台詞をさえぎり、すかさず言葉で割り込む。

 俺の出番はなくてすむかと期待したが、ミレイはそんなに甘くないし、どうやらガイも既になにやらやらかしたようだ。



「ミレイの妹ちゃんだよね?! 初めまして。 俺は狼族のオン、ガイの幼馴染で同僚なんだ。 よろしくね。」

「……あ、はい。 メイシーです。 よろしく?」

「メイシー! コイツは相手にしちゃダメよ? いろいろ危ないからね!?」


 ミレイの横に座ってる、ガイいわく ”もこもこ水色羊” ちゃんに自己紹介と挨拶をする。 ガイへのお手本と、もう1つの目的をもって……。

 メイシーちゃんは、突然の展開に驚いたようだけど、ちゃんと自己紹介と挨拶を返してくる。

ぽやっとしたところとか最後が疑問系っぽくなるところは庇護欲をそそられる。 ガイならそんなところにも惹かれただろう。

 で、予想通り、もう1つの目的が食い付いてきた。 乱入はガイのフォローだけが目的じゃないから、こうでなくては……。



「ミレイ、ガイをイジメるのはそこまでにしておいてやってくれよ?! ”初めて”のことで、混乱もしてるし、イイ方法も判ってないんだから。」

「イジメてなんかいないわよ! アンタとは違うんだからね! で、何? まさか後をつけてきたの? 絶対にタイミングを計ってたでしょ!?」

「ガイのことは気にはしてたけど後をつけたりはしてない。 3人でココに入るのを見掛けたから同席させてもらおうと思っただけさ。 ミレイが個室なんて使うから、知り合いだと店に判ってもらうのに手間が掛かったし、他にも用が有ったから来るのが少し遅れたら、あのタイミングだった。 いやー、ガイがミレイに噛み付かれる前で良かったよ。 ガイじゃミレイには口では対抗できないからな。」

「私は噛み付いたりしないわよ!」

「そうか? あの様子じゃ説得力無いよな?!」

「彼の本音を確かめたかっただけよ! ウチの可愛いメイシーを狙ってるみたいだったからね。」

「じゃぁ、本人から話をさせるから、しばらく黙ってろよ?! 確かめることさえできればいいなら、ちゃんと最後まで話を聞くことぐらい、当然だよな?!」

「言われなくても判ってるわよ。」


 ミレイの口を封じるべく、矢継ぎ早に言葉を向ける。

当然のごとく、ミレイもポンポンと言い返してくる。

 まぁ、いつものテンポだから、俺の登場の驚きから覚めたガイは静観してる。 いや、ビックリまなこで固まってるメイシーちゃんに見とれてるのか……自覚してないみたいだけどな。



「メイシーちゃん?! いつものことだから気にしないでいいからね?! ガイの話を聞いてやってね。」


 ミレイが黙ったのを機に、メイシーちゃんの注意をガイに向ける。

 この言葉で、ガイもメイシーちゃんに見とれてたのから覚醒したようだ。

いやー、ここで見とれたままだったら多少あからさまになってでもガイに直接声を掛けなくちゃいけなくなるから、助かった。




 **********


 まず、最初に見かけた瞬間に惚れて、同時につがいだと認識した。

でも、時期が時期だったせいか、他の男に取られる前にと焦ったみたいで、あんな言い方になった。

 4月は、時期的な衝動は残ってたけど、会えたことと話せたことで舞い上がってて、何も考えられずにしゃべったら、前の誤解を解けないままに、新たに誤解を増やして逃げられた。

 7月は、俺が判った分の誤解を解きたかったのも有るけど、会えたし話せたしで嬉しくて、怖がらせて逃げ出さないように必死だった。

それまでよりは普通に話してもらえたみたいだったから気分が上がってて、最低限の誤解を解いたら満足してしまって……。

 その後は、羊族が村に籠る時期に入ったからか、町で見掛けることさえ無かったと思う。

残念だったけど、無自覚のせいで誤解を増やすよりはマシだと言えるのかもしれない。

会えない分、色々考えはしたんだけど、今までの───会った時の───ことを思い出しては考えが中断して前に進まなくて……。

最終的に、自分の気持ちや状況を自覚したのは2月で、時間切れと判断したオンからの誘導のおかげ。

 で、今日、やっと会えて嬉しかったし、自覚してからは会うの初めてだしで、肝心の言葉が抜けた。


「俺は、メイシーに惚れてる。 ずっと傍に居てほしいし、俺の手で守りたいと思ってる。 だから、他の男に攫われる前に、俺を受け入れてほしい。」



 話の最後に、ガイはメイシーを見つめてハッキリと告白してみせた。

 話の中では、『発情シーズンゆえの思い込みと暴走』というミレイの懸念も否定されている。

それどころか、何気に、無自覚で───無自覚だからこそ───、メイシーを見つめて甘ったるい口説き文句をちりばめてたような……。

これでは、ガイ本人には問題が無い以上、私(姉)が口を挟むことじゃない。

 ということで、メイシーの様子を見ると、完全に呆然自失してた。



「ところで……『食われろ。』とか『食わせろ。』とかは?」

「発情シーズンだったから、”つがいになってほしい” が ”子作りしたい” に直結しちゃっただけよね?!」

「「ぶっ!」」


 うん、やっぱりメイシーはピュアだわ~。 初めての告白にパニクッた後の質問がコレなんて、可愛い!

でも、ピュアだからこそ、ぼかした表現じゃ伝わらないのよねぇ。 ということでメイシーに事実をハッキリ教えたら、男どもが2人して噴出したわ。

 ガイが耳も首も真っ赤にして動揺してるのは面白いけど、本気なのが明らかで交際の申込みを反対できないわね。 もちろん、それだけ不器用ってことでもあるから、メイシーを傷つけたりしないか見張るのは必須だけど。

 ……なーんて考えてたら、横から「子作り……」というメイシーの声。 その様子がおかしくて顔を覗き込むと、真っ赤なうえに目がウルウルで……可愛い!! ───だけでは済まなかった。




「そんな……そんな……食べちゃイヤぁーーーーーーっ」



 そう叫んで、メイシーが部屋どころか店まで飛び出して行っちゃった。

あまりのことに男どもは唖然。

私も、ガイを向かわせるか自分が追いかけるか一瞬迷って……自分で慰めるべく店を出た。



 ガイ、これからが勝負どころよ?! 男を見せなさいね!



 そんな私が、「アイツミレイまで居なくなった! 隣(室)のキープが……。」とオンがうめいてたことなんて知るわけもない。



 ***** 完 *****

 これで完結です。 けれど、この後で1話分を使って後書きモドキを(明日)投稿します。

もろもろの指摘やツッコミは、後書きモドキまで読んでからお願いします。

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