表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/33

2.悪の支配は静かに進行中

 学園の鐘が鳴る。

 今日も俺は、学園の“闇の支配”を進めるため、

 朝から不穏な活動を開始していた。


「フッ……まずは基盤を整える。

 世界征服も、足元の整備からだ。」


 ――つまり、ゴミ拾いである。

 悪としてかっこよく登場しても周囲にゴミがあっては登場が映えないからだ!

 地道な活動の積み重ねこそ悪として重要なのである。


 学園裏の石畳にしゃがみ込み、

 昨日誰かが捨てた空き瓶や紙くずを片っ端から回収していく。

 周囲の生徒たちは俺を避けて通る。

 中には怯えた顔で囁く者もいた。


「ねぇ、あの人……昨日も“闇の浄化活動”とか言ってたよね……?」

「目が合ったら呪われるって噂……!」


 よし、完璧だ。

 恐怖が広がっている。

 支配の第一歩だ。


 昼休み。

 学園の食堂にて、俺は“悪の資金源”を確保していた。

 ターゲットは生徒会。

 彼らが仕切る昼の販売会で、俺はひそかに行動を起こした。


「ふっ……善を掲げる者ほど、裏の取引には弱いものだ。」


 ※実際は、貧困生徒に余ったパンを無料で配布しているだけ。


 だが俺にとっては、

 これは“餌付けによる支配”。

 受け取る生徒たちは戸惑いながらも、頭を下げて去っていく。


「な、なんかすごく優しい悪の人だね……」

「闇の王様、パンくれた!」

「沈黙しろ。これは取引だ。」


 ……うん、今日もいい仕事をした。


 放課後、なぜか教師に呼び止められた。


「ルシエルくん、また裏庭を掃除してくれたそうだね。助かるよ。」

「誤解だ。俺はただ、闇で浄化しただけだ。」

「ははは、君は本当に面白いなぁ。

 ただ制服を勝手に黒く改造してくるのはそろそろやめてくれないかな…」


 なぜ笑うのか理解ができないな。

 俺は本気なんだ。


 それにしても――

 最近、“闇の活動”を手伝ってくれる同級生が増えてきた。

 俺のカリスマが伝わったのだろう。


「我ら闇の清掃団、今日も活動開始です!」

「フッ……良い心構えだ。闇は広がるほど輝く。」


 ※彼らはただのボランティア部である。


 日が沈むころ、

 俺は一人、協会の屋上で剣を構えた。

 悪たるもの剣の構えを追求することも必要なのだ。

 なぜ協会の屋上なのかって、月を背にして十字架の上に立ち剣を構えるとかっこいいからだ。


「今日も……悪の一日が終わるな。」


 空に浮かぶ月を見上げる。

 まるで闇の象徴のように、美しい。


「近いな……この世界を支配する日も。」


 ……と、思ったその瞬間。


 下の教会へ向かう裏通りで、

 数人の怪しい影が少女を追っているのが見えた。


「……ほぉ。

 俺より悪役っぽい奴らが現れたな。」


 マントを翻す。

 剣を構える。

 月を背に、屋上から飛び降りる。


 ――次の瞬間、

 俺の悪役人生を大きく狂わせる“聖女”との出会いが始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ