同居から同棲へ
私の中で義弟から大切な人へと変わり、私たちは恋人になったのだ。
「莉南、行きたい店ある?」
「うーん。特にないよ。茂治くんあればそこでいいよ!」
「前に笹野に教えて貰った店があるんだけど、そこでもいい?莉南が俺の事好きになってくれたら一緒に行きたいって思ってたんだ!」
「じゃあそこに行こうか!」
歩いて15分程でお店に到着した。私たちの住むこの町は徒歩圏内に様々なお店があり、とても住みやすい街だ。
「いらっしゃいませ。こちらへどうぞ。」
一番奥のテーブルへと通された。
金曜日だというのに、時間が遅いせいか割と空いていた。
私たちは先ほどのウェイターのオススメのコースを注文した。
しばらく待つと、お料理が運ばれてきた。
スープに前菜、パスタ、メイン、どれもとてもきれいで美味しかった。
美味しいお料理。そして目の前には最愛の人。私は久しぶりに心が温かな物で包まれた気がした。
そしてしばらくして、ドルチェが運ばれてきた。
運ばれてきたお皿を見ると、そこにはメッセージが書かれていた。
『二人なら大丈夫。愛してる。』
「うん。二人ならきっと大丈夫。ありがとう茂治くん。私もよ」
「莉南。本当にありがとう。俺あきらめなくって良かったよ!これからもずっと一緒に笑ってような!」
とびきりの笑顔を見て私は確信した。この人を選んで良かった。朔ちゃん天国で安心してゆっくりしてね。
食事が終わり、お店を後にした。
「明日予定ある?」
「特にないよ~天気良ければお布団でも干そうかな~って思ったけど、傘マーク出てたし…」
「じゃあ明日デートしようか。中身探しにいこ!」
「そんなに急がなくても大丈夫だよ。私はどこにも行かないよ。」
私には、茂治がどこか急いでる気がしてならなかった。
付き合い始めただけで、結婚するって決まったわけではないのだ。だけど茂治は指輪を買うことを急いだ。
「急いでるわけじゃないよ。ただ…莉南は俺の事好きって言ってたけど、まだ兄さんとの結婚指輪したままだから。俺の彼女って証が欲しかったんだ。俺子供だな…」
「茂治くん。ごめん。茂治くんの事は好きよ。でもね、この指輪を外したら朔ちゃんの事をなかったことにしちゃうみたいで嫌だったの。でも茂治くん嫌よね。いつまでもこれはめてたら…」
私はそう言ってそっと朔弥との結婚指輪を外した。
家に戻ったらそっとジュエリーボックスにしまおうと。
次の日、デパートへ向かった。
いろいろなジュエリーショップが入っていた。何店舗か見て回り、試着をした。最初は私の分だけを買う予定だったが、私のわがままでペアリングを買うことにした。
私たちは恋人だという証だ。
シンプルなホワイトゴールドの指輪だ。内側には2人の誕生石を入れて貰った。
右の薬指にキラリと輝きだした。
「茂ちゃんありがとう。大切にするね」
「莉南?今何て?」
「指輪、大切にするね。」
「その前!茂ちゃんって言った?」
「あ、嫌だった?ごめん。」
「なんで謝るの?めっちゃ嬉しいよ!だってずっと茂治さんだったのが、一緒に住むようになって茂治くんになってやっと茂ちゃんになったんだよ!めっちゃ嬉しい!」
「茂ちゃん。いつもそばで支えてくれてありがとう。大すき」
「莉南―。お礼を言うのは俺のほうだよ。本当にありがとう。絶対幸せにするからな!」
私たちは外ということを忘れて口づけをした。
とその時、私の電話がなった。何というタイミング。
「もしもし?どうかした?」
「どうかしたじゃないわよ!どういうことよ!聞いてないって!!しかもこんな真昼間から堂々と!」
頭の中が真っ白になった。
「もしもし莉南?聞いてるの?」
「舞今どこ?」
「ここよ」
その声とともに舞が目の前に現れた。偶然私たちを見つけたらしい。
昨日の今日で、まだ舞に報告していなかった。
「ここじゃ埒が明かないから、場所変えましょ。莉南の家行きましょ」
半ば強引に決定してしまった。
「で?結局付き合った訳?まぁ付き合ってなかったらあんなところで白昼堂々キスなんかしないか。いつからなのよ?」
敏腕刑事並みの取り調べが始まった。
「茂ちゃんが出張に行ったって話はしたでしょ。」
「茂ちゃんね~いつの間にそんな呼び名に変わったのよ。あんた達のスピードについていけないわ…」
「金曜日ね茂ちゃんが女性と一緒ランチしてる所見ちゃってね、凄く辛かったの。彼女居たんだって思って、自分のものじゃないのに、取られたくないて思って辛くて涙が止まらなかったの。結局その女性は会社の人だったんだけどね。」
「金曜って昨日の事?てか茂ちゃんさ~莉南の事好きって言ってたくせに他の女と2人でランチとかどうなの?」
「あ、それは」
「莉南の事は真剣です。彼女と二人でランチをしていたんじゃないんです。笹野って同僚と三人で食事してたんですが、たぶん莉南が見たとき笹野が席を外していたんだと思います。その彼女は俺に気があるみたいでアプローチしてきてます。でも俺は好きな人がいるからってきちんと伝えました。だから舞さんが心配するようなことは何もありません。これから先も莉南を愛することに変わりません。」
「じゃ莉南が見たのは偶然2人だったてことね。」
「そうなの。でもその時は知らなかったから辛くて家に帰ったの。でも何もやる気が起こらなくて、ただ泣いてたら茂ちゃんが帰ってきたの。」
私は、昨日起こった出来事を包み隠さずすべて話した。
「そうだったの。莉南良かったね。心配だったの。次の恋に進めるのかって。正直、朔さんは急だったでしょ。嫌いになって別れた人じゃない。だから次の恋愛にいけないんじゃないかって思ってた。本当に良かったよ。茂ちゃんもいい人そうだし。それに朔さんを忘れなくていいって言ってくれる人だからね。まぁ莉南にとっても茂ちゃんにとっても朔さんは大切な家族だもんね。」
「うん。朔ちゃんもきっと喜んでくれてるとおもう。」
「だな。兄さんの分まで莉南を幸せにする。」
「茂ちゃん。ありがとう。」
私たちは舞の存在をすっかりと忘れ二人の世界に入り込んでいた。
「ちょっと私の存在忘れてません?」
舞の一言で我に返ると急に恥ずかしくなった。
「舞は?康介くんとはどうなのよ?今度は舞が話す番だよ!」
「舞さん彼氏いるだ。どんな人?」
「どんなって普通よ。ただの営業マン」
舞には高校時代から続く彼がいる。もう12年になる。結婚の話は何年か前にでたらしいが、舞の仕事が忙しくそのまま放置されたままらしい。
「12年?そろそろ結婚とか考えないの?」
「うーん。一回のがしてるからね。30までにはしたいかな~とかあったけど、お互い今の関係が楽なんだよね。会いたいときだけ会うみたいな。莉南達凄いよね。付き合う前の10ヶ月間毎日顔合わしてたわけでしょ?私には考えられないわ」
「まぁ舞はそうかもね。自分がしっかりしてるし。自分のペース崩されるの嫌いだもんね。」
「まぁね。私の仕事もあるしね。」
「舞さん何の仕事してるの?」
「ウエディングドレスのデザイナー。毎日ドレス見てるからかな?着たいって思わないんだわ」
「ドレスのデザインかぁ~凄いな!いつか機会があったらお願いしようかな」
「そうね。莉南のドレス作るの昔から夢だったんだよね!」
「兄さんの時結婚式しなかったもんね。」
「結婚だなんてまだ考えられないよ。」
「そんなの茂ちゃんだって分かってるでしょ。それに茂ちゃんは無理に急がしたりしないと思うよ。」
舞と3人でいろいろな話をした。茂治も舞とすっかり打ち解けていた。次回は康介も一緒に会おうという話になったが、舞が面倒くさいからいいってと言ってあしらった。




