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6.黒翼の円卓

 ――翌日。


 教会では、セリア・クローヴァが上層部に呼び出されていた。

 その部屋は、白大理石の床に光の紋章が刻まれた、厳かな空間。


「……あなた、あの“闇の青年”と接触したのですって?」


 枢機卿の言葉に、セリアは神妙にうなずいた。


「はい。彼は闇に身を置きながらも、光を見失ってはいませんでした。」

「闇に……光?」

「彼は、神が遣わされた試練かもしれません!」


 その瞬間、部屋の空気が変わった。

 枢機卿たちは顔を見合わせ、低く囁く。


「……危険だ。放っておけば信仰が乱れる。」

「しかし、彼が本当に“神の加護を持つ者”なら……」


 議論の末に出た結論は――


「セリア・クローヴァ。貴女に命じます。

 あの“闇の青年”――ルシエル・グレイスの監察を。」


「監察……? いえ、私は導きます!」


「いや、監察でいいから。」

「導きに失敗した場合は、封印も視野に――」


「そんなことはさせません! 彼は闇の救世主です!」


 教会の者たちは頭を抱えた。

 ……こうして、正式に聖女の監察任務が発令された。


 一方その頃、学園の裏庭。


 俺は石畳の上で腕を組み、真剣に考えていた。

 昨日の“聖女騒ぎ”以来、学園中が俺の話題で持ちきりだ。


 まさか教会の前で悪役宣言しただけで、

「闇の救世主」扱いされるとはな……。


「やはり、光の組織は危険だな。」


 俺は空を見上げ、静かに言葉を続けた。


「あれほどの規模の信仰勢力……いずれ世界支配の障害になる。

 放っておけば闇の均衡が崩れる。

 ……となれば、対抗組織を作るしかないな。」


 頭の中で完璧な構想が組み上がっていく。


 名は――

 〈黒翼の円卓ブラック・ネメシス〉。


 闇を愛し、光に抗う者たちの集う場所だ。

 メンバーは俺を中心に、精鋭を揃える予定。


「必要なのは忠誠心と掃除スキル、あとパン配布が得意な者……」


 ……あれ?

 なんか、ボランティア部みたいになってないか?


「ルシエル様、今日も活動ですか!」

「フッ……よくぞ来た同志たちよ。闇の秩序を築く時が来た。」


 ※彼らは学園の清掃クラブである


 俺は校舎裏でマントを翻し、仲間たちに語りかける。


「我々の目的は明確だ。

 光に支配されたこの世界の構造を“再編”する!」


「再編って……つまり?」

「学園の裏庭をもっと綺麗に整える!」


 ……良い反応だ。みんなやる気に満ちている。


 その時、背後から声がした。


「……やはり、あなたは闇の導きに動いていたのですね。」


 振り向くと、そこにいたのはセリア・クローヴァ。

 昨日よりもずっと真剣な眼差しで俺を見ている。


「聞きました。あなたは対抗組織を作ると……。

 それは……光を正すための組織なのですね?」


「あぁ、もちろんだ。

 光が増えすぎた世界には、適度な闇が必要だからな。」


 セリアは深くうなずき、胸の前で手を組んだ。


「わかりました。では私も、その闇を共に背負います!」


「……は?」


「上から“監察”を命じられましたが、私は“導き”として参加します!」


「ちょ、ちょっと待て。教会の人間が悪の組織に入るな!」


「闇と光の均衡……素晴らしい理念です!」


「やめろ、善行として広めるな!」


 ――こうして。


 俺が教会に対抗するために立ち上げた“悪の秘密結社”は、

 なぜか正式に教会公認の倫理サークルとして登録され、

 活動開始となった。


「……ふっ、計画通りだ。」

 ※計画とはまったくの無関係である


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