家具屋姫
とても久々の投稿なので、文が変な部分もあるかもしれません。
俺は椅子。
造られたのは、もう100・・・いや、150年位前になるかな。
人間の世界では、俺みたいに古くて質の良い物を、なんだっけ、『あんてぃーく』っつーんだっけ?そんな感じで呼ぶらしいな。
まあ実際、俺は150年を生きても、まだ現役だからな。
まあ、んな事はどうでもいいんだが。
俺が生きた150年の間に、何回も主人が変わった。
年老いたじいさんが主人の時もあったし、可愛いお嬢さんが主人の時もあった。
・・・懐かしいな・・・。
今は、とある小さな家具屋にいる。
まわりにいるのはみんな、俺と同じ位生きた奴ら・・・なんだ、『あんてぃーく』?って奴らばかりだ。
まあ、俺程ではないが。
俺がここに來た時から・・・3年前から、主人は変わってなくて、じいさんがいつも店番をやってる。
このじいさんはなかなか優しくて、毎日毎日、店の開店前と閉店後に、丁寧に体を拭いてくれる・・・って、こんな話はどうでもいいか。
つい昨日まで、俺の上には女の子がいた。
いや、女の子といっても、人間じゃない。
只の・・・って言っちゃ悪いが、まあ、人形だ。
なんで家具屋にあんな奴が居たか分からないが、こいつも『あんてぃーく』だった。
しかも、ここで唯一俺より古い。
そんな古い人形だとは、とても思えないくらいに綺麗で、清楚で、可憐で・・・って、まあ、兎に角綺麗な奴だった。
あいつは、時たまここにくる、ある一人の青年に恋をしていた。
その青年は何故か、決まって毎週水曜日に来て、店内を掃除したり、家具達を拭いたりして、帰っていく。
そんな青年に、あいつは恋をしていた。
毎日のように、あの青年に関する事で、俺に話しかけてきた。
『あの人はサムって言うのよ。』
『あの人、この前本棚の前で雑巾踏んで転びそうになったのよ』
『私、あの人の事が好きなの。愛してるの。』
・・・で、あの青年・・・サム、か、サムが来ている時は、もう大変だった。
『サム、愛してるの。』
『サム、私を買って。』
『サム、お願い!』
『サム、貴方とずっと居たいの!』
『サム!サム!』
うるさいくらい、サムに愛の言葉を言い続けた。
だが、人間には俺達の言葉は分からない。
届くはずもなかった。
・・・そんな日々が続いたある日、あいつは・・・あの人形は、俺に言った。
『私、近いうちにここからいなくなってしまうの』
「・・・え?」
『私はとても古くて珍しいから、ここにいてはいけないようなの。』
「・・・そうか。」
『貴方が羨ましいわ。私、とうとうサムとお別れなんだもの・・・。貴方の若さが羨ましいわ。』
「馬鹿だな、俺も同じ位古いぜ。」
『ふふ、でも、私程じゃないでしょう?』
「・・・ん、ま、まあな?」
あいつはクスクス笑うと、それきり口を聞かなかった。
・・・その日の夜に聞こえたのは、あいつの泣き声だったのかな。
そしてあいつは、とうとう昨日連れていかれてしまった。最後の最後まで、サム、と、あの青年の名を呼んでいた。
そして、今日は水曜日。
俺の横には、汗を拭いながら本棚を拭いているサムがいる。
俺の事を見たサムは、呟いた。
「・・・いなくなってしまったのか。」
・・・あいつに聞かせてやりたい。おいかぐや姫、サムはちゃんとお前を見てたぜ。
よかったな、おい。
・・・ああ、今俺はあいつを『かぐや姫』と呼んでいる。
昔、俺の主人だった、この国にしては珍しい、黒い髪のじいさんが、同じ黒い髪を持つ少女に話していたおとぎ話。
その話にでてくるお姫様が、あいつの境遇にそっくりだからだ。
・・・お、サムの奴、今日はやけに念入りに俺を拭くじゃないか。
どうかしたのか?
・・・あ。
忘れてた。
今日は俺が『びじゅつかん』って所に行く日だった。
ま、俺はかぐや姫と違って愛する人もいないからな。
さて、次はどんな主人が待ってるのかな。
読んで頂き、ありがとうございます。
実はこの話、最初ホラーにするつもりだったんです。
でも、途中で考えが変わり、今のような話になりました。
感想、誤字脱字の指摘などを頂けたらと思います
ありがとうございました。




