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私の中のあなた  作者: 優愛
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不思議な同居生活

私たちはこうして同居生活をスタートさせたのだった。


しばらくした日曜日の朝、気分の良かった私は久しぶりにキッチンへ立った。

朔弥が亡くなってから、初めて料理と呼べるものを作った。

出来あがる頃、義弟が起きてきた。

「おはよ~いい香りだね!朝食?」

「あ、おはよう。いつまでも何にもしない訳にもいかないし。朝食作ったの。茂治さん食べるでしょ?」

「いただくよ。先顔洗ってくるよ」

そう言って義弟は洗面所へと消えていった。

朔弥はこの生活をどう思ってるのかな?

嫌かな?私に気が無いにしても、茂治さんは私に気があるみたいだし。

そんなことを考えていたらいつの間にか戻って来ていた。

「どうかした?冷めないうちに食べようよ」

私たちは初めてきちんと食事を共にした。

「うまいな~莉南さん料理上手だね。俺全然作れないから助かるわ~」

「ずっと専業主婦だったから、これくらいは出来るのよ。茂治さんは苦手なものとかある?」

「茂治さん!」

「え?」

「その茂治さんって何とかならない?他人みたいじゃん。茂治でいいよ」

「でも…じゃあせめて茂治くんでいい?」

「まあいいや。いつか茂治って呼んでね!莉南!」

なにを考えているのか、義弟はさらっと私の名前を呼び捨てにした。

朔弥が生きていた頃は莉南さんか、姉さんだったのに。


それから私達は不思議な同居生活が続いた。


同居生活が始まって10ヶ月が過ぎた頃、義弟は出張で1週間家を空けた。

久しぶりに一人の時間だ。

自分でも思った以上に義弟がいる生活が普通になっていて、1週間の不在がとてつもなく寂しいものになっていた。



「ただいま~ 莉南~帰ったよ~」

出張から帰った義弟は小さな紙袋を差し出した。

「お帰りなさい。なに?お土産?」

「いいから、開けてみて。」

そこには白い小さな箱が入っていた。

戸惑っている私をよそに義弟はパッカっと箱を開けた。

ジュエリーボックスのような小さな箱だ。

「今はまだ空っぽだけど、もし莉南が俺の事を好きになってくれたら中身選びに行こう。兄さんを忘れてくれだなんて言わない。俺にとってもたった一人の家族だからいつまでも兄さんの事は忘れたくない。

だけどもし、俺の事を弟としてじゃなくて一人の男として受け入れてくれるなら全力で莉南を守るよ。兄さんの分まで。」

私の頬に涙がつたった。

「茂治くん。今すぐに好きにはなれない。まだ朔ちゃんの事も忘れれない。これからも朔ちゃんの事は忘れない。でもね、1週間茂治くんが出張でいなくて寂しかった。私の中で、一人じゃないってことがこんなにも支えになってたの。」

「莉南。ありがとう。そんなに簡単には好きになってもらえないって分かってる。でも俺の気持ちはずっと変わらないから。莉南の答えが出るのを待つよ。いつまでも。」

「ごめんね。私ずるいよね。茂治くんの気持ちにこたえられないのに、そばにいてほしいだなんて…」

「いいんだ。そばに居たいって頼んだのは俺だから。」


翌日、私は高校時代からの友人と合うことになった。

舞とはいろいろな話をしてきた仲だ。

今回の同居の件も知っている。ただ、義弟の気持ちは言っていなかった。

「莉南なんかいい事あった?」

「え?ないけど。どうして?」

「なんか、前より明るくなったよ!」

「そうかな?」

「朔さんの事があってから、どこかボーっとしてる感じだったけど、今日は違うもん。なんかあったでしょ?まさかいい人でも見つかった?」

「いい人?見つかるわけないじゃん!出会いなんかないんだから。スーパー行くくらいだよ~出会わないって」

「ふーん。怪しいなぁ」

舞は人の顔をジロジロとみた。

「分かった!弟くんとなんかあった?」

「茂治くん?なんにもないって!」

義弟の気持ちは伝えてないので私はあえて言わなかったのだが…

「莉南!舞に隠し事しても無駄よ!弟くんとなんかあったね。彼の呼び名今まで茂治さんだったよね?いつから茂治くんになったのよ!」

「だいぶ前だよ。他人みたいだから呼び捨てでいいって言われたんだけど、呼び捨てにするの抵抗あって…」

「まぁ莉南はあんまり呼び捨てにしないもんね。朔さんもだし、今までの彼もみんなちゃん付けだもんね。」

「で?なんかあった?その茂治くんとは。」

私は話すまいとアイスティーに口を付けたその時だ。

「莉南!無駄だって言ったでしょ!」

舞の目がキラキラとしていた。

恋愛話や昼ドラ並みのドロドロが大好きな舞だ。

変な想像話をふくらまされては困るので正直に話すことにした。

「茂治くんね、私の事を好きって言ってくれてるの。いつまででも待つって」

「で?莉南の気持ちは?」

「私は朔ちゃんの事が好き。」

「こんな言い方あれだけど、朔さんはもういないんだよ。忘れる必要はないけど、もうすぐ一年だよ。そろそろ前向かないっと天国の朔さんも心配するよ!」

「…うん。……昨日まで1週間、茂治くん出張だったの。で、居ない1週間が凄く寂しかったの。ただいまって帰ってきてくれて凄く嬉しかった。」

舞の勢いに圧倒されて、お土産に差し出された小さな箱の話もしたのだ。

「それさ。莉南も茂治くんの事好きなんじゃないの?1週間居なくて寂しくて、帰ってきてくれて嬉しくて、朔さんの事忘れなくていい、一人の男として受け入れてくれるなら全力で莉南を守るよ。って言われて涙か出たのは少し茂治くんに心が動いたからなんじゃない?」

私は正直、分からなかった。

義弟として大切なのか、それとも一人の男性として大切なのか…

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