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入口

もう15分ぐらい歩いただろうか。


夕日が沈み、辺りは暗くなってくる。


そろそろ例の場所に辿り着くはずだ。


だが一向にそんな気配がない。


「風斗。入っちゃいけない場所ってどこにあるんだよ」


「それが…地図には載ってないんだ。けど絶対にあるはずなんだ。」


「つまり僕たちどこを歩いているかわからないってこと?」


「そうなる」


僕は愕然とした。


昔から無茶をする奴とはわかっているがまさかこんなにとは知らなかった。


確認しなかった僕にも責任はあると割り切るしかない。


「でここからどうするんだ?」


これからどうするかを風斗に聞いてみる。


「とりあえず食料と、水はたくさん持ってきてるから当分は大丈夫だ。」


風斗がリュックを下ろして中身を確認しようとするとぺっぽが飛び出してきた。


ぺっぽは薄暗い山道を走り出した。


「ワン!ワン!」


「「こら!ぺっぽ止まれ。」


風斗がぺっぽを捕まえるため追いかける。


「まったく。何してんだか。」


先が思いやられる。


こんなので無事に家に帰ることはできるだろうか。




風斗がぺっぽを抱えて戻ってきた。


「お待たせ。ごめん時間かかって」


「別にいいよ。」


大事なのはここからだ。


帰るにしても来た道を戻るしかない。


「風斗。ここから来た道を戻るかそれとも…」


「俺はこのまま突き進もうと思う。来た道を戻るのは正直言って危険だ。もう辺りは真っ暗だし、もし道を間違えてしまったらもう戻れないかもしれない。」


何を言い出すか大体予想はついていたが言葉にされるとちょっと気が引けるな。


行きたいだけなようにも思える。


このまま家に帰れなかったら両親にも必ず怒られるだろう。


なんせ門限が8時だし。


だが僕はただの風斗の付き合いだしな。


「よし。行こう」


そうして僕たちは暗闇の中を再び歩き出した。




風斗と歩き出してどれぐらい経っただろうか。


もう10月と言うこともあっていつもより肌寒い。


そして何か違和感を感じる。


違和感を感じているのは僕だけではないようだ。


風斗もなにか神妙な顔をしている。


ぺっぽも何故かおとなしい。


いつもはリュックの中でガサガサしているはずなのに。


そうだ。さっきから何故か動物の声が聞こえない。


登っている最中は絶対にあった虫の声や、鳥の鳴き声。


それらが一切聞こえない。


聞こえるのはぺっぽがずっと低い声で唸っている声ぐらいか。


自然に僕たちの足運びもだんだんとゆっくりになっていく。


人間の本能的なものがおかしいと思って警戒のサインを出している。


「風斗。どうするんだ、この状況。」


「流石の俺でもわかるこの違和感。感じずにはいられない。」


ゆっくり、ゆっくり進んでいく。


もう来た道もわからないほど進んできてしまった。


周りは木だらけで何もわからない。


ただひたすらに進んでいた。


何かにおびき寄せられるように進んでいた。


僕の足が地面についた瞬間ぺっぽがリュックから半身を乗り出すようにして闇の中をじっと見つめている。


低い唸り声はさっきと比べてもより一層低く、重くなっていた。


「ウウゥ」


「ぺっぽ?」


風斗がぺっぽに呼びかけるが返事も返してくれない。


いつもなら必ず返してくれるはずなのに。


ぺっぽはとある一点をただひたすら見つめている。


「何かあるってことか…」


ぺっぽの目の先を風斗が懐中電灯で照らす。


するとそこにはドアノブがあった。


「浮いている?」


風斗が声を漏らす。


確かに一見ドアノブが浮いているように見える。


だが実際は浮いてなどいない。


覆われているのだ。


実際の建造物が木の葉っぱによって覆われている。


「風斗。これはドアノブが浮いているんじゃない。覆われてるんだよ。ドアノブ以外が。」


「流石の俺でもこれには驚いてしまうぜ。」


木の葉っぱによって覆われていることに気がついた二人はその葉っぱをおとしてみることにした。


「最初は俺がいく。」


風斗が一番乗りに前へ進みそのドアノブの上あたりを手で触って振り払った。


すると葉っぱはパラパラと乾いた音を立てて地面に落ちていった。


その部分に僕は懐中電灯を当ててみた。


「壁なのか?」


風斗が呟く。


葉っぱから出てきたのは木の板でできているような平らな面だった。


葉っぱに覆われて気づかなかったがこれは確かに人の手によって作られたであろう建造物だ。


僕と風斗はただ呆然とその何かを見つめていた。


暗闇の中にぺっぽの唸り声だけが響く。


僕たちは引き寄せられたのか?


そのドアノブは僕たちを待っていたかのように勝手に動いた。


キシ…キシ…


古い金属が擦れる不気味な音。


「なんだこれ…」


風斗が小さく呟く。


僕たちは見つけてしまった。


きっとこの先に何かがある。


そう確信した。

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