3月に再び (ガイ)
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もこもこもこ……トテトテトテトテ……もこもこもこ……トテト───ピクッ
やっと3月になったと思ったら、珍しく正面から彼女を発見。 今回も”もこもこ水色羊”だ。
で、彼女も俺に気付いたらしく立ち止まったので声を掛けて……ふと彼女の隣が視界に入って思わず一瞬固まった。
彼女の隣に居たのは、彼女同様に”もこもこ”ながらも薄いオレンジ色の毛の羊族の女性”ミレイ”。
『そうか』、『なるほど』、『そういえば』、『それで”大変”か』……と予想できた事実から色々納得。
彼女の『お姉ちゃん? 知り合いなの?』という質問で確信、それとほぼ同時の『問題無い』という俺への評価に安心する。
ただ、それだけで終わらないのがミレイで……カフェ───おそらく落ち着ける場所という意味だろう───での話を提案してくる。 水色羊の彼女への対応は考えてきたけど、ミレイの登場は想定外だが拒否するわけにはいかない。 ミレイの妹大好きぶりは知ってるし、なによりも、やっと会えた機会を無駄にするつもりは無いからな。
しかし、『やっぱり』と溜息のうえに俺に見せつけるかのようにミレイは彼女に触れるし、それに対する彼女の反応は可愛いし……なんとなく面白くない気分だ。
そうして入ったカフェの個室───ミレイはツッコんだ話をするつもりらしい───で、最短のタイミングで自己紹介を切り出す。 この機会まで逃してはたまらないし、コレが無くては話を進めにくい。
そこに補足したミレイの話も彼女は聞いてはいたようだが、ぽやっとしてる……なんか和むなぁ。 そんなことを考えていたら彼女が自己紹介を返してくる。 ちょっと慌てた様子も可愛い。
またもやミレイが見せつけるかのように彼女に触れるのにムッとしたが、アレは妹可愛さの習慣なのかもしれないと思い直す。 それを、その直後のミレイの言動で確認できたから少しは気が収まった。
「それで?! この娘に会いたかったんでしょ?」
「!! そうだ。 メイシー、君は俺の番だ、結婚前提で付き合ってほしい。」
パンッと手を鳴らして訊いてきたのはミレイだが、俺はメイシーを見つめてハッキリと告げる。
驚きのあまり口を開けて目を見開いてるメイシーも可愛い……じゃなくて! なんか、俺、大事なことを言い忘れてないか?! 落ち着いたと思ったら、そうでもなかったらしい。
「今は3月、最初も3月だったのよね? それも、狼族に限らず発情期の種族が多くてオスが影響受けやすい街中だったのよね? しかも、『食われろ』とか『食わせろ』とか言ったらしいじゃない!?」
「!!! それは───」
自身の予想以上の混乱を収めようとしていると、ミレイの冷たすぎる声が聞こえる。
それが耳に入った途端、『ミレイが訊きたかったのはコレか!』というのと『もしかしなくても俺が先刻言い忘れたのはメイシーへの気持ちか?!』というのに気付いて慌てる。
「はい、そこまで!」
そんな俺の、俺らしくない動揺を見透かしたかのように、パンパンッと手を鳴らす音をさせて部屋に入って来たのは幼馴染だった。
彼の登場に、『助かった』とも『余計にややこしくならないか』とも思ったのは誰にも内緒だ。
最終的には俺にとって状況は好転するのだが、彼自身の目的を叶えるためでもあったらしいのが、実にオンらしいところだ。




