平坦な小道
第42回 二代目フリーワンライ企画
お題 お腹がすいた
「お腹がすいたなぁ」
「では、こちらなんていかがでしょう? 小腹にちょうどいいかと」
ヌイが差し出してきたのは、小さくお皿に盛られた揚げ物料理だった。ふわふわと丸っこい衣に優しそうな触感のイメージが口の中に広がる。
「なんて食べ物?」
「こちらはバナナのフリッター。平たく言うとバナナの天ぷらです。揚げたてですからより美味しく味わえますよ」
「そう? じゃあ失礼して」
漣は軽く踵を上げ、お皿の中でひと際丸そうに見えたフリッターを1つつまんで口の中に放り込んだ。ヌイは漣の背に合わせて低く皿を提示しているけれど、何故か毎度やってしまう。
「うん、美味しい」
「それはよかった」
漣の感想を聞いて、ヌイは目を細めて頷く。そうして財布をしまうかのようにジャケットの内側にフリッターを押し込んだ。ジャケットは押し込まれた皿ごと飲み込み、ヌイはすらりとしたシルエットで漣の後をついていく。
のんびりと街を散策しながら、漣はぽつりとつぶやく。
「暇だねえ」
「それは困りますよ。私の暇つぶしに付き合ってもらわないと」
「高校生全員が恋に遊びに大忙しなわけじゃないんだよ、ヌイさん」
特に私は一人でのんびりと過ごしたいタイプだし、とも付け足す。
「漣さんはいつも面白みが足りませんね。そこが面白いところではあるんですけど」
「お、褒められてる?」
「ええ。長生きしそうだな、と思いますよ」
リハビリ。ちょびちょび復活していきたいなと思ってはいます。




