明日は3月32日
【第11回 二代目フリーワンライ企画】本日のお題
明日の私は違う私(人称自由)
#深夜の真剣文字書き60分一本勝負
いつか別れが来るものだと知っていても、そのいつかが目の前にやってくるまで私はいつも気づかない。
「今日で三月も終わりだよ。早いよね」
「そうだね」
ミミの言葉に私はそっけなく返す。
さびれた御門公園には私達しかいない。沈む夕日をベンチから眺めながら静かな時が流れていく。
「向こうでは元気でやんなよ。リサはおっちょこちょいなんだから」
「うるさい。ミミこそ地元に残るからって油断してると、なんかこう、失敗するよ」
「何かってなによ」
「なにかよ」
そうしていつも通りのとりとめのない会話をして、ゆるく腰を上げる。
「そろそろ帰らないと寒さで風邪ひくわ」
「確かに。じゃあ私も帰ろうかな」
「じゃあ、ばいばい」
「うん、またね」
軽く手を振って、帰宅の途につく。
まるで明日もまた会うような軽い挨拶だった。一人歩いている今も、そんな気持ちでいる。
明日の私は、違う私だ。
そう心の中で呟いてみても、まったく実感が沸いてこない。
振り向いて後ろを見ても薄暗い道が続いているだけで、ミミの姿はもう見えなかった。
明日らから新しい生活、新しい友人たちが待っているとはわかっているのに、全然ぴんとこない。
ありえないとはわかっているけれど、私は明日もまだ3月が続くと、そう思っている。




