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大好きな義妹が他人になった  作者: 宵月しらせ
第7章 ふたり暮らし
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第3話 一緒にお風呂

 石鹸で念入り、これでもかと念入りに体を洗う。

 それから浴槽にいる飾に聞いてみる。


「一緒にお湯に浸かっていい?」

「ダメ」


 速攻で断られた。


「狭くてムリ」


 ふむ。つまり、一緒に入るのがイヤなのではなく、狭いのがイヤ、と。

 そう言えば飾はゆったりしてるのが好きだな。

 ということは、そこさえクリアすればなんとかなるかも。


「浴槽のふちに座れば、いけるんじゃないか?」

「普通にあたしが出るまで待てばいいでしょ」


 そうは言うが、拒否されなかったので、ふちに腰掛ける。

 お湯に浸かるのは膝から下だけ。足湯みたいな感覚だ。


「まぁこれでもいいか。この状態で裸の付き合いといこうじゃないか」

「そうね」


 それからしばらく話をしたが、途中で飾が湯から出た。そして、俺の隣に座った。


「どうした?」

「るぅの股間が視線の高さにあって、妙に気になる」

「飾さんのエッチ」

「エッチじゃない。見たくないから移動したの」


 そうは言っているが、股間に注目していたのは認めているので、やはりエッチではないだろうか?

 もちろん、それを非難するつもりなどない。むしろ歓迎するが。

 あまり踏み込んだ下系の話はこれまでしたことがないが、俺はひそかに、飾は性欲が強いタイプだと思っている。なんだかんだ言いつつ、肉体的な接触が好きだし。


「飾が座るなら、俺が浸からせてもらおうかな。少し温まりたいから」


 浴槽に入ると……なるほど、ちょうど顔の位置に飾の下半身がくる。

 これは……いいな。


「ちょっと露骨すぎる」


 飾は足を閉じて横を向き、股間が見えないようにするが……甘いな。

 太ももがよく見えるぞ。

 いつもの俺なら、太ももを指で突っつくくらいのことはするところだが……さすがに今はやめておこう。

 直接触ったら理性のリミッターがぶっ壊れそうだからな。

 なので、軽いセクハラにとどめておこう。


「飾さんは肌がキレイですね」

「肌だけ?」


 恥ずかしがらせるつもりが、予想外の反撃をくらってしまった。

 にやっ、と笑っている。俺がなにを言ってくるか予想していたってことか。


「もちろんすべてがキレイだよ。普段でさえ世界一キレイなのに、風呂に入って肌が潤っている今は宇宙一だ」

「表現がチープ。減点」


 低評価を下されたが、顔がニヤついている。ごまかすのがヘタだな。

 それからまたしばらく話をしながら風呂に入る。

 ……なんか、思ったより普通だ。普通に時間が流れている。

 一緒に風呂に入っているんだから、エロいイベントのひとつやふたつ、起きてもいいと思うんだが。


「そろそろ水着のヒモが緩んでポロリするイベント起きないですかね?」

「起きないですけど」

「起きないと盛り上がりがさ……俺の股間の盛り上がりのことじゃなくてね?」

「こいつ……受け身よりは積極的な方がいいとは思うけど、いくらなんでもぐいぐい過ぎない?」

「俺が一生懸命動かないと、飾とは一生恋人になれない気がするんでね。ってことで、ポロリをおねがいします」

「ポロリと恋人関係ないでしょ。まったく……」


 ため息を吐き、飾は首の後ろで結んでいる紐に手を伸ばす。

 まさか、解いて見せてくれるつもりか?

 半分以上冗談だったんだが……言ってみるもんだな。


「一瞬だけだからね」


 そう言って、飾はビキニのブラ部分を外し、キレイなピンク色を見せてくれた……女神様!

 なんてことにはならなかった。

 ビキニは外したのだが、乳首は見えない。

 ニップレスをつけていたのだ。


「なんでそんな物つけてるんだよ」

「こういう流れになると思ったからね。あっはっは、るぅってば、水着でお風呂に入って来るところから、全部あたしの予想通りに動くんだもん。単純よのぉ。下半身じゃなくて頭で考えて行動しなさいよ」


 めちゃくちゃ勝ち誇るじゃないか。

 たしかに、俺の行動は飾の読みの範囲を出られていないのかもしれない。

 だが、それでも俺は負けていない。


 布面積は思いっきり減っているからだ。

 大きくはないが、形の良いお椀型のシルエットが丸見えだ。

 飾が高らかに笑うほどに、柔らかな双丘がゆさゆさ揺れるのもはっきり見える。

 それを目の当たりにできた俺が、どうして負けている?


 それに飾の乳首は見たことがある。

 飾はゆったりとした服が好きだ。そして、休日は家ではノーブラのことが多い。

 夢中でゲームをしている時など、たまにちらっと見えることがあるのだ。どうやら本人は気付いていないようだが。

 その時目に焼き付けた映像と、今目の前にある映像を組み合わせれば、飾の完全なおっぱいが脳内再現できるというわけだ。

 そこまで意識が回らないとは、飾もまだまだ甘いな。




 風呂からあがり、ふたりでエアコンの効いたリビングで涼む。

 飾はドライヤーを使って念入りに髪を乾かしている。

 ちなみに、一分ほど前まで床に転がって悶絶していた。

 ニップレスでは裸を隠したことにならない、ということに風呂から出た後に気付いたようだった。


 だが、今はすっかり復活している。この復活の早さは見習いたい。

 そんな飾の横で俺は考える。

 いつキスをしようか――と。


 今週一週間、一日一回キスしても良いことになっている。

 最初はおやすみのキスをしてもらうつもりでいたが、本当にそれでいいのだろうか?

 悪いとは思わないが、今から思えば、飾がニップレス姿の時にするのが一番良かったのでは?

 あのタイミングを逃してしまった今、おやすみのキスで妥協するわけにはいかない。


「よし、外に行こう!」

「どこに?」

「えっと……コンビニとか?」

「いってらっしゃい。あたしは行かない」


 塩対応というわけではない。

 飾は基本的に、暗くなったら出歩かないのだ。

 まして風呂に入った後ではなおさらだろう。

 それでも諦めない。


「せっかく父さんがいないんだから、いつもはできないことをやろうよ。風呂に入ってから出かけて、買い食いしよう」

「………………悪くない」


 やはり特別感。

 今日はいつもとは違う特別なことをする日――そういう空気には、誰だって弱い。

 ましてそこに買い食いというご褒美があるならば。

 それから俺たちは再び着替え、普段は出かけない夜の町を歩いてコンビニに向かった。

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