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神様は空から降ってくるものです。


「私、あなたとは付き合えない・・・。だから・・・ごめんなさい!」

「え、ちょ、待・・・」


高橋フラ夫 26歳 会社員

背高のっぽで気弱な正直者。お給料はそこまで悪くなく、生活は中の上、どこにでもいる一般市民といったところ。

ただこの男、101回目のプロポーズなんか目じゃないレベルにフラれるのが得意で、今までこいつを泣かしてきた女は数知れず。今日もいつもの河川敷で、どこかの誰かに散々フラれて、夕陽を背負うようにションボリ歩く帰り道。


「チクショー、まだ出会って3日じゃねえかよ・・・。」


ああ哀れ高橋よ、その日数を見る限り、本気だったのはお前だけだったようだ。




駅から歩いて10分、すきま風が涼しい木造の一軒家。それが高橋の家である。だだっ広い庭には、苔が付いた石と小さい池が本人曰く「実に趣深い」配置にある。

高橋よ、その老人じみた趣味もお前がフラれる原因ではないのか。


「フゥ、酒だ酒!こんな日には酒だ酒!」


こんなこともいつものこと。

和室の奥を陣取る冷蔵庫を思いっきり開け、ゴソゴソ中を探りあて、冷えた缶ビールを一本取り出すと、でかでかと開いた冷蔵庫のドアを申し訳なさそうに閉めた。


9月とはいえまだまだ残暑残る季節、部屋でいくら飲んでも暑さにイライラが募るだけだということは、積み上げられた経験で知っている。

今日は縁側で飲むことに決め、キンッキンに冷えたキ●ンビールを持って、

「クリアア●ヒが~家で冷えてる~♪」

と歌いながら縁側にチョコンと座った。




まず一杯目は勢いでゴクっと飲むが、バカ飲みをすると一気に酔うので、二杯目からはハッと気付いて少しずつ飲む。二、三杯目を飲みかけたころ、だんだん夜も濃くなってきて、月の光が池に落ちて家全体をうっすら照らしていた。


すると、空から眩しいほどの光がプワァ~と注いできた。


「コラァ~!俺の趣向をムゲにする気かぁぁぁぁ!」


E.●.か、宇宙大戦争か、スピル●ーグが喜びそうな演出をふんだんに使い、空から若者が降ってきた。どちらかというとラ●ュタか。


「・・・誰?」

「こんにちは、神じゃ。」

「さようなら。」

「ちょっと待って待ってよ。ちゃんと上から神々しく降りてきたじゃん!」


確かに・・・と高橋は思ったが、一応彼の頭の上をじっくり見てみた。何も付いていないのを確認すると、今度は足の方も確認した。


「いやいや糸でつるすとかないから!後何故足の下も見る!?」

「いや、ウルト●マンの飛行機は下に糸つけて飛んでるよ。」

「へーそうなんだ・・・って、ワシ特撮じゃないからね!?」

「ハイハイ・・・。」


見たところ普通の人間にしか見えないが、ホントに上から落ちてきたのだし、一応ただものじゃないようである。高橋はいつでも殴りかかれるように缶ビールを構え、そのまま神様の話を聞いた。


「で、私に何か用ですか?」

「えーと、ワシはかくかくしかじか・・・」

「ちゃんと話してください。」


神様は咳払いをコホンとしてから、ドヤ顔で説明し始めた。


「えーハイハイ!つまりこのワシは、ワシが作ったこの世界をじゅんぐりに回っておるんじゃ。」

「仕事しろよ。」

「そんなこと言ったって・・・ワシはこの世に自然法則を生み出して、ビックバンドーンやっただけじゃよ。後はぜーんぶそれぞれに任しとるからの。地球だって勝手に隕石が作りだしたんじゃ。」

「そんな夢もないことを・・・。」


「で、その旅行の宿、お前の家を代わりにするぞい。」

「帰れ。」

「少しだけだからネ、ほら、少しだけ。」

「どのくらい?」

「ざっと1年チョイ。」

「長いわー!!!!」

「いや短いじゃん。」


つまりは神様、ビッグバンでドーンってなった時からいるあなたにとっては、1年なんて一瞬に過ぎないわけですね?で、人生経験積み過ぎているのにまだ見かけは若いわけですね?


「ウム、そういうことじゃ。」

「誰と話してるんだ。」




そうこうしている内に何故か縁側条約が締結されてしまった。またの名を神様居候条約。この条約で、神の世界と人間世界がより縮まった出来事として、現代史上もっとも重要な出来事とされるが、民家の縁側で起こったことなので詳しいことは誰も知らない。というのは全て冗談である。


「とりあえず働いてください。」

「働く?働くってなんじゃ?」

「金稼げ。」

「金・・・ってなんじゃ?」

「・・・もうググレ!」

「おう!そういうことならパソコン持ってきたぞい!」

「あるんかい・・・。」


神様はググってwikiってこの世界のあらゆることを調べつくした。

朝の光が高橋を強制的に起こす頃、神様は目の下にくまを作って調べ物をしていた。


「何やってんだお前?」

「就職先を探し取るんじゃ。」

「そうか・・・あ、そうだ。お前履歴書どうすんの?」

「そのまま書くけど?」

「落ちるぞ。」


いやはや、どうなるものかこの二人。

何か、書き過ぎじゃない?俺。

色々持ち過ぎて進まないかも・・・。

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