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咲き続ける華
300字SS
お題「咲く」
店に入ると、カウンターに一輪の赤い華が咲いているのが目に入った。いつもの酒を頼み、マスターに尋ねる。
「珍しいだろう? 今時珍しい天然物の華だ」マスターは華を覆う縦長のドームを撫でる。「この装置があれば、私の寿命が尽きるまでは満開を維持できるんだそうだ。ちと値は張ったがな」
「人工華とどう違う?」
「お前には感性が足りない。感じないのか、この華の生命力を」
「あいにくガラス越しじゃあな」
騙されたんじゃないかとからかうと、だんっ、と不機嫌そうにグラスが目の前に出される。
「溢れたら勿体ないじゃないか」
苦笑しながら僕はいつものオイル割のお酒を煽った。




