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食べちゃイヤ!  作者: 紫陽 圭
12/17

2月の考え事 (裏の横)

(閑話なので読み飛ばしても大きな支障は出ないハズです。)

**********


「1カ月……か。」


 いつもの酒場で、ガイ(幼馴染)と酒を飲んでいたら、聞こえた言葉。 その時のガイの様子とともなわせて考え、タイムリミットだと感じる。



 昨年の3月から、なぜか俺はガイの相談役になっている。 『なぜか』と言いつつ、何か悩み始めたガイを放っておけなくて話を聞いたのが始まりなのは分かってる。

それまでは、会って飲んでも普通に愚痴やら他愛の無い話ばかりだった。 まさか、ガイから恋愛相談みたいなことをされるとは予想もしていなかった。

 俺もガイも21歳、狼族としてはつがいが居てもおかしくない年齢ではあるし、つがいが同種族でない場合は結構有る。

そして、ガイの口にした一般論通り、メスの発情期につられるようにして春や秋に自分のつがいを見つけるのは普通のことと言える。 つがいを見つければ他には目がいかなくなるが、同時につがいに対する欲求は高まるし季節に左右されることもなくなる。



 ということで、誘導して自覚させたわけだが、ぼんやりしながらも『会いたい』『話したい』等と素直に言うあたり、前回同様に『ここまでとはなぁ』と思う。

さらには、男の本能について聞いた途端、言葉を無くし耳まで真っ赤にしてカウンターテーブルに突っ伏すという反応は予想外で……。

ガイは初恋はまだだったはずだが、アレの経験は有ったよなと思わず本人に確認する。 そんな心境を宿題の答え合わせを装うことで押し隠して、さりげなく情報提供という名の爆弾を落としてみる。

予想通り食い付きはいいものの、反応する個所が微妙にズレてると感じるんだが、恋愛初心者ではこんなものなのかもしれない。

彼女自身の身元が判るかもと”アイツ”の心当たりを探しているようだが、ヘタに問い詰められるのはごめんだ。 そして、そこに思い至った事情なんて知られるつもりはない。 そんなことを思って少し警戒したものの、どうやらガイの考えはそこからズレていったらしい。

 なにはともあれ、あとは本人たち次第だからと、忠告を混ぜて宿題を。






 そんなふうにガイと別れて店を替えた。 あの店よりも更に隠れ家風で、異性目当ての客は来ない。 1人で考え事をしたりするには丁度良い。


 そして、3月以降のガイとの遣り取りを思い出しながら苦笑する。

 ガイは気付いてないが、俺はつがいにしたい女は既に見つけている。 憧れみたいな初恋は別に経験してるが、恋焦がれてるのは唯1人。 ガイとは比較にならない長期戦。

俺はそれなりにモテるから、ガイにバレたら「女には慣れてるんじゃないのか?」とマジな顔で聞かれて凹むことになりそうだ。 唯一無二のつがいだからこそ、手を出しあぐねるんだがな。

 ふわふわで、ほわほわで、もこもこで……毛の重さで足取りの軽さが変わる。 どんなときも、思わず捕まえて抱きしめたくなる。 が、アイツ相手ではリスクが高いから同意が不可欠。


 今はまだ時期ときじゃない。 3月には必ず動きが出る。 ガイをけしかけたように、自身をも奮い立たせて俺も勝負に出ることを決意する。

もうじき、せっかくの春。 その時期にタイミング良く増える関わり。 これを逃すほど俺はバカじゃない。

ガイと共に、それぞれの獲物を捕まえる準備を始めよう。

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