涙の湖
今日も何事無いように終わってゆく。
自分なんかが居なくても今日は終わる。
別にいじめらてれてるわけじゃあないのさ皆が自分を友達と呼んでくれないだけさ。
ーー自殺したあの子が言ってた言葉。あぁ、今の私と同じだ。
なりすまし、嘘つき、いじめっこ。何でも、どんな役だろうとやってやる。だから私を批判してくれていい。影で噂しないで、私の前で言って欲しい。実感したいんだ、それだけ、自分がこの場所に居ることを。
名簿に名前があったって私はいない。だって皆の目には見えてても皆の心の中には私がいないでしょ?そうでしょ?
皆に嫌われてる子が羨ましい。皆はその子が嫌いって感情があるんだろ?皆の私に対する感情は‘無’なんて味気ない存在だろう。
あの子は自分の存在を空気だと言ってた。でも今の私は空気のような存在だろうと羨ましい。だって皆は空気を吸わないと死ぬでしょ?空気は必要。だからあの子のことは皆見えてるんだろ?それに対して私は?無?皮肉だね雲泥の差さ。
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飽きたね。皆とやらのご機嫌取りなんて(笑)
湖の畔で少女は渇いた声で笑った。
逝くか。
少女は湖に飛び込んだ。水しぶきは蒼い桜の花弁のよう。綺麗だった。
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ーーそこで私は目覚めた。泣きつかれ寝てしまったようだ。綺麗な夢だった。何処か寂しげだったが。…私はもう一度眠りに堕ちた。
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少女が未来の自分とは知らず‘私’は眠る。深く、深く、眠る。
明日も何事もなく終わることを願おうか。
湖の畔、少女が呟いた。その姿は薄く透けて消えていった。
ーーこの湖が自分の涙で出来たことを知らずにーー
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