二人の決意
家のチャイムを聞いた瞬間僕は立ち上がった。
もう外は真っ暗なはずなのに人が来るのか?
風斗は相変わらず麺をすすっている。
「風斗どうすればいいと思う?」
この判断を風斗に委ねる。
僕が返事を求めてしまったせいかラーメンを急いで飲み込んでしまったようだ。
ゴホッ
咳をしながら風斗が言う。
「俺は出るべきじゃないと思う。こんな時間に来るやつなんてろくなやつじゃないだろ。」
まあそれもそうなんだが、それより僕たち以外に人がいると言うことに驚かないのか
「僕も出る気はない。でもそいつが危険人物だった場合どうする?」
「危険人物?」
風斗が聞き返してくる。
「山に入ったものは不運に見舞われて数年後には行方不明になるって言うだろ?だから今来てるやつが危ないやつなんじゃないかって。」
その言葉を聞いていた風斗が箸を止め立ち上がった。
「そういや鍵..しめたか?」
少し不安そうな顔でこちらを見つめてくる。
僕もはっとした。
家に帰ってきてから鍵を閉めた覚えがない。
「しめてないかも...」
正直に伝えた。
「これから俺たちにできる選択肢は二つ。一つは二人で玄関の鍵を閉めに行くこと。二つ目は急いでどこかに隠れること。」
風斗がアイデアを教えてくれた。
チャイムが鳴ってからもう10秒ぐらい経っただろうか。
外にいる奴が入ってくる様子はない。
姿だけは見ようとし、インターホンを確認しようとするが風斗の手によって止められる。
「綾人やめといたほうがいい。ここは本当に何があるかわからない世界だ。どういう条件を満たしてしまうと不運に見舞われるのか。その噂が本当だとすると未知のことに突っ込むのはやめといた方がいい。」
「なんで止めるんだ?」
僕は風斗に聞き返す。
「さっき言っただろ。何があるかわからないって。もしかしたらみただけでアウトかもしれないんだぞ。」
確かにその可能性は考慮できていなかった。
「で、どうするんだ?さっき提示した俺の2択。どっちがいい?」
玄関の鍵を閉めに行くか。どこかに隠れるか。
「入ってくる様子もないし、このまま放置でもいいんじゃないの?」
「確かにそれは俺も思った。だがじっとしているよりかは絶対に何か行動した方がいい気がするんだ。」
風斗がこちらの目を真剣にみている。
僕は玄関にいったときのリスクを考える。
もし相手が刃物などを持っていた場合、ドアを開けられアウト。
相手が呪いをかけてくるタイプの場合、ドアを貫通して呪いをかけられアウト。
考えすぎか。
噂によれば行方不明になるまで数年はあるわけだから即効性はないとみた。
「よし。玄関の鍵を閉めに行こう。」
「わかった。じゃあ俺が先に行くから綾人は念の為についてきてくれ。」
それ僕のいる意味ないじゃないか。
そう心の中で突っ込んだが、おさえておくことにした。
そうして僕たちは玄関へと向かう。
その前に僕は一口もラーメンを食べていないので一口だけ食べさせてもらう。
「おい綾人、なにしてんだよ。早く行くぞ。」
風斗に急かされつつも
僕はカップラーメンを一口分箸でつまみ口の中に入れた。
少し冷めていたが、喉を通る暖かさ、いつぶりかの食事。
色々な感動が合わさり僕はなんだか包まれたような感覚だった。
「そっか。綾人全然食べてなかったもんな。」
風斗が僕の方を見ながらそう言う。
少しいい雰囲気だったのも束の間。
ゴン!
勢いよく玄関の扉を殴る音がした。
「急がないとまずいぞ!」
風斗が駆け足で玄関へと駆けつける。
それに僕もついていき、玄関前までは来れた。
「ここからが正念場だぞ。」
風斗が覚悟を決めたような顔でそう呟いた。
「僕は何をすればいいの。」
「綾人は俺の身に何かあった時、すぐ逃げてくれ。」
短い言葉だったが、そこには熱い魂のようなものがこもっていた。
「わかった。」
僕も覚悟を決めて答えた。
だがやることといえば鍵を閉めるだけ。
それ以外にやることはない。
二人で扉の前に立ち、鍵を閉める準備をする。
「俺が鍵を閉める。」
そう言って風斗は鍵に手を伸ばした。
僕は風斗のことを見守るだけしかできない。
風斗の手はもう少し動かせば鍵を閉めれるところまで来た。
「行くぞ。」
僕は両手で手を組み、神様に頼んだ。
「どうか何も起きませんように」
風斗は指を勢いよく横に捻った。
ガチャ。
玄関の鍵は無事に閉まった。
特に何事もなく玄関の鍵を閉めることに成功した。
「やった!しまったぞ!。」
風斗が喜びの声をあげる。
僕も喜びと安心でほっとした。
二人でリビングに行き食事の続きをしようとしたその瞬間。
ドンドン!




