表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

家具屋姫

作者: ekaki

とても久々の投稿なので、文が変な部分もあるかもしれません。

俺は椅子。

造られたのは、もう100・・・いや、150年位前になるかな。

人間の世界では、俺みたいに古くて質の良い物を、なんだっけ、『あんてぃーく』っつーんだっけ?そんな感じで呼ぶらしいな。

まあ実際、俺は150年を生きても、まだ現役だからな。

まあ、んな事はどうでもいいんだが。


俺が生きた150年の間に、何回も主人が変わった。

年老いたじいさんが主人の時もあったし、可愛いお嬢さんが主人の時もあった。

・・・懐かしいな・・・。


今は、とある小さな家具屋にいる。

まわりにいるのはみんな、俺と同じ位生きた奴ら・・・なんだ、『あんてぃーく』?って奴らばかりだ。

まあ、俺程ではないが。


俺がここに來た時から・・・3年前から、主人は変わってなくて、じいさんがいつも店番をやってる。

このじいさんはなかなか優しくて、毎日毎日、店の開店前と閉店後に、丁寧に体を拭いてくれる・・・って、こんな話はどうでもいいか。


つい昨日まで、俺の上には女の子がいた。

いや、女の子といっても、人間じゃない。

只の・・・って言っちゃ悪いが、まあ、人形だ。

なんで家具屋にあんな奴が居たか分からないが、こいつも『あんてぃーく』だった。

しかも、ここで唯一俺より古い。

そんな古い人形だとは、とても思えないくらいに綺麗で、清楚で、可憐で・・・って、まあ、兎に角綺麗な奴だった。


あいつは、時たまここにくる、ある一人の青年に恋をしていた。

その青年は何故か、決まって毎週水曜日に来て、店内を掃除したり、家具達を拭いたりして、帰っていく。

そんな青年に、あいつは恋をしていた。

毎日のように、あの青年に関する事で、俺に話しかけてきた。

『あの人はサムって言うのよ。』

『あの人、この前本棚の前で雑巾踏んで転びそうになったのよ』

『私、あの人の事が好きなの。愛してるの。』


・・・で、あの青年・・・サム、か、サムが来ている時は、もう大変だった。


『サム、愛してるの。』

『サム、私を買って。』

『サム、お願い!』

『サム、貴方とずっと居たいの!』

『サム!サム!』


うるさいくらい、サムに愛の言葉を言い続けた。

だが、人間には俺達の言葉は分からない。

届くはずもなかった。


・・・そんな日々が続いたある日、あいつは・・・あの人形は、俺に言った。


『私、近いうちにここからいなくなってしまうの』

「・・・え?」

『私はとても古くて珍しいから、ここにいてはいけないようなの。』

「・・・そうか。」

『貴方が羨ましいわ。私、とうとうサムとお別れなんだもの・・・。貴方の若さが羨ましいわ。』

「馬鹿だな、俺も同じ位古いぜ。」

『ふふ、でも、私程じゃないでしょう?』

「・・・ん、ま、まあな?」

あいつはクスクス笑うと、それきり口を聞かなかった。

・・・その日の夜に聞こえたのは、あいつの泣き声だったのかな。



そしてあいつは、とうとう昨日連れていかれてしまった。最後の最後まで、サム、と、あの青年の名を呼んでいた。



そして、今日は水曜日。

俺の横には、汗を拭いながら本棚を拭いているサムがいる。

俺の事を見たサムは、呟いた。


「・・・いなくなってしまったのか。」


・・・あいつに聞かせてやりたい。おいかぐや姫、サムはちゃんとお前を見てたぜ。

よかったな、おい。

・・・ああ、今俺はあいつを『かぐや姫』と呼んでいる。

昔、俺の主人だった、この国にしては珍しい、黒い髪のじいさんが、同じ黒い髪を持つ少女に話していたおとぎ話。

その話にでてくるお姫様が、あいつの境遇にそっくりだからだ。


・・・お、サムの奴、今日はやけに念入りに俺を拭くじゃないか。

どうかしたのか?

・・・あ。

忘れてた。

今日は俺が『びじゅつかん』って所に行く日だった。

ま、俺はかぐや姫と違って愛する人もいないからな。


さて、次はどんな主人が待ってるのかな。

読んで頂き、ありがとうございます。

実はこの話、最初ホラーにするつもりだったんです。

でも、途中で考えが変わり、今のような話になりました。

感想、誤字脱字の指摘などを頂けたらと思います

ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 初めまして。 物に気持ちを持たせて、話しを進めるのは面白いなと感じました。  サムの「いなくなってしまったのか」は本当に、聞けて良かった台詞だなと思いました。  気になった点は、「、サム、…
[一言] 文章を読んでいて、何故かミッシェルガンエレファントの歌詞を思い出してしまいました。それくらいクール。すみません意味不明で。
[一言] 話の流れの上手いこと上手いこと。一人称で率なくストーリーを進められて、なんとなく文章慣れしてるなーなどと感じました。スムーズに文を目で追えるので、終わりが来るまで一気に読めました。そんな文章…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ