女性にとって男性の髭は気持ちの良いものではない。(髭好きも少数はいる)
あくまでも私見なので、反対意見の方もおられると思うのですが・・・。
すいません・・・。
見合いの釣り書の姿絵には無かったものが眼の前に座る男には生えていた。
それだけでうらぶれて見えるのは私が髭が嫌いだから。
「あの・・・アルシャマール様。姿絵には無かった髭が生えているのですが・・・」
「ああ・・・似合っていると思っているだろう?」
誇らしげに髭を撫でる姿が気持ち悪い。
「似合っているかどうかは解りませんが、ほとんどの女性が髭を生やした男性が嫌いだって知ってます?」
「えっ?そうなのかい?」
「中には好きな人もいらっしゃるでしょうが、私が知る限り髭が好きな知り合いの女性はいません」
「そ、そうなのか?」
「はい。今この時点で髭があるというだけでお見合いはお断りしようと考えるくらいです」
「えっ?それほど?」
「はい。似合っているとか似合っていないとかの問題ではなく、不潔だとしか思えません。それに心ぶれているようにしか思えませんし」
「不潔?!心ぶれてる?!」
「はい。口の周りに髪が生えているんですよ?不潔じゃないですか。それに小汚い」
「とりあえず、このお話はなかったことに」
「えっ?!うそ?!」
食事を一緒にとる予定だったけれど、アルシャマール様が席に座っただけで私は立ち上がった。
「ちょ、ちょっと待って!!髭!剃るから!!」
ドアノブを掴んだまま振り返る。
「まずは髭を剃ってからお話しましょう」
ここ最近男性の髭が流行っているのか、髭を生やしている人が凄く多い。
ついこの間、父も髭を生やし始めた。
髭を剃らずに朝食の席に現れた瞬間に母と二人して「髭が生えている間は口を利きませんし、食事も一緒には取りません」と伝えた。
父は慌てて髭を剃りに行ったが、剃り終わった頃には母と私は朝食は終わっていたので、父が腰を下ろした瞬間に席を外した。
そのおかげか、父は二度と髭は生やさないと母と私に誓ったらしい。
見合いの翌日、アルシャマール様から『見合いのやり直しをしていただきたい』と連絡が来た。
父からの命令なので見合いに行かないという選択肢はない。
嫌々ながらも私は前回と同じレストランに行くことになった。
今回眼の前に座ったアルシャマール様には髭が生えていなかった。
「アルシャマール様、私はレオナ・アージュストです。まず、お会いした限り結婚することになるのだと理解しております。ですが今後、髭を生やされるおつもりがあるのなら、この結婚、何があってもご辞退させていただきたいと思っております」
「そこまで嫌なのか?」
「はい。申し訳ありませんが、とても嫌です。私の関係ないところで生やされている分には気持ち悪いとか不潔だと心の中で思うだけですが、身近な方が髭を生やすなど私には受け入れられません」
「なぜそんなに嫌なのか教えてもらってもいいかな?」
「では、食事の場で髪を振り乱している女性と食事したいと思いますか?」
「それは思わないかな」
「それと一緒です」
「それと一緒なのか?・・・仕方ない。妻となる人がそこまで嫌がるのなら髭は生やさないと約束するよ」
「ありがとうございます」
「だが知ってて欲しいんだが、男にとって髭は威厳や男としての満足感を与えてくれるものなんだ。それに格好いいだろう?」
「男性がそのように思っていることは知っておりますが、嫌なものは嫌なのです。アルシャマール様が髭を生やしたいのなら、髭があってもいいとおっしゃる方を探していただいたほうがいいと思います」
「いや、私はレオナ嬢とうまくやっていきたいと思っている」
「でしたら、私が死んでから髭を生やすしかないないと諦めてください。それか家庭内別居ですね。ただ今なら結婚しないという選択ができるので、そちらを選びたいです」
見合いの席で髭に関しての話をいつまで続けるつもりなんだと内心ため息を吐いた。
そろそろ帰ろうかな・・・。
それから昼食を一緒にとってお茶をしたけれど、結婚に関する実りのある会話は何もなかったように思う。
何度も繰り返される髭の話に嫌気が差し、父にアルシャマール様との結婚は断固拒否の姿勢を貫いた。
父は「なんとかならないか?」と繰り返し聞いてきたが、生理的に受け付けないものはどうしようもない。
「最初に髭を生やしてきた時点で縁は無かったんですよ。新しい人を見繕ってきてください」
そう父にお願いした。
知ってました?
女性の85%は髭を嫌だと思っていることを。
最近の海外ドラマ(アメリカ・イギリス)を見ていると髭を生やした役者さんが多くてびっくりしました。
私は髭がある人が苦手なので、ついこんな話を書いてしまいました。
あくまでも私見なので・・・。